愛されるべき人へ:Jenny Fax 18AW

ラフォーレミュージアム原宿で開催されたJenny Fax 18AWショー。「家族」をテーマに、デザイナー・ジェンファンの「お母さん」にインスパイアされたコレクションを披露した。ジェンファン特有のウィットに富んだ表現で女性ならいずれは経験するであろう半生を描いた。

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21 mars 2018, 3:36am

年齢関係なく絶えず誰もが持っている少女心をくすぐるJenny Fax。ラフォーレ原宿ミュージアムには多くの少女がワクワクした様子で入る。まず彼らが会場に入って目を輝かせたのは、ランウェイの中央に置かれた4枚の大判キャンバス。コレクションのインスピレーションとなったデザイナー・ジェンファンの“お母さん”の半生——花嫁からOLになり、家庭を持ち、現在に至るまでーの絵が描いてある。もちろん絵はジェンファンの妹による作品(彼女は今年初めにもBLOCKHOUSEで個展を開催していた)。

ショー開催後、ジェンファンにとってのお母さんの存在について聞かれ「難しい」と答えていたが、ツイッターでは「愛すべき人のためのショー」と記されている。どの家庭においてもお母さんは皮肉なことに若くて天真爛漫で可愛い時代を通ってきたはずなのに、やがて家庭を持ち自分より家族が中心になって昔の面影が消えたように今はただ歳を重ねるだけのように感じることがある。でも、たとえそこに昔のような輝きがなくとも、本当は家族にとっては永遠に愛すべき存在でもあるのだ。まさに今回のコレクションテーマである「悲劇英雄」はこのような密かな愛情をもとにした“お母さん”を意味しているのかもしれない。

BOØWYの「わがままジュリエット」に合わせて、当時お母さんのOL時代を表現したレトロなショルダーバッグ、肩バッド付きのシャツやアウターが登場する。しかし、そのシンプルな表現だけにとどまらず、いつも何か驚きやクスッとした笑いを引き起こさせてくれるのがJenny Faxのチャーミングポイントだ。QUEENやテレサ・テンなど昭和のヒット曲に合わせて、服のディティール随所随所に現在のお母さんの個性が表現される。裏地がひっくり返った変形スカートは、現在のお母さんの体型からインスパイアを受け、ヒールのデコレーションはお母さんの非常に小さな足のサイズからヒントを得たという。他にも、お菓子の缶が首からいくつもぶら下がっていたり、ブルゾンの背面には家族写真と「Happier」の文字が綴ってあったり、ジェンファンの家族を知らない私たちでさえも少しノスタルジーな感覚に浸る。

これまでJenny Faxといえば小さな女の子がランウェイに登場してきたが、今回は大半が身長の高いモデル。そのなかで緊張した面持ちでランウェイを歩いた女の子が、お母さんの一番輝いていた頃の花嫁姿—ショーピースーをまとっているのが印象的だった。

1人の女の子が、社会に出て恋に落ち、花嫁として輝く瞬間から、家庭を持ち今や“母”として生きるという女性誰しもが経験する道のりをジェンファンならではのウィットに富んだ表現で会場中をハッピーなムードにさせた。