特集上映「サム・フリークス Vol.4」:ルーカス・ムーディソン特集

「はみ出し者」映画の特集上映イベント、第4弾はベルイマンも認めたスウェーデンの若き巨匠ルーカス・ムーディソン。衝撃の名作『リリア 4-ever』と貴重な脚本作『ニュー・カントリー』が一日限定で上映される。4/7(日)渋谷ユーロライブにて開催。

by Takuya Tsunekawa
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05 April 2019, 8:27am

018年秋から始まった「はみ出し者」を扱った映画を特集する上映イベント「サム・フリークス」の第4弾が、4/7(日)に渋谷のユーロライブで開催される。

「サム・フリークス Vol.4」では、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の監督ジェームズ・ガンも最も敬愛する映画監督として名を挙げている、現代のスウェーデンを代表する映画作家ルーカス・ムーディソンの作品を特集。実際の事件をもとに売春奴隷犯罪/ヒューマン・トラフィッキングを真正面から描いたことで世界的に名高い青春映画の傑作『リリア 4-ever』と、そういった問題意識の萌芽となった彼の脚本作でスウェーデンの不法移民たちの逃避行を描いた『ニュー・カントリー』を二本立てで上映する。

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先日、スウェーデンの女性監督ガブリエラ・ピッシュレルにインタビューした際、彼女はムーディソンについて「スウェーデンでは、彼はアンダードッグに寄り添った映画を素晴らしいクオリティで作る人だと考えられています。彼の映画には、荒々しさのなかに優しい心があると思う」と評していた。そして彼のデビュー作『ショー・ミー・ラヴ』──公開当時、イングマール・ベルイマンも「若き巨匠の最初の傑作」と絶賛した──の衝撃を「男性の監督が世の中で虐げられている弱い人、特に若い女性の味方をテーマにして撮ることがユニークだった」と語っていたが、それこそ一貫してムーディソンのフィルモグラフィーの中核をなすものだと言える。

彼は、社会に対して反抗的である一方で無防備で、タフでありながら傷つきやすく、シニカルだけど無邪気な子どもを主人公に据え、無闇な彼らの視点を通して世界を見ることを好む。それは、自分自身を守るための手段も能力も何も持っていない子どもが、世界で起こっている問題から大人よりも真っ先に傷を受ける存在だからだ。『リリア 4-ever』の親から放棄された少女リリアも、『ニュー・カントリー』のソマリアからの不法移民の少年アリも「ここではないどこか」へ逃げることを夢見るが、彼らの理想は、しばしば目の前の残忍な現実と衝突する。ムーディソンは、苦しみの真っ只中に生きるティーンエイジャーが希望にしがみつくそのカオスと闘争を描き出しているのだ。

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また特徴的なのは、どちらの作品においても登場する大人たちは、卑劣な性的搾取者や性差別者、ないしは人種差別主義者ばかりであることだ。例外は『ニュー・カントリー』でアリとともに強制送還から逃れるため逃避行に繰り出すイランからの不法移民マスードと落ち目のポルノ女優ルイーズのみであり、疎外されている人に手を差し伸べるそのような大人の有無が両作の違いでもあるだろう。貧しい人々を搾取するレイプ社会に対して、映画を通して「希望への闘い」を続けるムーディソンの作品をいまこそ観てほしい。

なお、本イベントは今回もすべての子どもたちが社会から孤立することなく暮らしていけるようになることを目的とした学習支援や自立支援のために、有料入場者1名につき250円が認定NPO法人「3keys」へ寄付される。

サム・フリークス Vol.4
日時:2019年4月7日(日) 会場:ユーロライブ(渋谷) 料金:2本立て1500円(入れ替えなし・整理番号制)
12:40~ 当日券販売開始
12:50~ 開場
13:00~『ニュー・カントリー』上映
15:25~『リリア 4-ever』上映

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