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      fashion Kazumi Asamura Hayashi 5 April, 2017

      『i-D Japan NO.3』マガジン発売

      『i-D Japan NO.3』が4月5日(水)に発売しました。

      目まぐるしく変わる世界の情勢が、途切れることなくメディアを通じて入ってくる毎日。移り変わる日々の動向が各国からメールで届いては驚かされています。イギリスのEU脱退。アメリカの大統領選挙。大国の情勢に反応する国々。SNSで毎日のように流れるデモ行進の映像。フェミニズムについて、移民について、森林破壊について……。それら多くの問題は、私たちから遠く離れたところで起こっているような錯覚に陥りがちですが、悲痛な叫びは決して海の向こう側だけで響いているのではありません。

      相続く自然災害によって負った深い傷はいまだに癒えることなく、数々の問題が未解決のまま取り残されています。当事者の方々はそこから立ち直るべく、一日一日を踏みしめて今日まで歩んできたはずです。その事実は私たちに、真実から目を逸らさないことの必要性を強く感じさせています。さらに、減少の一途を辿るこの国の人口。いずれは移民について正面から向き合う日がくるでしょう。顕著に多様化している性の在り方、そして以前にも増して懸念される環境問題など、今すぐにでも見つめなければならない問題も山積みです。

      他人事のように考えられていた様々な事柄は、現実にやってくる問題として私たちの前に確かに突きつけられているのです。

      日本版i-Dのローンチから約1年の月日が流れ、雑誌は今号で3冊目の出版となりました。世に言う"政治、宗教、マイノリティ、その他の社会問題について話しあうことが苦手"という日本人気質は実際にあるとしても、彼らは意見がないわけでも鈍感になっているわけでない、というのが個々に会うたびに思うことです。今を生きる若者たちがそれぞれ自分の意見というものを確かに持っていることは、大変頼もしいかぎりです。

      立て続けに大きな変化に面したこの転換期。私たちひとりひとりが望む将来を思い描き、声に出していくことが求められていると感じ、ブレイク・サイレンス(沈黙を破る)をテーマに、様々な意見に向き合うことにしました。

      まず、東京を中心に活躍する俳優、ミュージシャン、モデル、アーティストなど、様々な分野の若者をストレートアップスで紹介しています。「社会的なカテゴリーで自分を評価されたくない」「スマホの画面で全部を分かった気にならないでほしい」「多様性を受け入れることが平和への一歩」「メディアや流行に流されないで自分でしっかり考えを持ちたい」など様々な"ブレイク・サイレンス"の発言が聞こえてきました。

      さらに、個人的にZINEを作っている人たちへ焦点を当てて、一般的な流通の仕組みの中からはなかなか聞こえてくることのない小さな声を拾い上げてみました。その中で野中モモさんはZINEの歴史とともに、情報発信の根源として"伝えたいことを伝えればいい"というシンプルなことこそが大切だと書いています。SNSに代表される情報の速さを競うような現在のあり方とは真逆の、"金銭的な収益よりも伝えることの大切さ"を重視した情報発信の仕方に力強さを感じました。

      都市と地方とは本当に分断化されているのでしょうか? その答えを探るべく、私たちは地方郊外のライフスタイルの象徴でもあるショッピングモールでストレートアップスを行い、彼らの現状をドキュメントしました。山内マリコさんの『わたしはまとも』では、SNS上で政治的議論を交わす場合の考察や、分断化という壁について持論を展開しています。

      カバーストーリーにはManami Kinoshita と福士リナという日本の今を体現する2人のモデルが登場し、フォトグラファーのダニエル・ジャクソンとファッションディレクターのアリスター・マッキム、メイキャップアーティストのピーター・フィリップスによるストーリー『you heard it』が展開されています。プロフェッショナルな三者によるブレイクサイレンスは荒々しさの中に洗練された美が佇む、いまだかつてない大胆なストーリーに仕上がっています。

      それぞれのやり方で、それぞれが行動する。力強い声をしまいこむことなく発し、実際の行動に移すことを常に意識しながら生きていくことが私たちには求められています。"声に出して議論することが苦手な日本人"なんて、これまでの話。すでに世界は繋がっているのだから、国籍も、人種も、性別も関係ありません。これからの未来を共に作っていくために、思ったのならどんな小さなことでも言って、自分が信じる道を進むだけです。

      この雑誌が、そんな小さな一歩を踏み出すためのプラットフォームになることを心から望んでいます。異なる個人が尊重されながらも、孤独でもなく理想の世界を作るべく。

      そう、今こそ沈黙を破るときなのです。

      Credits

      Text Kazumi Asamura Hayashi

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      Topics:fashion, editors letter, news, the break silence issue

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