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      film Takako Sunaga 24 November, 2016

      DNA に導かれて、清水尋也ここに在る

      ガールズパワーに押されがちな10代の男性俳優たちのなかで、静かに気炎を上げている17歳、清水尋也。演じることを「天職」と言い切る彼が、表現することへの愛と情熱を語る。

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      ALL CLOTHING SAINT LAURENT.

      SHIRT GIVENCHY.

      新井浩文、池松壮亮、染谷将太といった"死んだ目系"の系譜を継ぐニューフェイスとして注目を集める、清水尋也。中島哲也監督の『渇き。』で演じたドラッグに溺れる高校生「ボク」、『ソロモンの偽証』の同級生を虐める不良中学生、『ちはやふる』でヒロインを叩きのめすドSキャラなど、作り手の世代が10代の若者に対して抱く「何を考えているかわからない得体の知れなさ」を象徴する存在として、彼は作品に確かな爪痕を残している。「闇を抱えた役が多いですよね。目が死んでるんで(笑)。自分としてはどんな役でも印象に残るようにきちんと演じたいと思ってますけど、めちゃくちゃ陽気な役や、普通にいいヤツの役とかすごく面白そうですよね」。最新出演作は、今年5月に撮影した青春映画『ハルチカ』だ。高校の吹奏楽部にまつわる本作でも、やはり陰のある高校生役を演じている。「撮影に入る2ヶ月くらい前からしっかりとティンパニを練習しました。小学生の頃、音楽室にあったドラムを休み時間になると勝手に叩いていたこともあって、打楽器には馴染みがありましたし、管楽器と違ってスムーズに音が出るので、楽しみながらお芝居ができました」

      幼い頃から、スポーツや音楽に親しんできた。サッカーを3歳から、バスケットボールを10歳からプレイし、ダンス教室にも1年間通っていたという。その一方で、高校の軽音部で友だちと組んでいるバンドではベースを担当し、定期的にライブを行っている。最近は「R-指定さんのラップに出会ってからというもの、フリースタイルラップに夢中です」と、ヒップホップへの熱中を隠さない。R-指定とは、ラップバトルのブームを巻き起こした『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)で活躍中のラッパーだ。「彼に感銘を受けてからというもの、ひとりでフリースタイルみたいなことをやってます。例えば、テレビのニュースを消音にして、ヒップホップのトラックをかけて、画面に出てくる単語を拾って即興でラップをしたり。そんなことをやってるうちに、兄や事務所の子がハマってくれて、仲良しの5人組も全員やってます。学校でもヒップホップ好きな子が増えて、輪になってラップをしたり、バトルをしたり、すごく楽しいです。僕はR-指定さんを勝手に師匠だと思っているので、いつか『ヒップホップの世界に僕を連れて来てくれてありがとうございます』と直接伝えたいです」

      時間が許すかぎり、好奇心のおもむくままに活動し、高校生活を満喫している清水が、この世界に足を踏み入れたのは小6のときだった。母親と観に行った、4つ上の兄・尚弥が出演する映画の試写会で、兄が所属する事務所のマネージャーにスカウトされたのだ。「ドラマや映画を観るのは大好きでした。でも、兄が泣きながら帰ってくることもあって大変そうだし怖かったので、自分がやるなんて考えたこともなかった。だから"嫌です"って断ったんですけど、マネージャーがしつこくて(笑)」。ほぼ強制的にレッスンに参加させられ、中高生に交ざり、探りさぐりで台詞を言いながら身体を動かす体験が、清水の道を決定づけた。その日、帰宅したときには"ダメだったら辞めればいいし、とりあえずやってみようかな"という気持ちになっていたという。その後『渇き。』の現場で(大女優・中谷美紀でさえ、恨み節を自著に綴った)中島哲也監督のスパルタ演出に追い込まれたときも、「辞めたい」と音を上げるどころか、「クソジジイ!」「いつかぶん殴ってやる!」と反骨心を燃やしていたと笑いながら振り返ることができるあたり、なんとも頼もしい。「ずっと"ダメなら辞めればいい"と思っていたんですけど、『ヒミズ』(園子温監督)を観て"続けなきゃダメだ。自分はこの道でやっていく"と決意していたので、頑張れました」。それ以来、同作に主演した染谷将太は清水が尊敬する俳優のひとりになった。「『ストレイヤーズ・クロニクル』で一緒になったとき、"染谷将太って本当にいるんだ!"って嬉しくて! ものすごく静かで、落ち着いていて、びっくりしました」と、目を輝かせて憧れの人について語る清水は、他人を寄せ付けない役のイメージを忘れさせる、コミュニケーション上手で話し好きな青年だ。「人と接するのが好きですし、基本的に楽しもうという意識があります。母親となんでも話すから、男の子とも女の子とも、同じように接することができるし、仲良くなれる。なんならひとりきりでも喋ってます(笑)」とはなんとも意外な一面だ。「一時期、いろいろなことが重なって、自分の殻に閉じこもった時期があるんです。そのとき、母親から『私はあなたのことが大好きなので、それだけは忘れないで』というLINEがきて、それを読んだときに大泣きしました。いろいろと大変な思いをさせてきたので、とりあえず、母親が働かなくてもいいようにしてあげたいなと思ってます」

      現在高校2年生。「大学で学びたいことがあるなら行くべきだと思いますけど、僕が学びたいのは映画と芝居。それを学べるのは大学じゃなくて現場だと思うので、少しでもたくさんの現場に入って今を生きる映画人が何をしているのかをその場で体験したい」と話すように、卒業後は大学に行かず、仕事に打ち込むことを決意している。「芝居をきっかけにこの世界に入ったからには、芝居で生きていきたいし、最後も芝居で終わりたい」とまで宣言する。「小さい頃から音楽や美術みたいに、自分の感情を表現しながら何かを作り上げていく作業が好きだったから、芝居しているとすごくしっくりくるし"生きてるな""天職だな"って感じます」。実は、彼の母親も表現者としてエンターテインメントに関わっていたことがあり、父親もギタリストだったという。彼のこの歩みは、DNAが定めていたことなのかもしれない。「背中を押されている感覚はあります。これから先に何があるかはわからないし、ビビリなので、毎回"これが最後かもしれない"と思うくらい怖いです。でも、"表現するために生まれてきた" って思えるので、今はそのまま突き進みたいと思ってます」

      Credits

      PHOTOGRAPHY KENTA SAWADA
      STYLING KOJI OYAMADA 
      TEXT TAKAKO SUNAGA
      Hair and make-up Nobuhiko Kubota
      Photography assistance Takuto Yamasaki
      Styling assistance Ai Suganuma

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      Topics:film, fashion interview, hiroya shimizu, interview, actor

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