Photography Atsuki Ito

Shun Watanabeが立ち上げた「NEWSIAN」が古着をアップサイクルする理由

ライフスタイルブランド「NEWSIAN(ニュージアン)」を立ち上げたShun Watanabeが新プロジェクト「Baaaaba」を始動。自身の衣装コレクションやLAで買い付けたヴィンテージアイテムを一点一点ハンドメイド加工している。すでにあるものから新しい価値を再創造するNEWSIANの理念とは?

by Sogo Hiraiwa
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03 December 2019, 1:42pm

Photography Atsuki Ito

今ファッション界が直面している最も大きな課題、それがサステイナビリティ(持続可能性)だ。毎年100万トンもの服が捨てられ、日本では不要になった衣類の9割が、リサイクルされずに埋め立て・焼却処分されている。

「もったいない」という話だけではない。アパレル・ファッション産業は石油業界に次いで2番目に環境汚染を生み出している産業とされており、生産過程での温室効果ガスの排出や水の汚染が深刻な問題となっている。

2019年度の「インターナショナル・ウールマーク・プライズ」を制した2つの気鋭ブランドEdward CrutchleyとColovosは、いずれも進歩的かつ未来を見据えたブランドだった。それぞれが拠点とする街(ロンドンとニューヨーク)のスタイルと同時に、サステイナビリティへの新しいアプローチも体現していることが評価された。

「アイテムの作られた場所や製造者を訊かれたら、僕はその名前を答えることができる」と話すのはエドワード・クラッチリー。「誰が作ったか、そのひとたちがどういう労働環境で働いているかを知るのはすごく大切だと思います。僕が売るのは、できる限り搾取をしないように製造したアイテムです」

サステイナビリティと一口にいっても、廃棄、汚染、労働環境までその射程は広い。そんな中、デザイナーから次々とそうした課題に対する創造的でポジティブな試みが発信されるようになってきている。

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Photography Shun Watanabe

スタイリストでファッションディレクターのShun Watanabeが、2019年6月に立ち上げた「NEWSIAN(ニュージアン)」もそうしたサステイナビリティへの問題意識を共有したライフスタイルブランドのひとつだ。

「消費するのではなく、ずっと付き合い続けることのできる商品、未来を考えるための新しい価値観を提案したい」という想いに端を発したNEWSIAN。第一弾ではアウトドアのテクニカルさを持ちながら、都会で着ても違和感のない多目的なトラベルコートを発表した。Watanabeは次のように話す。「自然災害の多い日本でファッション業界にいる自分がやれることを考えていました。災害時にも使える服をスタイルを保ったまま作りたいと思ったのがきっかけです」

NEWSIANはブランドの基本理念として「地球や環境に配慮する」ことを立ち上げ当初から掲げていたが、新たに始めた「Baaaaba」はその理念を具体化させたプロジェクトとなっている。

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Photography Atsuki Ito

Watanabeは自身の膨大な衣装コレクション、LAのヴィンテージショップから厳選したアイテムを一点一点ハンドメイド加工、またアンティークビーズを使ったアクセサリーを作り上げた。新たな製品を作り出すのではなく、すでにあるものを有効活用すること。それはすでにものが溢れている現代に求められる、新しいクリエイティビティなのかもしれない。

「今回のプロジェクトは、ビデオグラファーの伊藤あつきさんと母と協力してスタートしました。現在はLAで、シェフやアーティストといった様々なクリエイターたちと共に、野菜の皮など通常捨てられてしまうような自然の素材を染料とした染めを進めています」

伊藤は制作プロセスの撮影だけでなくタイダイの染め作業にも参加し、Watanabeの母親はタグ制作や刺繍やビーズなどの指導を行っているという。

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Photography Shun Watanabe

NEWSIANは加速しすぎたファッション界のサイクルから距離を置いているのも特徴だ。彼らはシーズン毎にコレクションを発表するスタイルは採用せず、毎回異なるクリエイターや技術者とコラボレーションしながらじっくりとアイデアを煮詰め、かたちにしている。

「今後は衣類だけでなく、食や住といったライフスタイル全般のプロダクト、アイデアを発表していく予定です」

NEWSIANが今後どんなアイデアを私たちに提案してくれるのだろうか。Watanabeのように自分にできるサステイナビリティを考えながら、楽しみに待ちたい。

NEWSIAN公式サイトはこちら

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