イメージのその先は:写真家・東海林広太インタビュー

i-Dでも数多くのシューティングを行うフォトグラファー・東海林広太とファッションレーベル「YEAH RIGHT!!」とのコラボレーションで制作されたZINE「Re:PLAY」の発売を記念して、代官山蔦屋書店にて写真展が開催される。

by Eisaku Sakai
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10 August 2017, 3:42am

スタイリストからキャリアをスタートさせ、現在は写真家として活躍する東海林広太が、リメイクを制作の核とするファッションレーベル「YEAH RIGHT!!」と共作で写真展示を行う。発表される写真群は、撮り下ろしのものだけではなく、過去のアーカイブ写真を使用したコラージュなど意図的に加工・編集が行われており、テーマである「Re:PLAY」を表現しているという。

あるとき「頭の中にあるイメージのその先が見たい」そんな言葉を投げかけられたという東海林は、自身の写真家としてのスタイルにも同様に問いかけを続けている。今回、「Re:PLAY」をキーワードに、コラボレーションの過程で経た思考を辿っていくことで、そうした問いの中で構築してきた彼独自の写真への視点と姿勢を解き明かしていく。

「YEAH RIGHT!!」とのコラボレーションの経緯を教えてください。

2018AWのルック撮影をきっかけに、そこから印刷物も作りたいと相談を受け、ただのルックブックではなく、ブランドの世界観を感じてもらえるビジュアルブックにしようという話になりました。より強く世界観を打ち出し、伝えるために展示へと発展していきました。

写真においてはある意味、同じ瞬間、同じ構図を撮るということはあり得ません。その中で"繰り返し"を意味する「Re:PLAY」に対してどのように写真でアプローチしていこうと考えましたか?

今回は、撮り下ろしの写真の他に、あえてアーカイブの写真に手を加え、新しい作品として発表しています。展示の方法論としては、同じ写真やそのレイヤーを異素材かつサイズ違いでプリントして繰り返し使用するなど、写真を撮るということだけではなく、最終的なアウトプットとして写真を見せるというプロセスにおいて「Re:」と「PLAY」の要素に対し、アプローチしました。

繰り返し写真を使用することやコラージュという手法からは、シュルレアリスムの写真家たちが思い浮かびました。彼らは「希薄な目の前の現実ではなく、理性がコントロールしえぬ『真の現実(超現実)』に触れる体験」を求めてそういった表現を行ってきましたが、今回の作品を制作するにあたり、東海林さんはどのような感覚を大事にしましたか?

写真というものは、超現実でありながら、いくらでも嘘がつける表現だと思っています。レンズに映るものしか写真は撮れませんが、レンズに写ったものが現実とは限りません。それは写真史の中でアナログなやり方で繰り返されてきた表現ですが、このデジタルの時代によって、自由にさらに加速度的になっているかと思います。ですから、今回は自分の写真でありながら、ある意味では他人の写真を扱うように、第三者の目で自分の写真に触れていた気がします。コラージュに関しては、常に頭の中に複数のイメージが混在していて、まさにそのイメージを根気強く具現化していくという作業でした。

写真、もしくは、写真を撮る行為にとって「Re:」とは何だと思いますか?

被写体を見ること、撮ることは自分にとって日常生活の延長で、生活とか生きることは日常を繰り返すこと。なので、それ自身が「Re:」ということなんじゃないかなと思っています。

今回の作品で参照した写真家やアーティストはいますか?

Cy Twomblyのリトグラフ、コラージュ作品の実物に触れる機会があり、レイヤーの仕方や素材に対してのアイデアなどの影響は大きい気がしています。また、 J.W. Andersonがキュレーターを務めた展覧会「Disobedient Bodies: JW Anderson curates The Hepworth Wakefield」に関する彼のインタビューのうちのいくつかの言葉にもかなり影響受けました。こちらはどちらかというとマインド的な話ですが。

普段ファッションフォトを撮影する際にスタイリスト的な視点、フォトグラファー的な視点は、どのような関係性を築いていますか?

僕はもともとスタイリストをしていたので、写真を撮るときにも頭に描いているビジュアルから入る癖が抜けませんでした。これはADがいて、ムードボードがきちんとあるようなファッションフォトの撮影の感覚が無意識に体に染み付いていた、ということだと思います。あるとき、友人の写真家に「写真を撮るときに頭のイメージが先行してるでしょう? でも俺はその先のものが見たい」と言われたことがありました。そのとき、今まで自分の武器だと思っていたものは、ある意味では諸刃の剣で、自分を不自由にしてる可能性があるということに気がつきました。それからは、今でも撮影に対してのシュミレーションは頭の中でしますが、現場ではなるべくフラットな感覚で被写体と向き合うことにし、ファッション撮影であっても、やはりそこに"人"を感じる写真が自分のスタイルになればいい、と常に考えています。

東海林広太・YEAH RIGHT!! photo exhibition「Re:PLAY」
会期:2017年8月11日(金・祝)〜8月31日(木)
場所:代官山 蔦屋書店 2号館1階 ギャラリースペース
問い合わせ先:03-3770-2525

photographer : KO-TA SHOUJI
hair & make : KAORI SHINOHARA (LAND)
stylist : CHIE NINOMIYA
model : SARAH ABNEY (DONNNA)
art directer : YUTO KANKE