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プッシー・ライオットのパンク演劇

プッシー・ライオットの主要メンバーのマーシャは、自著の戯曲『Burning Doors』をベラルーシの“どこか”で上演すべく、リハーサルをしているようだ。

by Hannah Ongley
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07 June 2016, 3:18am

ロシアのフェミニスト・パンクバンド、プッシー・ライオット(Pussy Riot)のメンバーで、Mashaとして知られるマリア・アリョーヒナ(Maria Vladimirovna Alyokhina)は、その多岐にわたる政治的パフォーマンスで広く知られている。そのマーシャが、今度は戯曲を発表するという。イギリスに拠点を置き活動する劇団ベラルーシ・フリー・シアター(Belarus Free Theatre)がマーシャの著作『Burning Doors』を上演すると『The Guardian』紙が報じた。今後数ヶ月にわたり、マーシャも参加してのリハーサルが行なわれるというが、上演場所はベラルーシの"どこか"とされており、詳細は明かされていない。ベラルーシは、プッシー・ライオットが政府によって音楽公演を禁止されている国だ。

Burning Doors』は、独裁と民主制という対極の政治形態のもとで、政治的なアート作品がどのような影響を及ぼすかについて探る内容だという。政治的メッセージを強く打ち出した曲を教会で演奏したことが「フーリガン行為にあたる」として、2012年にプッシー・ライオットの他メンバーたちとともに逮捕された自身の経験と、これまで自国ロシアで厳しい検閲を受けてきたアーティストたちの経験をベースに書かれているとも言う。ロシアの検閲の歴史を探る中でマーシャが最も興味を持ったのは、パフォーマンスアーティスト、ペトル・パヴレンスキー(Petr Pavlensky)と、ウクライナの映像作家、オレグ・センツォフ(Oleg Sentsov)。パヴレンスキーは、ロシア連邦保安庁の建物入り口に火を放ったり、釘で自身の陰嚢を地面に打ち込んだりなど、"Living Pain(生身の痛み)"と称される反政府パフォーマンスで知られている。

「パヴレンスキーは、いまロシアで活動するアーティストの中で最も重要な人物なの。彼のメッセージを世界に知らしめたい」とマーシャは語っている。「それから、重要なのはアーティストの中でも特に政治的なメッセージを持つ人々に、"政治家たちよりももっとパワフルに、もっと勇敢に、もっとショッキングに、表現というものを打ち出していいんだ"と示すこと」。『Burning Doors』では、これまで公にはされてこなかった彼女自身の経験が数多く描かれているという。しかし、この戯曲は単なる自伝的作品ではないとマーシャは強調する。「これを機に、語られることのなかった私たちの経験や状況について知ってもらい、プッシー・ライオット知られざる一面を見てもらいたい。投獄されていた時、そして釈放された後の私たちについてね」と彼女は付け加える。「この戯曲は、政治的アート、そうした作品を作るアーティストが置かれている立場、そしてラディカルな振る舞いとラディカルなアートの差異を知ってほしくて書いたの。この戯曲にあるメッセージは、私がこれまで音楽や政治活動で訴えてきたものと何ら変わらない。私たちはこれまでずっと圧政的な政府と戦ってきた。今回の演劇もその一環なのよ」

クラウドファンディングのサイトKickstarterから、マーシャの『Burning Doors』上演の応援ができる。支援者へのお礼には、マーシャたちから感謝状や、マーシャとベラルーシ料理で晩餐をともにできるなど、様々な特典が用意されている。

Credits


Text Hannah Ongley
Photography Igor Mukhin
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.