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野村周平、芸能界のど真ん中を歩く

月9に続き、初めて刑事役に挑戦した『ミュージアム』が公開される、若手随一の売れっ子俳優、野村周平。途切れることなく仕事をし続ける超多忙な彼が、自由さと健やかさを失わない理由に迫る。

by Takako Sunaga
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11 November 2016, 7:10am

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フォトグラファーとのセッションをスムーズに終え、私服に着替えた野村周平は人懐こそうに笑いながらソファに腰掛け、「インタビューは"愛"がテーマなんですよね?」と切り出した。そこで、ストレートに「愛とは何か? という問いかけに対し、野村さんはどう答えますか?」と質問したところ、考えながら「自分が好きな人、友だち、恋人、家族のために、自分を変えられることが愛なのかなと思います」という答えがあった。「仕事でもプライベートでも、ずっと格好つけてたんですけど、それをやめたら、心の余裕ができて、人の気持ちを考えられるようになったんです。自分が、自分の大切な人のためにハッピーでいられるようになったのは最近です」。彼はむしろ格好つけないタイプの俳優だと思っていたが「芸能界で仕事をしていながら、芸能界にも芸能人にも興味ないという態度をとって、一匹狼気取りでつっぱってたんです。でも今は、相手を嫌な気持ちにさせないようにしたいという気持ちが芽生えてきた。根っこのバイヴスは変わらないんですけど、わざわざ表に出さず、内なるとんがりでいいやって(笑)」と言うように、言葉を換えれば大人になったということかもしれない。「友だちの友だちはみな友だちじゃないですけど(笑)、大切な人が大切にしている人にはナイスなヤツだと思われたいし」と照れ笑いをするあたり、プライベートの充実を感じさせる。

野村は16歳で神戸から上京し、すでに6年が過ぎた。「東京は遊び場でありホームタウンです。渋谷、原宿あたりは毎日のように出没します。今でも。テンションが上がるんです。クラブもあるし、スケボーやBMXができるスポットもたくさんあるし、友だちもたくさんいる。もちろん来る前は、知らない場所だから多少は怖かったですよ。でも、BMXのおかげで友だちがすぐにできたし、そのままいろんな人と巡り会って、今『i-D JAPAN』の取材を受けてます、みたいな。僕なんかが出てすみません(笑)」。スノーボード、スケートボード、BMX、モトクロスバイクなど、エクストリームスポーツの愛好家としても知られている野村。常に危険と隣り合わせだが、「アドレナリンが出てるから全然怖くないんですよ。コケるとか、怪我するなんて一切思わないし、やっぱり僕は、道端でも下手したら死ぬくらいのスリルのなかで生活したいんです」と、アドレナリンジャンキーぶりを隠さない。そんな彼のモットーは「外に出る」こと。「いろんな街を見たいし、いろんな人に会いたい。プライベートの友だちから面白い話を聴きたい。60kmのスピードでチャリに乗ってるヤツらは、やっぱり怖いもの知らずだし、頭のネジが2・3本ハズレてる感があるから面白いんです。BMXやスケボーは、自分にとって大切にしているものをつなげてくれるツールだったりします」。

BMXを通じて東京に自分の居場所をすぐに見つけることができたように、海外でもスポーツを通じてコミュニケーションをとってきたという。「ストリートには人種や国籍での差別がないんですよ。アメリカでも中国でも、そこにいる人たちに共通するバイヴスがあるし、スケボーやBMXが上手ければ上手いほどウェルカムだし。国と国が揉めてても、ストリートでは人と人はつながっているんです」

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一方、仕事に関しては、「仕事は仕事。上下関係が厳しいなかで育ってきた気い遣いなんで、やるからにはニーズに応えながら、自分が楽しむことを大切にしてます」とプロの顔になる。『フラジャイル』『好きな人がいること』と連ドラに連投し、11月12日からは『るろうに剣心』の大友啓史監督の最新作『ミュージアム』が公開される。初めての刑事役に「台詞が難しくて!」と弱音をこぼし「役柄が大人になっていっていますね」と言えば「それが、これからまた高校生役をやるんですよ! 童顔でよかった(笑)」とおちゃらける。「ニーズに応える」とドライな言い方をしつつ、「なんでもやりたいんですよね。本当に。月9みたいなキュンキュンも、シリアスな社会派も、アート系も」と貪欲に状況を楽しんでいる。さらに、「僕がアクションをやらずに誰がやるんだ?」と、ふと「気づいてしまった」と言う。「カーアクションも、バイクも自転車もスタントを使わないでやりたいし、身体の動かし方を知ってるから、殺陣やワイヤーアクションも"あれ? もしかして、できるかも?"って(笑)」。そのきっかけは、たまたま見かけた他の映画のアクション練習の風景だったという。「僕がやりたい!」「あの人よりもうまくできる!」と、闘争心がこみ上げたというエピソードはまるで少年漫画の主人公ではないか。「芝居は正解がないから難しいし、上手な人たちがたくさんいるんで、正直ハードルを上げられるとキツイです。でも、アクションや、身体を動かすこと、危険を怖がらないことに関しては誰にも負けてないと思います」。たしかにこの逸材には、早急にアクション映画のオファーを出すべきだ。

「自分には芝居しかない」と、ストイックに邁進する役者も美しいが、エクストリームスポーツという軸で心身を健やかに保ち、世界とつながりながら、役者として次々と与えられるハードルを飛び越えようと努力する野村は周りをワクワクさせる存在だ。とはいえ本人はやはりどこか居心地の悪さを感じているらしく、『フラジャイル』での共演をきっかけに急速に親しくなりプライベートでも会う仲だという長瀬智也に「僕、本当は芸能人になっちゃいけなかったんですかねぇ……」と相談することもあるという。すると長瀬が「そんなことないよ! 俺らみたいなヤツがいないとつまんないぞ芸能界」と励ましたというエピソードが最高だ。

周りから見たら「規格外」だが、本人たちの自己認識は「はみ出し者」。それでも逃げも隠れもせず、ほんの少しの弱音を吐きながら、芸能界のど真ん中を真っ直ぐに歩こうとする潔さが多くの人々を魅了する。

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Credits


PHOTOGRAPHY MONIKA MOGI 
STYLING HAYATO TAKADA 
TEXT TAKAKO SUNAGA
Hair and make-up Nori
Hair and make-up assistance Minami Nakamura

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