GWに観るべき映画10選

たくさんのお客さんが映画館に集まる連休ということから、映画業界がゴールデンウィークというネーミングを考えだしたって知ってた? だったら、GWに映画館へ行かない手はなし。今すぐ見られる、そして観るべき10本を紹介!

by Takako Sunaga
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29 April 2016, 2:55pm

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『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』
正体不明のグラフィティ・アーティスト、バンクシー。2013年10月1日から1ヶ月間、彼はニューヨークのどこかに新作を毎日一点発表し、それをSNSにアップするという試みをスタートした。バンクシーハンター(熱狂的なファン)は、撤去や破壊をされてしまう前に作品をひと目見ようと街中を探しまわり、アート業界のハイエナたちも金の匂いを嗅ぎつけて我先にと駆けつける。バンクシーのアートに人々が振り回される狂騒の風景を、膨大な彼の作品アーカイブを軽妙な手さばきでまとめ上げ、「アートとは何か?」を問いかけるドキュメンタリーの秀作。 
監督:クリス・モーカーベル 2014年  アメリカ  81分  配給:アップリンク パルコ  渋谷アップリンクほか全国順次公開
http://www.uplink.co.jp/banksydoesny/

『マジカル・ガール』
2016年のグッドニュースは、日本では無名のスペイン人監督、カルロス・ベルムトの『マジカル・ガール』がロングランヒット中だってこと。日本のアニメ「魔法少女ユキコ」のテーマ曲に合わせて1人、部屋で踊る少女が突然卒倒する冒頭からただならぬムードを放つこの映画。白血病で余名わずかな少女のために、無職の父親が「魔法少女ユキコ」のコスチュームを手に入れようとしたことから始まる負の連鎖が描かれる。反面教師たちによる教訓もののようで、結局は運命からは逃れられないよと言われているような、矛盾が心地よい逸品。随所に散りばめられた監督の日本への偏愛も奇妙さに拍車をかける。
監督・脚本:カルロス・ベルムト  出演:バルバラ・レニー ルシア・ポシャン ホセ・サクリスタン  2014年  スペイン  127分  配給:ビターズ・エンド  ヒューマントラストシネマ有楽町 YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開中  5/1以降、シネマート新宿にて上映開始
http://bitters.co.jp/magicalgirl/

Una produccion de Aqui y Alli Films, Espana. Todos los derechos reservados(c)

『グランドフィナーレ』
引退した元音楽家のフレッドと現役にこだわる映画監督のバリンジャー。数十年友人関係にある彼らを中心に、スイスアルプスにあるセレブ御用達の高級リゾートホテルを舞台にした人間模様が描かれる。フレッドがラストステージに立つ決意をするまでのドラマはもちろん感動的だが、"21世紀の映像の魔術師"の異名を持つパオロ・ソレンティーノ監督作品の魅力はやはり細部にまで神経が行き届いた映像美にあり。老人たちがホテルのスパに横並びで浸かるカット、人々が美しく配置された庭園やダイニングルーム、毎晩のようにホテルで催される多彩なショーなど、優雅で幻想的なショットの数々に浮世を忘れて酔いしれたい。 
監督:パオロ・ソレンティーノ  出演:マイケル・ケイン ハーヴェイ・カイテル レイチェル・ワイズ  2015年  イタリア フランス スイス イギリス  124分  配給:GAGA  新宿バルト9 シネスイッチ銀座 Bunkamuraル・シネマ シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
http://gaga.ne.jp/grandfinale/

© 2015 INDIGO FILM, BARBARY FILMS, PATHÉ PRODUCTION, FRANCE 2 CINÉMA, NUMBER 9 FILMS, C -FILMS, FILM4

『獣は月夜に夢を見る』
デンマークの海辺の町に暮らす19歳の少女が大人になる過程を、ホラー映画のモチーフを使って描く、古典的かつ幻想的な成長譚。ともすると凡作になりかねないところを、観るべき1本へと格上げしたのは、主人公のマリーを演じたソニア・ズーの透明感と少女性、そして近寄りがたいたたずまいだ。地元の魚工場で働き始めた彼女に対して、同僚の男たちが「どうせ彼女は俺なんか相手にしない」という卑屈な気持ちを勝手にもち、イジメでしか好意を表現できなくなるシーンの自然なこと! これがデビュー作というズー自身、このロケ地のような島育ちだとか。この映画のために発見されるべくして発見された女優なのだな、と確信。 
監督:ヨナス・アレクサンダー・アーンビー  出演:ソニア・ズー ラース・ミケルセン ソニア・リクター  2014年  デンマーク フランス  85分  配給:クロックワークス  ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
http://kemono-yume.com/

(C)2014 Alphaville Pictures Copenhagen ApS

『スポットライト 世紀のスクープ』
2015年アカデミー賞作品賞受賞作ということは、1年で最も観るべき映画ということだ。2002年1月、カトリックの神父数十人が、長年に渡り1000人以上の児童を性的に虐待してきたという衝撃のスキャンダルを、『The Boston Globe』紙が一面に掲載した。この"世紀のスクープ"の内幕を丁寧に描いた社会派ドラマ。担当した記者4人の仕事は、気が遠くなるようなデータの調査や、嫌がる被害者への聞き取り取材、教会や司法との駆け引きなど、とにかく地味で根気がいる作業ばかり。その仕事に向き合う4人(と上司2人)を演じた俳優たちのアンサンブルが、本作の最大の見どころだ。 
監督・脚本:トム・マッカーシー  出演:マーク・ラファロ マイケル・キートン レイチェル・マクアダムス  2015年  アメリカ  128分  配給:ロングライド  TOHOシネマズ日劇ほか全国公開中
http://spotlight-scoop.com/

Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC

『ミラクル・ニール!』
宇宙人の気まぐれで、右手をサッと振りながら願いを唱えるだけで、なんでも実現できるミラクルパワーを授かった中年男のニールが繰り広げるドタバタコメディ。言葉通りに願いが叶うため、具体的かつ正確な国語力が必要とされて四苦八苦する主人公ニールを演じるのは、『宇宙人ポール』や『ミッション:インポッシブル』の英国人俳優サイモン・ペッグだ。次々と押し寄せるトラブルを回避するために、テンパった表情&早口&ブリティッシュ・アクセントで願いの言葉を発するたびに爆笑をお約束。ニールのパワーで喋れるようになった愛犬デニスの吹き替えは、故ロビン・ウィリアムス。ラストワークにふさわしい、お下品でお馬鹿な台詞のオンパレードだ。 
監督:テリー・ジョーンズ  出演:サイモン・ペッグ ケイト・ベッキンセール  2015年  イギリス  85分  配給:シンカ  新宿バルト9ほか全国公開中
http://miracle-neil.jp/

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『ノーマ、世界を変える料理』
コペンハーゲンの街を自転車でさっそうと走っていく髭面の男。彼の名前はレネ・レゼピ。ミシュランよりもホットなレストラン・ランキング「世界ベストレストラン50」で4回も一位に選ばれたノーマの若きオーナーシェフだ。伝統的なレストランのルールなんて彼には関係ない。厨房のBGMはロック・ミュージックだし、一緒に働くシェフたちも刺青を隠さない。自分のやり方を貫いて、美食不毛の地、デンマークに新たな北欧料理の概念を生み出した。レゼピを4年間追いかけたこのドキュメンタリーを見終えたとき、誰もが彼には料理人よりもアーティストという肩書がふさわしいと思うはず。 
監督:ピエール・デュシャン  出演:レネ・レゼピほか  2015年  イギリス  99分  配給:ロングライド  新宿シネマカリテほか全国順次公開
http://www.noma-movie.com/

Photo by Pierre Deschamps(C)2015 DOCUMENTREE FILMS LTD

『ヴィクトリア』
スペインから越してきたばかりのヴィクトリアは、夜明け前のベルリンで、地元の若者4人と出会う。初めての友だちができた喜びにひたるまもなく、ヴィクトリアは思いもよらない犯罪に巻き込まれてしまう。異邦人の青春映画からクライム・アクションへと変容する140分を、ワンカットで撮影したことで話題の本作。たいてい、ワンカットで撮った作品はその実験性を売りにして欠点をごまかすが、この作品に言い訳は必要なし。リアルタイムでストーリーが進むことで生まれる緊張感と臨場感を感じながら、ヴィクトリアと一緒に夜明けのベルリンを疾走している気分になった後、不思議なカタルシスに包まれる。 
監督・脚本:セバスチャン・シッパー  出演:ライア・コスタ フレデリック・ラウ フランツ・ロゴフスキ  2015年  ドイツ  140分  配給:ブロードメディア・スタジオ  5/7 (土) 渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
http://victoria-movie.jp/

『カルテル・ランド』
『ボーダーライン』
ドキュメンタリーの『カルテル・ランド』と、フィクションの『ボーダーライン』は、どちらもメキシコの麻薬カルテルが題材だ。相乗効果で理解も面白さも増幅するので、両作品の鑑賞をおすすめしたい。『カルテル・ランド』は、何気ないシーンの意味を冷静に考えるたびに背筋が凍る。例えば、監督がカメラを片手に自警団の車に同乗していたところ、麻薬カルテルから銃撃されて……なんて映像が当たり前のように使われているのだ。監督、生きてて良かった。一方の『ボーダーライン』は、『複製された男』や『プリズナーズ』で注目を集めるカナダ人監督ドゥニ・ヴィルヌーヴのアメリカ進出作だ。エミリー・ブラントが扮する正義感の強いFBI捜査官ケイトが、麻薬カルテル壊滅を目的とするチームにスカウトされるが、悪を滅ぼすためなら非合法な手段を辞さないチームのやり方に、善悪の狭間で苦悩する。不穏さを煽る暴力的な音響設計を映画館で体感してほしい。

『カルテル・ランド』
監督・撮影:マシュー・ハイネマン  2015年  メキシコ アメリカ  100分  配給:トランスフォーマー   5月上旬より、シアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開
http://cartelland-movie.com/

『ボーダーライン』
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ  出演:エミリー・ブラント ベニチオ・デル・トロ ジョシュ・ブローリン  2015年  アメリカ  121分  配給:KADOKAWA  角川シネマ有楽町ほか全国公開中
http://border-line.jp/

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Credits


Text Takako Sunaga

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