オーストラリアで変わりゆく男性の「美」

男性の新たな理想像を体現する21歳、ルイ・ギルマンに迫る。

by i-D Staff
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13 June 2016, 7:56am

Photo by Jo Duck, via Instagram.

これまで、男性モデルには特定の"ルックス"が求められてきた。古代美術から現代のファッションに至るまで、洗練に洗練を重ね、脈々と受け継がれてきた完璧な男らしさ−−これがこれまでの男性モデルに一貫して見られた共通の要素だった。特にオーストラリアではそうだろう。マックス・デュパン(Max Dupain)の『Sunbaker』やポール・ホーガン(Paul Hogan)など、オーストラリアが理想的な男性像としてきた男たちは、"男らしさ"を体現していたのだ。

しかし最近になり、ジェンダー自体が広く問い直されている中、従来とは異なる新たな理想像が登場し始めている。中間に位置するものを祝福するような、奇妙でユニークな存在が人気を博しているのだ。21歳になるオーストラリアの男性モデル、ルイ・ギルマン(Lewi Gillman)と話していると、これほどまでに静かに、しかし同時に挑発的に、その変化を物語る存在が他にあるだろうか、と思わずにいられない。

トレードマークのカールしたロングヘアと細い骨格、そして色白の肌も相まって、どこか人間離れした印象を与える。シドニーではFivetwenty社、メルボルンではScene社とすでにモデル契約を結んでいるルイ。キャリアを重ねるごとにオーラは強みを増し、控えめであるにもかかわらず、いとも簡単に、これまで男性に求められてきた美の基準を打ち壊している。この物静かなスターの卵と話しながら、「業界を変えることは必ずしも破壊的な勢いをともなわない」ことを思い知った。

キャリアのはじめから聞かせてください。モデルの世界に入ったきっかけは?
18歳ぐらいのとき、スカウトされたんだ。その時はただびっくりした。叔父もモデルをやっていたんだよ。それで叔父にエージェンシーへ連れて行かれたんだけど、ほぼその場で契約が決まったんだ。でもモデルをやるなんて僕自身は考えたこともなかった。

でもモデル業を続けたのよね。楽しめたのかしら?
いま、面白くてクレージーなことがたくさん起こっているからね。エージェンシーがかなりクールなことをやって既成概念を覆そうとしている。自分がその動きに参加しているっていうのはエキサイティングなことだなと思う。

オーストラリアでは、モデルの理想像への反発が全体に感じられるわね。あなたは他の誰とも似つかないオリジナルな存在だけれど、これまで世の中の理想に順応しなきゃならないというプレッシャーを感じたことはある?
まず髪だよね(笑)。どうにもまとめようがない髪質なんだ。ここ数年で多くのクライアントにアンドロジニー(両性具有)がもてはやされるようになって、僕にとってそれが追い風になっているのは確かだよ。撮影やエディトリアルがそういう方向に向かっているから、誰かのために自分が変わらなきゃいけないって感じることはないよ。

あなたのアンドロジニー的魅力は大きな注目を集めているわけだけれど、それを心地悪く感じることはある?
モデルを始めて、アンドロジニー的って言われるようになるまで、自分のことをそういうふうに考えたことがなかったんだ。撮影をした後に自分が写った写真を見て「これが僕?」って思うときがあって、それが面白いんだ。鏡を見て、そこに映る自分がまるで自分じゃないみたいに思えるのもなかなかいいもんだよ。

Photo by Ryan Kenny, via Instagram.

でも、外見が重視される業界で働くのはストレスを感じない?
自分の人生を見た目で、振り回すようなことはしたくないんだ。外見はそれほど重要じゃないよ。モデルとしてプレッシャーは感じるし、イメージを保つために控えなきゃいけないことも多い。好きなものを食べても体型が変わらないのはラッキーだけどね。とは言え、キャスティングに呼ばれると時々「上を脱いで歩いてみて」って言われ時もある。筋肉質で綺麗な体をした他の男性モデルたちと並ばされたりして......。でもまあ、最終的にはクライアントがどんなルックスを望んでいるかってことだしね。だから、過剰にストレスを感じたりはしないよ。自分の容姿に疑問を持ったことがないわけじゃないけど。

この業界で働いて得た最大の教訓は?
ありきたりだけど、「いつも自分自身に忠実であれ」ってことだね。容姿に関しても、業界の基準やひとの期待に応えようとして自分を変えるようなことをしちゃいけない。誰でも、自分らしくいるときがそのひとのベストな状態なんだからね。こういう業界には、そりゃ沢山のプレッシャーがあるわけだけど、僕はいつも「これは仕事」「望まない限り、自分が何者なのかを業界に決められるべきじゃない」って自分に言い聞かせている。モデルの仕事がないときはバーで働いているんだけど、モデルと同じくらいバーでの仕事をありがたく感じているんだ。モデルは素晴らしい仕事だし、自分がそれをできていることにも感謝している。だけど、「モデル=自分」なんて考えたことはない。"アンドロジニー系モデルのルイ"っていう人間になりたいなんて、これまで一度として思ったことないよ。

@lewigoss

Credits


Text Kasumi Borczyk
Images via Instagram
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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