M.I.A.と考えるリサイクル、リユース、リウェア

グローバル・リサイクル・ウィークの一環としてH&MとM.I.A.が、環境保全に取り組む姿勢について語った。

by i-D Staff
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16 May 2016, 1:24am

M.I.A.として知られるマータンギ・アルルピラガーサム(Mathangi Arulpragasam)は、過去16年間、「世界でもっとも意見をはっきり言うポップスター」のひとりとして知られてきた。政治的な問題は、これまでも彼女の歌詞や写真、ビデオで多く扱われている。彼女の発言する内容も信頼に足るものだ。M.I.A.は、自身のそんな力を使ってH&Mのグローバル・リサイクル・ウィークを支援することを決めた。グローバル・リサイクル・ウィークは、消費者から集められた古着をリサイクルして新たな生地を作り、新製品を開発するというプログラムだ。彼女は、消費者にこのプログラムへの参加を呼びかける内容の新曲「Rewear It」を書き下ろし、キャンペーンビデオも制作した。今回、本誌へのインタビューで、M.I.A.はミュージシャンとして環境保全への積極的な取り組みを支援する責任、そしてその取り組みが選択肢ではなく義務であることについて語ってくれた。

環境保全の問題はなぜそこまであなたに訴えかけたのでしょうか?
これまではそれほど環境保全には関わってこなかったの。むしろ、ふたつの世界に足を突っ込んでいる感じ。一方で、ファストファッションが席巻する世界に存在している自分。供給と需要を加速させるのに、ミュージシャンも加担しているんだと思う。1度着たら捨てるというファッションの概念と考え方を促進してしまっているけど、それは速すぎて維持することなんかできない。仕事でインドに行ったりして、そこでビデオ撮影をしたりすると、現地の企業や工場と、地球に優しい服の製造工程について話したりするのよ。いま、eコマースのサイトを立ち上げている若い子たちが増えているけれど、彼らには最初から、地球に優しい方法で事業を始めてほしい。なぜなら彼らが私たちの未来だから。彼らこそが次のH&Mなんだから。だから、やり方を変えようとしているH&Mにポジティブなものを見たの。環境保全に携わるなら今はいい時だし、インドやアフリカや中国の子たちをインスパイアするにもいい時だと思うの。

着なくなった服がゴミ廃棄場に送られることの環境的影響と、それが環境に及ぼす直接的影響を知ってショックを受けましたか?
そのことについて知ってはいたけど、それに関して必ずしも戦ってきたかといえばそんなことはなかった。消費者のニーズが減速することはありません。何を買って、それをどう捨てるか。自分が買うものがどうやって作られて、どんなふうに水が使われているか。そういう細かなことが、すべて明かされていなくちゃいけないと思う。誰もがピラミッドの頂点に立ちたいと思っている—そういう考えは依然として企業に強く根付いている。私は服の製造工程に関する詳細な情報に興味があった。それは小さなステップではあるけど、それが始まりだと思う。

いま地球が直面している最大の問題は何だと考えていますか?
インドにある工場全体の65%は申請さえされていないってどこかで読みました。国に登録されていないから、そこで出された廃棄物はモニタリングもされず、廃水は汚染されたまま流される。それがどれだけ環境に影響していることか。国によって直面している問題は違うと思うわ。アフリカ大陸ではそれが採掘に関する問題だろうし、インドや中国ではそれが汚染であることは間違いないわよね。
同時に、資本主義的なメンタリティがそれらの国に浸透していることについても考えなければならないと思う。それらの国は、西洋が作った資本主義のルールに則って事業をすすめているわけだけれど、西洋から15年ほど遅れているわけで。それはとても危険な状態だと思う。どの国も同じマニュアルに則って、超大国になるために凌ぎを削っている。まずはそのマニュアルを改訂するべきよ!

H&Mとパートナーになることで、そこへ変化を生むための道筋を示すことができると感じていますか?
そうですね。変化を生むにはまず隔たりを埋めることから始めなきゃいけない。私がH&Mのコマーシャルに出れば、世界のどこかで20歳そこそこの若者がそれを見る。その若者は、自分で何かを立ち上げようとしているところかもしれない。彼らこそが未来ですから。環境について話すのはクールじゃないかもしれないけど、環境を大切にすることは重要だってことを若者の頭に入れておけば、彼らが作り出すのは必然的に環境に考慮した事業になる可能性が高い。それから、それはH&Mに議論を展開することにもなる。私たちが、大きな企業を正しい方向に進ませなきゃならないの。H&Mはこれまで様々な社会問題を扱ってきているから、変化に貢献できる企業だと思う。

今、社会的にも政治的にも、環境問題の取り組みに参加するのは容易になってきていると感じますか?
誰もが参加しなければならないと思っています。環境問題は、好むと好まざるとにかかわらず、お金が絡んでいるの。だから存在しているのよ。原油市場があって、それをめぐる戦争が数十年も続き、その結果、今度は炭素の問題が発生する。汚染をどこにどうやって分布させて、どう廃棄分を集めて売るか−−私たちが排出する有害物質をどう処理していくのか。20年以内に誰もがそれぞれの二酸化炭素排出量に対して税金を払わなければならない時がくる。そしてそれが、プロダクトの作り方や売られ方に大きく影響していきます。だから、これまではごく一部のひとたちだけが議論してきた問題が、今後ファッションや音楽だけじゃなくて、どんな業界のどの企業にとっても日常的に考えていかなきゃならないものになっていくのよ。

手を引くなんてことはできない問題ということですね?
そう、できないの。どうしてもそうなっていきます。なぜなら、そこにはお金が絡んでいるから。もっと情報が開示されるべきだし、私たちももっとよく知っておくべきことだけど、責任を問われるのは企業です。だからいま大事なのは、私たちが個人レベルでできることをやっていくということなんだと思う。意識にあろうがあるまいが、正しかろうが間違っていようが、環境を大切にしていようがいまいが、必ず起こってしまうことなの。

2016年に世界市民であることは、あなたにとってどんな意味を持っていますか?
難しい質問ですね。現代において世界市民であるのはとても難しい。私がデビューした頃は、世界市民であることについてばかり歌っていたわ。当時は、宗教が意味するところも、「良いことをする」ということだった。今はもっと壁があるように感じるの。以前よりも宗教間の分離が広がり、人種差別も横行していて、社会区分が生まれて、格差も広がっている。昔は、お金が無くても才能さえあれば何でもできた。でも今、世界市民であるということは、世界で起こっていることを察知できて、それを克服できるだけの強さをもっているひとぐらいの意味しかないように思います。

Credits


Text Lynette Nylander
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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