フローレンス+ザ・マシーン 全9章のMVが遂に完結

感情的でシネマティックなシリーズビデオで、フローレンス・ウェルチがMVの限界を押し広げる。

by Tom Ivin
|
11 May 2016, 6:40am

制作予算の削減が著しく、SNSによってその価値が希薄になりつつあると危惧されているミュージックビデオ。しかし、映画監督たちが作った「4分のプロモーション」以上の意味をもつクリップが届くと、気分もすっきりしてくる。この世には、そのような映像を待ち望んでいるミュージシャンがいて、それをもっと待望しているアルバムがあるのだ。

フローレンス・ウェルチ(Florence Welch)の最新アルバム『How Big, How Blue, How Beautiful』のビデオでは、ビデオゲーム『ダンテズ・インフェルノ』的なフローレンスの苦悩がシネマティックに描かれている。9曲目にして、このミュージックビデオ・シリーズの最後を飾る曲「Third Eye」は、アルバム全編を通して語られてきたフローレンスの人生が昇華される内容となっている。

このアルバム・ミュージックビデオの一曲目「What Kind Of Man」で、フローレンスの心の旅ともいうべきものは始まる。そして今回発表となった「Third Eye」で、ロサンゼルスの街を巡り、心の悪魔たちを見つめなおしたフローレンスは元の自分へと回帰し、歓喜に沸く観客のもとへと戻っていく。これは再生の物語だ。エンディングへと向かう最後のシーンは、『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)を彷彿とさせる1テイク映像で綴られており、9章からなるこのアルバムの世界観を打ち出している。ロケーションは異国情緒に溢れ、エキストラの数も相当だが、それでもこのフィルムは、おしつけがましくなることなく、こぢんまりとしてパーソナルな作品に仕上がっている。監督はヴィンセント・ヘイコック(Vincent Haycock)、ライアン・ハフィントン(Ryan Heffington)とホリー・ブレイクリー(Holly Blakely)が共同で振り付けにあたっている。

先週、このフィルムの上映とQ&Aセッションがイーストロンドンで開催された。ヘイコック監督とフローレンスが参加し、司会はもうひとりのi-Dお気に入り監督、AGロハス(AG Rojas)が務めた。フローレンスはそこで、「愛とパフォーマンスで経験する高みとどん底、どんなに制御不能だったか、傷ついた心の浄化、そしてどう変わろうと努力したか、どうやって自由になろうとしたか」について語った。また彼女は、今回の極めて感情的なビジュアル作品について、「セックス……それから海の香りがする」と表現した。

Stream the full project on Florence + the Machine's website.

Credits


Text Tom Ivin
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

Tagged:
Music
florence and the machine