ファッションショーのシュールな「裏側」

ノードマンの写真集『Out of Fashion』に収められた、花が咲き乱れるDiorショーからランウェイを歩く犬まで、傑作と言われたファッションショーで撮られた写真。そこにあるのは、カーテンの裏側で起こる出来事を覗く、まったく新たな視点だ。

by Emily Manning
|
29 August 2016, 11:08am

「ウェストミンスター・ケンネル・クラブのドッグショーと、Marc Jacobsのファッションショーに共通するものは?」と、元『New Yorker』誌ビジュアルエディターのエリザベス・ビオンディ(Elizabeth Biondi)は、ランドン・ノードマンの写真集『Out of Fashion』に寄せたエッセイのなかで書いている。「どちらも熱狂的な観客が集うスペクタクルの世界だ。そして、これまでに数え切れないほどたくさんのドッグショーとファッションショーを撮ってきたのがランドン・ノードマンだ」

ファッションショーの裏側を巧妙に切り取る写真を撮り始める以前、ノードマンは同じくカオスと化すドッグショーの裏側を写真に収め続けていた。「ウェストミンスターのドッグショーは、僕が写真に求める"カラー"や"ジェスチャー"、そして"陳列"といった要素に溢れているんだ」とノードマンは、『The New Yorker』誌による2011年のインタビューで話している。彼がファッションショーの裏側をシュールな視点で撮影するようになったのは、『New Yorker』誌のフォトエディターが「ドッグショーの裏側に見るのと同じクオリティが、ファッションショーの裏側にもあるよ」と彼を促したのがきっかけだった。

ノードマンの最新写真集『Out of Fashion』は、彼がこれまで主に『New Yorker』誌の依頼で4年間撮りためてきた"シーンの裏側"を収録したもの。アイリス・アプフェルやリンジー・ウィクソンなど、ファッションの世界ではおなじみの顔や、あの髪の女帝グレイス・コディントンなどの姿も見られるが、あくまでもアウトサイダーであるノードマンは、ファッションショーではよく見られるありきたりな光景には目もくれず、むしろ見過ごされてしまいがちな細部に目を向けている。鮮やかな色彩に満ち、ハードなフラッシュライトは写真一枚一枚にドラマチックでいきいきとした力を与えているが、そこには必ずノードマンのウィットとユーモアが覗く。

この本では、Thom Browneが日本の女子高生をテーマに作ったショーや、JAQUEMUSの「顔に顔が描かれたメイク」、ラフ・シモンズがDiorで最後に発表した花が咲き乱れたショーなど、ファッションファンなら誰もが覚えているにちがいない数々のショーの模様を見ることができる。しかし、そこに見えるのは、これまで私たちが思いもしなかったカーテンの裏側の光景だ。「ノードマンは、ショーというものを真に楽しんでいる。そして、スタイルの意識に見られる欠点や、ひとびとの虚栄心を心から楽しんでいる」とビオンディは書いている。「そんなすべてが、ノードマンにとっては壮大なショーなのだ」

Out of Fashion, published by Damiani, arrives in October. More information here

Credits


Text Emily Manning
Photography Landon Nordeman
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

Tagged:
landon nordeman
out of fashion