ひと連なりの“時代”:ANREALAGE 19SS

デザイナーの森永邦彦が、パリに進出して以来の重要なパートナー、山口一郎が率いる〈NF〉と真鍋大度の〈ライゾマティックスリサーチ〉とともに、2003年から始まるANREALAGEの足跡をドラマティックに巡った。

by Tatsuya Yamaguchi; photos by Takao Iwasawa
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21 October 2018, 9:16am

東品川にあるAmazon Fashion Studioに設えられたANREALAGEのショー会場。空間の中央を横断する巨大な白いパネルをゲストたちは取り囲む。2003年にブランドをスタートした彼が、今年でブランドの15年目を迎えるメモリアルなタイミングで、4年ぶりに、東京の地での発表を決意した。

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そもそもブランド名を解体すれば、「日常」と「非日常」、そして「時代」という言葉が浮き上がる。その意味を何度も再解釈して生み出されてきたコレクションは、いつも何かの“発見”に満ちていた。たとえば、街中の木洩れ陽が生みだした光と影がひとえに美しいことであったり、私たちがまとっている服は常に紫外線に晒されていることであったり。多くの人が日常の忙しなさのなかで見過ごしているあれこれに対して森永は、常に関心を寄せ、凝視し、そこに潜む何かに鋭い眼差しを向けてきた。

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服の色、サイズ、季節の感覚、あるいは“かたち”という常識への問いを投げかけ続けたこのブランドは、2015年春夏コレクションからパリファッションウィークの舞台に自らを導いた。以来、より概念的なものをシーズンテーマの俎上に載せてきたが、もっとも象徴的なのは「光と影」にまつわるコレクション——10月20日の夜は「A LIGHT UN LIGHT COLLECTION」と名付けられた。

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音楽が会場の空気を瞬時に震わせた。白いパネルとゲストの間をモデルが闊歩する。そのファーストルックは、光を吸収することで黒く変色するビジューやパールが無数に取り付けられたワンピース——パリで発表を終えたばかりの2019年春夏コレクション「CLEAR」だ。心地よいサウンドの転調が、抑揚のある時間の流れをつくり上げると、PFWで発表してきたアーカイブコレクションが現れる。フラッシュ撮影の光で色柄が出現する服、紫外線があてると部分的に変色したり、黒い服地から柄が浮かびあがったり……。白いパネルの前にモデルが静止し、〈ライゾマティックスリサーチ〉による、パネル全体を覆う映像を駆使した表現が繰り広げられる。そうして、それぞれのコレクションの特性とテクノロジーが切り拓くファッションの可能性が、明快かつドラマティックに表現されていく。

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会場は暗転し、中央のボードに2003年から2018年までの年号が映し出され、最新の2019年春夏コレクションから遡りながら全30シーズンを象徴するルックをまとったモデルが、1人ずつ歩みを進めていく。

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15年間という時間軸を丁寧に巻き戻すかのように、あるいはANREALAGEの足跡をひとつずつ確かめるかのように、森永邦彦の“最初の日”に立ち戻らんとしているようにみえる。それは、「神は細部に宿る」という精神を持って驚異的な手仕事で服を仕立てていた原点を今なお忘れることがないという明白な宣言であり、家族や親族を含めた“関係者”に対する愛がこもった謝辞にも思える。大勢の名前が記されたスタッフクレジットの紙を見返せば“SPECIAL THANKS”の欄がある。その末尾に、彼が服作りを始めるきっかけを与えたデザイナー、神田恵介の名があった。

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