中国の実験的な音楽プロデューサー:パン・ダイジン

中国生まれの音楽プロデューサー、パン・ダイジン。そのデビューアルバムは、ベルリンから生まれた最高に刺激的で実験的な作品のひとつだ。

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28 mars 2018, 1:17pm

This article originally appeared in The Sounding Off Issue, no. 350, Winter 2017.

「中国に住んでいたときは、実験音楽の存在すら知らなかった。最初にインターネットを使ったのは17歳のとき。Googleの使い方もわかってなくて」とパン・ダイジンは言い、笑い出した。中国南西部の伝統的な家庭で育ったパンは、20代前半でアメリカに渡るまで作曲をしたことはなかった。その後、サンフランシスコのエクスペリメンタルミュージック・シーンに影響を受けた彼女は、YouTubeのチュートリアル動画を見ながら、シンセサイザーやドラムマシンの使い方を独学で学んでいった。

数年が経ち、今ではパンはベルリンを自分の故郷と呼び、今年、偶然にも〈PAN〉という地元のレーベルから初のLP『Lack』をリリースするまでになった。その『Lack』で彼女はヴォーカル、シンセサイザー、ドローン(ノイズ・エフェクター)、そしてドラムを用いた激しいテクノを披露している。

「もっと若かった頃は、自分の声が聞くに耐えるものかどうかよくわからなかった。だからちょっと激しくシャウトしていたの。いま私の音楽はもっと成熟していて、私自身もシンプルになった。表現が人生から出てくるという点は同じだけど、その分析の仕方はずっと熟達したから」と彼女は説明する。これは彼女の魅力的なライブパフォーマンスからも感じられることだ。観客との距離をなくすために、パンは音や動き、アドリブを駆使する。それは単なるライブというよりも、サウンドを用いたパフォーマンスアートのようなものだ。「余白を残しておいて、観客がどこでも好きなところに行けるようにしているの。フェーダー(音量を調整する機器)というよりジェネレーター(電源供給機器)という感じ。彼らが望めば、理解することができる。観客は私の恋人。彼らがそれを知らないだけ」

2017年は年末までツアーをしていた彼女。もうすでに次のアルバムの構想を練っていて、実験的なポップと自身の声域を試したいと言う。「人間の声は、いちばん刺激的な音源。あなたの声は他の誰のものとも違う。声は年をとらないの」

Credits


Photography Bex Day
Photography assistance Eva Zorbazanett.
Translation Aya Takatsu

This article originally appeared on i-D UK.