ジャネール・モネイがバイセクシャルとブラック・エクセレンスを歌った2曲をリリース

「Make Me Feel」と「Dango Jane」のリリースは、これまでモノクロだったジャネール・モネイが、誇り高く色を塗る準備が整ったという紛れのない証拠だ。

by Charlotte Gush; translated by Yuichi Asami
|
15 March 2018, 9:51am

ジャネール・モネイはすでに絶大な存在感をまとっている。モノクロの女王としてレッドカーペットに火を注いできたジャネールは『ムーンライト』のテレサ役や『ドリーム』での先駆的なNASAの数学者メアリー・ジャクソン役で圧巻の演技をみせてきた。しかしながら今回、ジャネール・モネイは5年ぶりとなる新作アルバム『Dirty Computer』から、異なるヴァイブスを放つ2曲をMVとともに公開。私たちにミュージシャンとしての力量を再認識させてくれた。

「Make Me Feel」は、瞬時に魅了されるコーラスと、息を呑むようなオールドスクール・ディスコのトラックだ。生前プリンスは2016年にジャネールとアルバム制作に取りかかっていた。キッスを彷彿とさせるファンキーなギターに乗せられた「Make Me Feel」のジャネールのヴォーカルは、プリンス(と彼の音楽)への愛に溢れている。楽曲の1/3は80年代のクラシックが、2/3には2018年におけるセクシャリティの解放へ向けた「女性宣言」が謳われたこの曲が描くのは、バイセクシャルの三角関係だ(MVには、ジャネールの恋人と噂される女優のテッサ・トンプソンが出演している)。衣装やダンスまで、プリンスへの多大な愛をもって、彼女はジェーン・フォンダのリアルさからマイケル・ジャクソンの股を掴む動きまでを表現している。お見事。

「Make Me Feel」がディスコを通じた楽しい反抗だとすれば、「Django Jane」はジャネールが単に音楽をやりたいだけではないことをハッキリと示している。ケンドリックやカニエも脱帽するような楽曲だ。ギャングスタのボス以上に革命的な存在である“Django Jane”は、『ブラック・パンサー』の支持者であることを示唆する黒いバイカージャケットを羽織った女性集団を率いている。

一見するとラップのスタンダードなリリック(「これは私の宮殿、聖杯にはシャンパン」)に聴こえるが、そこはジャネール・モネイ。豪奢を見せつけるだけではない。両親の職業や前職の小売業に言及しながら、彼女は次のようにラップしている。
「ママはギャングスタで、ホテルの掃除/ パパはドライバーで、私は小売業/ 私たちは店の裏に隠されてた / もう隠れない / ニガーにムーンライトを/ ニガーに炎を /大義のためにオスカーだって取ってる」
『ムーンライト』のアカデミー賞作品賞について触れたリリックは、”ブラック・エクセレンス(黒人の持つ素晴らしさ)”を体現する作品への敬意を表している。

女性のルックス批判や女性(とりわけ黒人女性)を黙らせようとする声には、辛い経験から学んだ力強いユーモアをもって反抗している。「男っぽすぎるって言われていたことを思い出して / ブラック・ガール・マジック、あなたたちでは敵わない」と彼女はラップしている。「引き下がってニガー、座って、あなたたちは仲間じゃないから / ミュート・ボタンを押して / ヴァギナにモノローグを持たせる」。ジャネールは「Django Jane」について、「女性、黒人女性、性的に自由な女性、そして何十年も虐げられてきた両親を持つ娘として脅迫されてきた痛みへのレスポンス」だと『Guardian』誌のインタビューの中で語っている。

ソランジュの傑作アルバム『A Seat at the Table』と同様、ジャネールは音楽にパーソナルで政治的な視点を持ち込んでいる。「黒人女性や〈他人〉とされてきた人、そして社会で取り残された人--私がサポートしたかったのはそういう人たちで、それは声を上げる辛さ以上に重要なことでした」とジャネールは語っている。

「Metropolis」「ArchAndroid」「Electric Lady」という前3作で、ジャネールはレトロ(もしくはアフロ)・フューチャリズムの最先端にいた。『Dirty Computer』から先行リリースされた2曲で、彼女はこれまで以上に現代社会へフォーカスし、野心的な音楽と政治的なメッセージが私たちを力強く未来へといざなっている。
「ジャネール・モネイによるエモーション・ピクチャー」という字幕のついた予告映像で今年4月のリリースが発表された『Dirty Computer』は、プリンスの遺伝子を受け継いだ『Dirty Answer』へのアンサーになるのだろうか?「Make Me Feel」と「Dango Jane」のリリースは、これまでモノクロだったジャネール・モネイが、誇り高く色を塗る準備が整ったという紛れのない証拠である。

This article originally appeared on i-D UK.

Tagged:
Music
Janelle Monae
make me feel
django jane