瞑想のススメ

瞑想初心者が、瞑想アプリ〈ヘッドスペース〉を用いて一ヶ月間瞑想に取り組んでみた体験記

by MAKOTO KIKUCHI
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10 February 2021, 8:26am

瞑想をはじめて1ヶ月が経過した。分かりやすく何かが変化したわけではないけれど、毎日を過ごすのがかなり楽になったのは事実だ。瞑想を始めたキッカケは、年始に経験したパニック発作だった。「死が迎えに来た」と本気で感じたのは、あのときが初めてで、それからしばらくは不安定な精神状態が続いた。友人達の目の前で取り乱すことが何度かあり、その度に激しい自己嫌悪に陥っていた。そんな状態になって、藁にもすがる思いでダウンロードしたのが瞑想アプリの〈ヘッドスペース(Headspace)〉だった。

ヘッドスペースは2010年5月にイギリスのロンドンでスタートした瞑想アプリで、現在世界中で200万人以上が利用している。今年一月に公開されたNetflixシリーズ『ヘッドスペースの瞑想ガイド』でこのアプリの名前を知ったという人も多いだろう。ありとあらゆるシチュエーションに応じた瞑想のやり方が紹介されているこのアプリでは、手軽かつ気楽に瞑想やマインドフルネスについて学ぶことができる上に、瞑想した日にちや回数、そのときの自分の精神状態を記録することもできる。アプリのデザインもポップで明るく、やる気が出る。アプリが有料であることと、日本語に対応していないことを除けば文句無しでオススメできるアプリだと思う。アップルストアのレビューに星5つを付けて、わざわざコメントまで書き込んだのはこのアプリが初めてだ。

瞑想を初めてすぐに気がついたのは、不安や怒り、焦燥感などの感情を無理に振り払う必要はないということ。今ある感情を消し去ろうと躍起になることで、返って自分の気持ちを追い込んでいたことが分かった。以来、何か強烈にネガティブな感情に対処するときは、実家の最寄り駅のホームに立つ自分を想像することにした。開いた車両の扉にその感情の入った袋をほいと放り投げて、発車するのを待つ。私という人間と、その感情との間に距離を置くのだ。もちろん、いつでもそんな風に客観的になれるわけではないけれど、一日にほんの少しの時間でも何もしないで立ち止まることができれば、そのプロセスは少しだけやり易くなる。ゆっくりと呼吸をしながら自分と向き合うことは、とてもシンプルだけれど、日常何かに追われるうちに忘れてしまいがちなことでもある。

自分の感情に追い込まれないということは、同時に何か新しいことを思いついたり、発見したりする余白を与えることにも繋がる。例えば原稿の締め切りが近いことに焦り、余計に作業が手に付かなくなるとき。そんなときは、ベッドの横に腰掛け、窓の隙間から来る冷たい空気を感じながら、目を閉じて深呼吸をする。時間があればアプリを開いて瞑想をするし、そんな余裕もないのであればただ呼吸にだけ意識を向けて、そのあと軽く背伸びをするのだ。そうやって気持ちを切り替えてまたデスクに向かうと、不思議なほど集中力が向上していることに気付く。ヘッドスペース創立者のアンディ・プディコムはアプリの公式サイトでこのように綴っている。「心を湖の表面のように捉えてください。心が忙し

ないときは、まるで小石を投げつけられた水面のように衝撃が加わっている状態なんです。(中略)この忙しない水面の下には、インスピレーションに満ちた突発的なアイディアが潜んでいます。休むことなく動く水のせいで見えにくくなっているというだけで、そうしたアイディアはいつでもそこにあるんです」

英語が苦手という人には、日本語に対応している瞑想アプリ〈カーム(Calm)〉や〈メディトピア(Meditopia)〉もおすすめだ。実際に瞑想をやってみるのに、特別なものはなにも必要ない。アプリをダウンロードする必要すらないかもしれない。強いて言うなら座り心地のよい椅子……いや、椅子でなくともただ少し腰掛けて身体を楽にできる場所があればそれでいいのだ。朝起きてベッドから立ち上がる前や、仕事の昼休みに散歩に出かけた公園、あなたがリラックスできる環境で、まずはゆっくり深呼吸してみることから始めよう。

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