「私には家がないんだもの」:シタ・アベラン インタビュー

神出鬼没に世界を飛び回る、スペイン出身のモデル・DJ、シタ・アベラン。ファッションと音楽に情熱を注ぐイットガールの素顔は、どこまでも大胆不敵で変幻自在だった。

by Sahoko Yamazaki
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22 June 2017, 7:05am

ブランドや流行に縛られないシタ・アベラン(Sita Abellan)は、自由気ままに世界を旅する。ストリートをお気に入りのファッションで歩くときは、誰にも縛られない"ワールド・ノマド"。DJをするときは、リスナーとどこまでもディープにつながる"テクノ・プリンセス"となって。
「1ヶ月以上同じ場所にいたら退屈してしまうの」と話すシタ、定住したい街はまだ見つかっていないらしい。今回、VERBALとデザイナーのYOONによる東京発のブランドAMBUSH®と、シュウ ウエムラがコラボレートしたコレクションのローンチパーティのため来日したシタ・アベランにインタビューを行った。

ようこそ東京へ!
東京はお気に入りの街だから、今とてもハッピーな気分。ちょっと時差ボケ気味だけどね(笑)。

あなたはいつも世界中を旅しています。ご自身のことを"ワールド・ノマド"と自称していましたね。
だって、私には家がないんだもの(笑)。一応ミラノがベースだけど、あんまり長居はしないし、家というよりはただの洋服置き場みたいになってる。休みのときも、ミラノで過ごすよりは故郷のスペインに行くほうが好きだし。

久々の日本滞在はいかがですか?
たしか、初めて日本に来たのは2年くらい前だったかな? 2016年の9月にもDIESELのショーのために来日したけど、全部で24時間くらいしか滞在できなかった。今回は1日フリータイムがあるからすごくうれしいわ。
今はどの街に行くにも1週間以上は滞在できない。だいたい5日以下ね。こないだ日本に来たときも街を探索する時間なんて全然なくて、いくつかお寺を巡ったくらい。知り合いはたくさんいるんだけど、いつも時間がなくて慌ただしいの。

東京のファッションはどう思いますか?
初めて来たときは驚いたわ。あまりにも色々なスタイルがあったから。私はスペイン南部のムルシアという街の出身なんだけど、今みたいなファッションで街を歩くと、周りの人から好奇な目で見られちゃうの。ミラノも東京よりは保守的。東京では変な目で見られることがなくて、そこも気に入ってる。

あなたのスタイルは東京では歓迎されますよ。ところでAMBUSH®についてはどんな印象をお持ちですか? デザイナーが友人だと聞きましたが。
ユニークで斬新で大好きよ。デザイナーのYOONはとてもナイスで、パリコレとかでもよく会うんだけど、すごくクールなブランドだと思う。

AMBUSH®は東京生まれのブランドですが、東京らしいスタイルだと思います? それともワールドワイドなセンスを感じますか?
私はワールドワイドだと思うわ。ユニークでクレイジーで、最新コレクションも素晴らしい。とにかく新しいことに挑戦しているブランドだと思う。

現在、モデル・DJとして世界中を飛び回ってご活躍されていますよね。10年前の自分に今の自分の姿って想像できていましたか?
10代の頃からずっとモデルになりたかったの。ほかに、生まれ育った街から飛び立てる手段を思いつかなかったから。それに、ファッションにはいつも情熱があった。今みたいにInstagramとかTumblrがなかった時代に、スペインでキャリアをスタートさせたの。ミラノに引っ越してから、色々なことが大きく変わりはじめたと思う。DJも始めたし、ニューヨークや東京、世界中を飛び回るようになった。仕事をたくさんするのは苦手だから、今は大変だけどね(笑)。
だから、10年前の自分には今の自分は想像できなかったわ。こんなことが起こるなんて予測もしてなかった。今はファッションと音楽、情熱を注げることがふたつもあって、すごく幸せ。

ファッションのインスピレーションはどこから? レトロやサイバーパンクをモダンなスタイルにうまくミックスしていますよね。
私のスタイルはすべてのことからインスパイアされてる。でも、ほとんどのインスピレーションが人から。音楽もファッションも出会う人。すべての経験がとても新鮮なの。

今お気に入りのブランドやスタイルは?
よく聞かれるんだけど、お気に入りのブランドもスタイルもない。流行に従ってるわけじゃないし、何かを100%で好きになるわけじゃないの。ブランドと自分のセンスを結びつけたくないし、好きなスタイルをブランドの名前では選ばないから。

音楽についての質問です。あなたは "テクノ・プリンセス"と呼ばれていますが、その名前の由来は?
最初は冗談のつもりで言ってたんだけど、いつの間にかみんなが私を"テクノ・プリンセス"と呼ぶようになったの(笑)。テクノは大好きだし、スペインでも大人気のジャンル。テクノはハードでラディカルだけど、プリンセスってソフトなイメージでしょ。その矛盾が面白いと思って。

あなたらしいですね。それではDJをするときのインスピレーションはどこから得ているのですか?
10代の頃から、ポストパンク時代のニューウェーブ、ダークウェーブが好きで、いつしかダークな音楽にハマっていたの。インダストリアルテクノを聴き始めるようになってからは、これこそ自分を表現するのに合っているジャンルだなって思った。

どんなことを考えながら音楽をミックスしているのですか?
DJをするときは目を閉じて、音楽の世界に溺れていく感じかな。プレイするのは大好き。たくさんの人と音楽でつながれるから。

ファッション方面での将来のプランは?
自分のコレクションを作りたいし、靴も作りたい。それに音楽ももっとやりたい。でも今年の目標は、まずはコレクションを作ることかな。

今はクローゼットに住んでいるみたいですが、今後どこかに落ち着く予定はありますか? それとも世界中を飛び回り続けます?
年を重ねたらきっと落ち着くわ。さっきは「同じ場所に1週間いられない」って愚痴ったけど、1ヶ月以上同じ場所にいたら退屈してしまうの。今は旅をしているのが楽しくて好き。

将来住みたい場所は?
わからない(笑)。

故郷のムルシアには戻らない?
ムルシアは遠慮しとく(笑)。だって、あそこには私がやりたいファッション業界の仕事がないんだもの。でもスペインは大好きだから、いつか戻りたいと思う。

今世界には、あなたみたいに強くてインディペンデントな女性がたくさんいて、まさに女性の時代だと思います。
うん、とてもいいことだと思う。あまり政治的なことは話したくないけど、女性と男性は平等であるべきよ。女性が活躍できる社会は素敵だと思う。良いとか悪いとか、どっちが優れているかとかじゃなくて、みんな同じ人類でしょ? 今みたいな状況が続くといいなと思ってる。

あなたの存在は、世界中の女性たちを勇気づけていると思いますよ。
私の活動が少しでも女性たちの役に立つのなら、そんなにうれしいことはないわ。

Credits


Photography Takao Iwasawa
Text Sahoko Yamazaki
SITA WEARS ALL CLOTHING AMBUSH®

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