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Kriss Soonik:女性の自信の掻き立てるランジェリー

国内外で人気を博しているランジェリーブランド、Kriss Soonik。デザイナーのクリス・ソニックに、彼女の思い描くブランド像やランジェリーのあり方について訊いた。

by Aya Tsuchii
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22 May 2017, 2:05am

ランジェリー界に新たな風を巻き起こしたエストニア出身のランジェリーデザイナー、クリス・ソニック。彼女のブランドKriss Soonikはセクシーさも残しつつ、シンプル。そして程よく上品なシースルーやレースやフリルを控えめに加えた絶妙なバランスが特徴的。彼女のデザインを見ていると、色鮮やかな色使いやとびっきりセクシーな海外のランジェリーのイメージが壊される。

「デザインを勉強したわけではありません。でも小さいときから、趣味でデザインをしていました。大学では、ビジネス&マーケティング、その後LCFでファッション・マーケティングの勉強をしましたが、いつも心のどこかでデザインをしたいと思っていたんです。卒業した後は、Vivienne Westwoodの息子、ジョセフ・コーが経営しているランジェリーブランドAgent Provocateurで数年間働きました」とクリスは当時を振り返る。「19歳のとき、趣味でウィメンズウェアをデザインしていたんです。デザインに対する強い想いはずっとありました。それと同時に、自分らしさやアイデンティティを探していたんです。様々なデザイナーやファッション業界の人たちと知り合い、いろんなこと知るうちに、ランジェリーにはワクワクするような革新的なブランドがないことに気がつきました。あの頃は、どれもありきたりなデザインばかりでした」。ランジェリーのあり方や目新しさのないデザイン性に疑問を抱いた彼女は、ランジェリー界に新たな風を吹き込むべく、デザインの道へ進むことを決意する。「2008年、今がチャレンジするときだと思いました。思い立って勢いでブランドを始めたけど、いざ始めてみるととても楽しかったです」

ヨーロッパのランジェリーというと、セクシーだったり、フェティッシュだったり。女性らしさや女性の強さを全面に押し出しているものが多い。「イギリスのセクシーさも残しつつ、どこかシンプルなものを意識していました。当時のラグジュアリー・ランジェリーブランドではあまり見ることのない、若々しさや可愛さもあるランジェリー、遊び心溢れるオリジナルなものを」。彼女のいうセクシーさとシンプルさ、そして絶妙な可愛さの融合が、日本人にも好まれている理由だと言える。「力強くてセクシーな女性ではなく、私たちはいたってソフトタッチな雰囲気を意識しています」と彼女は話す。ランジェリーだけでなく、服として着用できるデザインについては、「私はもともとウィメンズウェアに興味があったので、服としても着用できるアイテムをデザインしたいと考えていたんです。初コレクションでは、シャツやニット素材のジャンパーをブラやショーツとミックスさせて発表しました。ランジェリーの要素は残しつつも、ランジェリー界のリミットをはずすというか、境界線を超えたいと思いました。それに、当時は他に私たちみたいなコレクションを展開しているランジェリーブランドはなかったので、新しい試みでした。どういった反応があるのかとても興味深かったですね」とランジェリー界の常識を覆すため、果敢にチャレンジしていった。「一度だけロンドン・ファッションウィークで展示を行ったのだけれど、まだ今のようにランジェリーがファッショナブルな時代ではなかったからあまり満足できる結果にはなりませんでした」と当時の状況を話す。現在はランジェリーがどんどんファッショナブルになっていっていると説明しつつ、「ファッション業界はまだ、ランジェリーをファッションの一部としてみなしていないのが現状。ファッションウィークでランジェリーブランドが発表をして注目を集めるのはとても難しいんです」と当時の困難を話す。しかし、「もう一度、ファッションウィークの期間中かその前後でコレクション発表をしてみたい」と今後の展開には前向きだ。「今はランジェリーと服の境界線もグレーになりつつあるから、試してみる価値はあると思っています」

デザインをするときは、いつもノートを持ち歩いて、とにかく記録するというクリス。ランジェリーが出来上がるまでにはどんな過程があるのだろうか。「パリのファブリックショーに足を運び、生地を決めます。その次がデザインのとても難しい部分なのだけれど、コレクションの全体像を決めて、ブランドイメージとマッチしているか、クレイジーすぎないかなどを考えてコレクションを詰めていきます」。毎日着用するものだからこそ、素材には特に気をつけているという。「素材はフランスレースやイタリア製のソフトなジャージーを使ったり、いろいろと気にかけています。ランジェリーは使える素材が限られているから、デザインの幅の狭くなってしまう。トレンドも大切だけど、フォローしすぎるのは好きじゃありません」と細かなディテールにまでこだわり抜く。

東京に年に2回が訪れるという彼女にとって、東京とはどんな場所なのだろうか。「東京のカルチャーにはとても興味があり、これまでもたくさんインスパイアされてきました。これは日本に来る以前から。子どもの頃、インターネットがまだ今のように普及していなかった時代、私は友達とセーラームーンや漫画にハマっていました。多分、私の父か友達の親が買ってきたものだと思いますが、当時のエストニアでは、日本のものはあまり浸透していなかったから、余計にクールに感じたんです。その頃から東京に行ってみたかった。わたしの中で日本に行くということは、月に行くような感覚だった。文化も違うし、とても遠く、ファッションも何もかもが違うと思っていましたから。東京のストリートファッションにもとても興味がありました。『Fruits』を知って、衝撃を受けたのを覚えています。きっと私がブランドを始めたときはすでに、日本らしい要素やディテールがデザインに表れていたと思います」。そう話す彼女のデザインにはヨーロッパの色と日本の色が絶妙に融合されている。「東京を訪れるようになり、デザインの幅は広がりました。自由にデザインをしていいんだって思えるようになったんです。自分に自信を持てるようにもなりましたね。もし私が日本を訪れていなかったら、もっとありきたりなものをデザインしていたと思います」

そうしたデザインには、彼女ならではの思いが反映されている。「私のランジェリーは、体型や年齢を問わず、どんな女性でも着用できる。特別な人物を想定してデザインしているわけではないし、年齢や国籍も関係ないと思っていますから。大事なのはどう着るか。スタイリングがすべてです。ルックブックやキャンペーン広告も撮るけれど、これらはリアルではないでしょう? イメージはあくまでイメージ。実際には様々な人が着用してくれていて、私は常にそのリアルな人たちのためにデザインをしています。普段から、女性が持つ内面から湧き出る魅力に惹かれることが多いんです。女性はみんな、素晴らしく素敵だと思います」

クリスがこれまで数多く発表してきたKriss Soonikのコレクションの中でも特に印象深いのが、スーパーウーマンをテーマにしたコレクションだ。「米国の映画に登場するスーパーウーマンにはいつも刺激されています。私とってのスーパーウーマンはロゴのキャット。彼女(キャット)は、とても自立していて力強く、グラマラスでもある。Kriss Soonikは女の子のためのブランド。だからこそ、着用する女性たちが自信を持てるようなアイテムを提供したい。"あなたは、そのままで美しい!"って。だから、このブランドは女性にとってスーパーウーマンのような存在だと思っています」

肌に直接触れるランジェリーの大切さを改めて考えさせられる。新鋭的なデザイン性と抜かりないクオリティーの高さ、そして、こだわり抜かれた素材。自身も思いきりデザインを楽しみつつ、しっかりと消費者の思いも受け止める。クリス・ソニックによる女性のためのランジェリーは、これからも女性の自信へと変わるようなスーパーウーマンの役割を担い続けるだろう。

Credits


Photography Ginjiro Uemura
Text Aya Tsuchii

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