MOMAでファッションアーカイブ展が開催

NIKEや501、着物にいたるまで幅広いアイテムを集めてファッションを紐解く展覧会の全貌とは?

by Emily Manning
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25 April 2016, 4:47am

メトロポリタン美術館で開催された『Alexander McQueen: Savage Beauty』展をはじめ、ファッションに焦点を当てた展覧会が記録的な来場者数を打ち出す一方、これまで服飾デザインを扱う展覧会の開催を避けてきたミュージアムがある。ニューヨーク現代美術館MOMAだ。

「MOMAはこれまで、"短命で時季と流行に左右されるもの"として軽んじられる傾向の強いファッションから、意識的に距離を置いてきました」とMOMAの建築・デザイン部シニア・キュレーター、パオラ・アントネッリはブログで説明している。どうやら、同ミュージアムが2015年に、Hussein ChalayanやEckhaus Lattaのコレクションをショーの一部として展示したことは忘れてしまっているようだ。

それはともかく、2017年12月に開催する『Items: Is Fashion Modern?』展で、MOMAはファッションデザインの世界に足を踏み入れることになった。Levi'sの501からブラックドレス、ユダヤ教のキッパー(ユダヤの民族衣装で、男性が頭に装着する帽子)、クーフィーヤ(アラブ男性が頭に巻きつける布:アフガンストール)まで、99点のファッションアイテムの「過去」、「現在」、「未来」を社会的・政治的観点から読み解く内容となる予定だ。

Items』展は、ファッションアイテム99点を、アーキタイプ(原型:進化の歴史の起源となったアイテム)、ステレオタイプ(典型:原型の重要性をもっとも顕著に体現化したアイテム)、そしてアイテムによってはプロトタイプ(新たに制作されるアイテム)の3つの段階に分けて、99点のファッションアイテムを検証するという。「例えば」とアントネッリは説明する。「Diane von Furstenbergが1974年に発表したラップドレスが、このデザインのステレオタイプであるとするならば、本展覧会では時をさかのぼり、Charles Jamesが1932年に発表したタクシードレスを辿り、そのアーキタイプとなる日本の着物までを検証するわけです」。展覧会のためのリサーチの過程で、同じアイテムの新しいタイプが出現し、それが「デザインの再解釈、または技術、実用、社会の側面において進化の脈絡であると判断される場合」には、MOMAはそれをプロトタイプとして『Items』展に取り入れるという。

Image courtesy Shutterstock/SFIO CRACHO

5月15・16日の2日間、MOMAはデザイナーやキュレーター、批評家、学者、活動家、そして企業家を集め、第三者によるリサーチ会議を行なう予定だ。また「ファッションが、着る者と周りの環境にどう影響するか」を議題としたパネルディスカッションと、アルファベット順にファッションのキーワードを紐解いていくプレゼンテーションが開催されるという。プレゼンテーションでは、ひとつのアルファベットにつき7分が与えられる。トップバッターは、「A」の"Air(エア)"を紐解く、Nikeのクリエイティブ・コンセプト部部長、ティンカー・ハットフィールド。

その後、Pyer Moss創始者カービー・ジャン・レイモンドと、活動家ディレイ・マケッソンが、「H」で"フーディ(hoodie:パーカ)"を語り、MOMAの別館展示施設PS1にて公開される『Greater New York』展に作品が展示されるSlow and Steady Wins the Raceのデザイナー、メアリー・ピンと、ブランドコンサルタントのカルメン・アルティガスは、「R」を"ラナ・プラザ(Rana Plaza)※1"として、労働、ジェンダー、経済を語る。これらのディスカッションはMOMAのウェブサイトで生中継される。

「デザイナーではなく、アイテムそのものに焦点を当てる」と、皮肉にもMaison Martin Margielaの理念のような言葉で終わるリリースのなかで、MOMAは『Items』展を「ファッションと機能性、文化的エチケット、芸術、政治、労働、アイデンティティ、経済、そして技術の関係性を探る展覧会となるだろう」と説明している。

※1 バングラデシュの首都近郊にあった商業施設の名称。施設ビル内には安価労働力に依存した欧米や日本の大手衣料品業者からの依頼を受ける裁縫工場が多数あり、大型発電機とミシンの振動が重なって、2013年に崩壊した。

Credits


Text Emily Manning
Photography Klaus Maertens. Doc Martens. Classic Airwear introduced in 1960. Photo by Melanie Levi. Some rights reserved. Used through Creative Commons. 

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