任航「東京」

空間に散りばめられたピースの端々から漂う、新章到来の予感。中国・北京を拠点に活動する任航(Ren Hang)の最新個展。

by Daiho Tateishi
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30 August 2016, 5:37am

© Ren Hang

きっと西から朝日が昇り、止まない雨がおそらくないように、日々絶えず繰り返される緊張と緩和。昨日はあんなに不機嫌だったのに、隣でゲラゲラ笑っている友だち。この前来たときはあったのに、誰かに先を越されたお目当ての古本。なんだかいつもと味の違う、食べ慣れた定番メニュー。変化は人に恐れを抱かせるけれど、実のところずっと変わらないものなどありやしない。だから、その違いを見つけては楽しむほうが、頑なに凝り固まるよりはよほど自然なのかもしれない。

9月1日から新宿のmatchbacoで約3週間にわたって開催される「東京」では、日本初個展「NEW LOVE」(同ギャラリー、2015)に際して初めて日本の地に降り立った任航(レン・ハン)が、その目と手で直に触れては切り取った東京の断片が並べられる。そこでは彼の代名詞とも呼べる美意識の張り巡らされたヌード写真と共に、大きく笑顔を浮かべる女性のスナップや、モデルが登場しない都市写真が配置される。彼の心境に、幾分かの変化があったのだろうか。それは間違いなくあっただろうし、特別彼は隠そうともしない。大学に嫌気が差して通うのをやめ、持て余した時間にカメラを持ち、夏の暑い部屋で上裸になるルームメイトを被写体に写真を撮りはじめたという出発点。気心の知れた友と共有する時間のなかで訪れる、いくつもの瞬間。そんな極めて自然体な、自分の心に素直なアーティストの本質が新作には表れている。つまり、練りこまれた構図と独自の色彩感覚、バックグラウンドやテーマの過激さもあいまって、視覚情報として圧倒的な存在感を持つヌード写真によって既に確立された任航という写真家のイメージは、あくまで彼の魅力の一部分でしかないということだ。では、これから彼は一体どんな世界を私たちに見せてくれるのか。2度目となる東京での個展に足を運べば、そんな期待を抱かずにはいられない。

任航「東京」
期間:2016年9月1日(木)- 24日(土)
開廊時間:13:00-21:00
休廊:日曜・月曜
会場:matchbaco
住所:160-0022 東京都新宿区新宿3-1-32 新宿ビル2号館5階
tel. 03-4405-9552
http://matchbaco.net

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Credits


Photography Kuta Takashima
Text Daiho Tateishi

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