C.Eとニック・ナイトが語る、ユース観とコラボ文化

SHOWstudioの「Untitled」プロジェクトで、C.E がブランドのデザイナーであるSk8thingとトビー・フェルトウェル、写真家ニック・ナイト、映像作家レイ・ナダルの視点からみた「ユース」の概念を探り、カプセル・コレクションを制作した。

by Steve Salter
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05 July 2017, 10:10am

MACHINE-Aのディレクター、スタヴロス・カレリス(Stavros Karelis)の紹介で出会ったSHOWstudioのニック・ナイト、ディレクターのレイ・ナダル、そしてC.Eでデザインを手がけるデザイナーのスケートシングとトビー・フェルトウェルは、2年をかけて"ユース"の世界を探った。ユースという、子どもから大人へと変化する微妙な数年間は、このプロジェクトに参加したアーティストたちにとって何を意味するのか? 新たな世代が持つ流動性、自由、発見、不品行、可能性、反発に対する考え方に、彼らはどう触発されているのだろうか? ユースを体現する存在として、ニック・ナイトは、ジョーンズ・ビーチで煙草を吸う少女を撮ったジョセフ・スザボの60年代後期作品を挙げた。トビー・フェルトウェルは、サンディエゴのエモ・パンクのロッカーたちを、スケートシングは、ニック・ナイトが1982年に発表した写真集『SKINHEAD』と出会ってから魅了されてきたというスキンヘッドの存在をあげた。4人はそれぞれが持つユース観をもって、このプロジェクトを通し、お互いを刺激しあったという。

「ひとの視点から世界がどう見えるのか、それを知りたいと思った。それができる関係性を探るこのプロジェクトのアイデアが気に入った」と、ニック・ナイトはメールでi-Dの質問に答えてくれた。「レイの頭の中をさらに深く理解できたとともにシン(スケートシング)、トビー、そして彼らのブランドC.Eのことをよく知ることができた。彼らがどう創作活動を展開しているのか、同じ質問やアイデアを投げかけられたときに彼らがどんな反応を示すのか——そういったことをこの目で見ることができてよかったし、光栄なことだった」

カレリスが提案したコンセプトをもとに始まったプロジェクト<Untitled Project>。参加アーティストたちが題目について調査をし、その過程で読者や閲覧者、消費者までをも巻き込んで、レイ・ナダルとニック・ナイトによる映像とC.Eの限定商品が作られるまでを克明に記録していくというものだ。C.Eのフェルトウェルとスケートシングとの出会いから、彼らがコレクションを作り上げるまでを、SHOWstudioのディレクターであるナダルとナイトが映像に記録している。そこには、C.Eのコラボレーションにおける創造の過程が映し出され、ときに屈折され、またときに回折されて、映像の威力を放っている。

SHOWstudioでのライブやディスカッションで、これまでもわたしたちはナイトの視点から創造環境の裏側を多く見てきた。しかし、C.Eのふたりは徹底的ともいえる態度で、自分たちのミステリアスさを保持している。「このプロジェクトは、生ぬるい環境から自分たちを押し出してくれた。外からの力が加わって初めて、そういうことは起こる」とトビー・フェルトウェルは話す。クリエイティブたちのコラボレーションが盛んな現在、この<Untitled Project>ほど純粋でオープンな形のコラボレーションは珍しい。

15分の短編映像『Energy Surplus』を公開するとともに、ナダルとナイト、フェルトウェルが集い、彼らが共通して持つユースのヴィジョンを掘り下げ、話してくれた。

<Untitled Project>が生まれたきっかけは?
ニック・ナイト:スタヴロスとレイが、C.Eのトビーとスケートシングの対話を視覚的に捉えた作品を作りたいと考えたのがきっかけ。ひとの視点から世界がどう見えるのかを知りたいと思った。それができる関係性を探るアイデアが気に入ったんだ。視点や世界観が、僕と違えば違うほど好ましい。自分とはまったく違う視点から世界を見ているひとに惹かれるんだ。
レイ・ナダル:スタヴロスはMACHINE-Aでこの業界で屈指の、才能に溢れたクリエイティブたちと出会っている。だから、彼がニックとSHOWstudioをトビーとシン(スケートシング)に紹介したいと考えたのもうなずける。美的感覚の観点から考えると、この組み合わせは意外と感じるかもしれないけれど、はじめから「このコラボレーションは素晴らしいものになる」という確信があった。

プロジェクトはどう始まったのでしょう? またどんな会話があり、商品づくりや映像作品へと発展していったのでしょうか?
ナイト:テーマはユースだった。各々が経験してきた成長の過程と、いまそれをどう感じ、考えるかという「ユース観の違い」がテーマ。子どもから大人へ変化する過程は、ときに僕たちの人生を大きく左右する。この"ユース"という通過儀礼の時期は、その存在自体がとても曖昧になった。だから、ひとびとは大人になったという感覚もないまま大人になり、いつまでも10代を振り返っている。それが良いことなのかどうか、僕にも判断がつかない。C.Eと共通していた世界観は、僕の写真集『SKINHEAD』だった。スケートシングが重要なインスピレーションのひとつとして挙げてくれていたからね。
C.E:話をして、そこからこのプロジェクトがどこへ向かい、どんな着地をするのかが楽しみだった。最初に話していたことが、最終的な形にどう反映されたかはわからないけどね。でも、ここに辿り着くにはあのプロセスが必要だった。

コンセプトの立ち上げから最終的な商品までの創造過程をどう解き明すか――それがこのプロジェクトの興味深いところです。なぜプロセスを見せようと思ったのでしょうか?
ナダル:ニックは長年にわたりこの道を開拓してきたひと。作品の開発から撮影の過程を見せるところまで、SHOWstudioでその内を明かしてきた。今回はニックとシン、トビー、そしてわたしが出会う瞬間から映像に捉えていこうと、スタヴロスと当初から話し合っていたの。全体として、今回はとても変わったプロセスを経た変わったコラボレーションになった。それが、直接的に作用して一味違う作品を生んだと思う。
C.E:本当のところ、僕たちは自分たちの創造過程を説明するのが好きじゃない。でも、SHOWstudioの特性を考えると、プロセスを公開しないかぎりは機能しないと思ったんだ。

今回の『Energy Surplus』について教えてください。これは通常の"ファッション映像"とは違いますね。これを作り上げたあなたがた自身の言葉でこれを説明してください。
C.E:映像はニックとレイの作品で、僕たちふたりが夢中になっているものを、ゆるいテーマで明かしていくというもの。そうすることで、なにか予想もできないものが生まれるかもしれないと考えた。最初は、何もないところから始まったんだ。面白かったのは、ニックたちと共作にあたった今回のプロセスが、僕たちがのやり方と似ていたということ。僕たちは、一見してなんの関連もなさそうなアイデアをとにかくお互いにぶつけ合う。そこには必ず関連性が生まれてくるものなんだけど、暗中模索でアイデアを出し合って形を見出そうとするプロセスを経ないことには、アイデアがひとつにまとまることはない。同じようなプロセスをレイとニックと踏み、なにが本質的にC.Eの世界なのかを探れたのは、とても良い経験だった。
ナイト:今回のプロジェクトは、共同監督で生み出されたプロセスだった。僕たちが持ち寄ったアイデアが繊細に、お互いを敬いながら、踊り始めたような感じ。レイの頭脳と感覚がどう機能するのか——僕はそこにとても興味があって、こういったクリエイティブな親密さで彼女と仕事をするのが好きなんだ。僕たちふたりとも、今回のプロジェクトで、誰が見ても解りやすい、物語形式のものを作りたいなんて思っていなかった。これはストーリーじゃない。"年齢"や"ユース"に対する異なった視点がぶつかったときに、どう作用していくかを探った作品なんだ。

今回の映像作品は、商品のリリースに際して作られる映像の域を超えていますね。この映像を作ろうと思った経緯について教えてください。
ナイト:僕は、ファッション映像に物語性はいらないと信じているんだ。ファッション映像は、映像というよりも、ファッション写真が持つ言語性を強く受け継いでいるメディアだと思う。素晴らしいファッション写真は、物語性を強く打ち出さなくても、消費者に強いイメージを打ち出すことができる。写真では動かないものが映像では動くけど、物語がなくては機能しないというわけでもない。物語は服とモデルがじゅうぶんに語ってくれるものだから。
ナダル:『Energy Surplus』は概念的にとても濃厚な作品で、紹介や説明なしに見てもらうことで初めて意味をなす。ひとが見て、それぞれの解釈ができるような作品であることを願っているわ。

この『Energy Surplus』のように繊細で包括的なプロジェクトこそがファッション・コラボレーションの未来だと思いますか?
C.E:コラボレーションという言葉には違和感を覚える。現在の業界で、"コラボレーション"とされるものは、多くが単なるマーケティング戦略でしかないからね。商品のPRをより広く行うためだけに、2つの全く別のグループが持つInstagramのフォロワーを合わせようとコラボしているんじゃないかとすら思う。でも、今回のプロジェクトは、真の意味でコラボレーションだったと思う。そうとしか言い表せないね。

次なるプロジェクトは? 今後、一番楽しみにしていることは?
ナダル:新たなコラボレーター、新たなアイデア、そして新たな可能性。
C.E:この世界には、僕たちが発見・解明すべきものが無数にある。それが僕たちの背中を押し続けるもの。
ナイト:パンクと、彼らが服を反逆の象徴として見せてきた表現を時系列で追うというプロジェクトを進めてるんだ。今後はそれにどっぷりと浸かるよ。今回は、完成まで2年かかってる。それだけの時間と労力をかける価値のあるプロジェクトは、滅多にないけど、C.Eとのコラボレーションは、まさにそういう類いのプロジェクトだった。

C.E x SHOWstudio / MACHINE-Aコレクションは、C.ESHOWstudio、MACHINE-A、Slam Jam、C.Eにて販売中。

Credits


Text Steve Salter
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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