Lord of the MicsとPHIRE WIREのコラボが完成

イーストロンドンの息吹と、東京のピュアでシンプルな美意識がぶつかり合った、LOTMとPHIRE WIREによるコラボライン。

by Hattie Collins
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05 August 2016, 9:00am

Cassette PlayaやJC De Castelbajacに始まり、Nasir Mazhar、Astrid Andersenなど、グライムとファッションの蜜月関係は今に始まったことではない。しかし今、ただモデルを務めるのみであった従来の関わりを超え、グライムとファッションは新たな領域を開拓し始めている。日本を拠点として活動拡大を見せているPHIRE WIREと、ジャマー&ラティーによるフリースタイルブランドLord of the Micsが共同で制作するラインが登場したのだ。共通の友人から紹介された後、世界各国の街で再会を繰り返したという彼ら。両ブランドがタッグを組んで生みだした世界観には、PHIRE WIREが打ち出してきた美的感覚、カット、そしてグラフィックが、Lord of the Micsのエネルギー、表現、革新性と絶妙に融合されている。イーストロンドンにあるEjderで先行発売され、日本では明日8月6日にGR8にて発売予定の彼らのコラボレーションラインについて、PHIRE WIREのヘッドデザイナーであるKIRIと、Lord of the Micsのジャマーとラティーが語ってくれた。

まずはジャマーへの質問です。グライムの世界は、トラックスーツがトレードマークとなっていたのが一転してLouis Vuittonなどラグジュアリーブランド色を強め、また最近になってトラックスーツのイメージが戻ってきています。なぜなのでしょうか?
ジャマー(以下J:みんながみんなトラックスーツのスタイルを捨てたわけじゃなかったんだよ。大手レーベルと契約を結んでちょっと成功した途端に高級デパートでブランド品を買い始めたようなアーティストもいたけど、それは全体のごく一部だった。意図的にGucciやLVを捨てる決断をしたスケプタ(Skepta)みたいな奴もいれば、JMEみたいに、これまで一貫して昔ながらのトラックスーツを着続けてる奴もいるしね。

KIRI、デザイナーとして、グライムカルチャーのどのような点に惹かれますか?
KIRI(以下K:グライムが持つミニマルかつソリッドな力強さや張り詰めた緊張感は、PHIRE WIREがファッションに求める要素の1つでもあり、楽曲が放つ特異なムードに多大な影響を受けてきました。

出会いについて聞かせてください。
K:Lit City Trax / Future BrownのJ-CUSHにニューヨークで紹介してもらいました。初めてちゃんと会った時、ジャマーはJ-CUSHの家のソファーで寝ていて、、起きたばかりの寝ぼけた状況だったので、面白い出会いでしたね。確かそれがAstrid Andersenのパーティで軽くジャマーに挨拶した次の日だったと思います。
J:VisionsでAstrid Andersenのパーティを主催したときだったね。俺が持つエネルギーを気に入ってくれて、KIRIと、GR8のヘッドバイヤーのKuboがアプローチしてくれたんだ。そこで話し始めて、すぐに打ち解けて、友達になった。その後、俺と一緒にLord of the Micsをやってるラティーと、彼らに会いにパリへ行ったんだ。セグウェイのボードをあげたよな。まったく違う場所から来たふたりが、言語を超えて、スピリットで理解しあう——その理解は、すごく本質的で。会話や服、ファッション、音楽を通して辿り着いた理解なんだ。

お互いにコラボレーションをしたいと思った理由は?お互いに、何をこのコラボレーションにもたらしてくれることを期待しましたか?
K:ジャマーは日本のカルチャーにとても興味がありそうだったので、一緒にやれたら面白いことが起こるのではないかと思い、こちらから提案しました。もちろん以前からあの独特な声や彼の作るビート、特に『N.A.S.T.Y.』と『Chinaman』、それから個性的なキャラクターにも惹かれていたし、LOTMの活動にも共感するところがあったので、やるのが決まった時はとても嬉しかったです。
J:最初は、一緒にやりたいかどうかってことすら考えてなかった。ただ気が合って、同じエネルギーを持っていて、同じジョークを笑えるやつと出会えたことを嬉しく思ってただけでね。でも、俺たちは同じスタイルと分野に興味があったから、一緒にやるというのは理にかなっていたんだ。俺はPHIRE WIREのチームが素晴らしい服作りをしていることを尊敬していたし、PHIRE WIREのみんなは俺たちの音楽と活動を素晴らしいと思ってくれてる。お互いに対する深いリスペクト、それがあった。だから「一緒にやりたい」ってことになったんだ。
K:ジャマーがSILVERLINKと一緒にやっていた曲が印象的で、自分のスタイルを守りつつ、ユーモアを持って新しいことにチャレンジする姿勢は自分と似ているかもしれないですね。ステージのパフォーマンスに加え、グライムのシーンに対する愛情、情熱も素晴らしいと思います。自分は彼のように何かのシーンに対してあのような情熱を注いだりしたことは今までないし、あのようなエネルギーを持ち合わせてないので、尊敬しています。
J:何言ってんだよ。俺たちには同じエネルギーがある。同じ音楽に感じて、同じファッションを理解してるよ。

ジャマー、あなたがLOTMブランドを立ち上げて1年が経とうとしています。今回のコラボレーションでは、LOTMのエネルギーやカルチャーをどう打ち出しましたか?
ラティー(以下R:主に、才能のあるMCたちの写真を使うことで打ち出したよ。グライムシーンの有名どころの写真は、意図的に使わないようにしてね。駆け出しのころにしかないあのハングリーさを表現したかったんだ。LOTMが生まれたのもそういうシーンからだったしね。
K:基本的には、ジャマーのほうからクラシカルなグライムのスタイルを提案してもらい、それに対して自分がアレンジした感じです。グライムシーンの人たちがMADE IN JAPANの洋服を着てくれたら嬉しいなという気持ちで作りました。
R:お互いが持っていたアイデアを掛け合わせて、洋服のデザインや写真、ロゴの配置を考えた。ダブルウエストのボトムスを作ったりしてね。PHIRE WIREには、日本のスタイルを反映した服のカットに集中してもらったんだ。

グライムの独創性を反映したタッチのデザインがありますね。
K:ダブルになっているトラックスートボトムなんかはそうですね。あれはジャマーからの提案でした。
J:アーバンカルチャーでは、みんなトラックスートボトムを2本重ねばきするんだ。寒さをしのぐためか、ブツを警察の目から隠すためか、理由はそれぞれだろうけどね。トラックスートボトムの重ねばきは、2000年代初期に大流行して、今でもロンドンファッションで見かける。だからそれを反映させたかったんだ。
K:最近のグライムのアーティストはTシャツやジャケットをタイトに着こなす人が多いので、ボトムにはボリュームをもたせたいと思い、シルエットやファスナーなどは少しアレンジしました。着てくれる人には、ファスナーのポケットを見せるようにトップスは着丈の短いアイテムと合わせて欲しいですね。
R:まず、グライムを象徴するロンドンの8つの地域、グライムのトップアーティストたちを生んだエリアを選んで、そこに焦点を当てたんだ。ワイリー(Wiley)、ディジー(Dizzee)、ロール・ディープを生んだタワー・ハムレッツ区。俺たちジャマーとラティーのウォルサム・フォレスト区。DダブルE、フットシー(Footsie)、ゲッツ(Ghetts)、ケイノ(Kano)を輩出したニューハム区。スケプタやJMEのハーリンゲイ区。クロイドン区からはストームジー(Stormzy)。ビッグ・ナースティー(Big Narstie)のランベス区、といった具合にね。
K:今回のコラボレーションは、ロンドンと東京の揺るぎない連体感と、グライムを取り巻く文化に対する敬意や日本独自の視点を踏まえた強度があるコレクションになっていると思います。
J:このコラボレーションは真のカルチャーミックス。カットと素材には日本のこだわりが見えるし、イギリスの要素はロゴに込められてる。本質的なところで、真のコラボレーション作品といえるね。

今回のコラボラインは、イギリスではEjderのみでの取り扱いとなるそうですが、特にイギリスのマーケットで取扱店を絞った理由は?
K:しっかりと関心を持ってサポートしてくれるお店でやりたかったので。
R:俺たちがインディペンデントのブランドだから、他のインディペンデントな会社へのリスペクトを大切にしたかったという気持ちと、Ejderはこれまでずっと新進気鋭のファッションブランドをサポートし続けてきたショップで、そこに敬意を表したいという気持ちもあった。Ejderのやつらがグライム好きで、大の音楽ファンだということもある。俺たちと、俺たちのカルチャーを深く理解してくれるひとたちと一緒にやりたいっていう気持ちがあるんだ。

今後も何かを一緒にする予定はありますか?
K:是非とも日本へ呼んで自分のパーティでパフォーマンスして欲しいですね。あと、これは夢だけど、PHIRE WIREのプロジェクトで作ったVISIONISTとNA(NGUZUNGUZU)のビートでレコーディングしてもらって、オリジナルのダブプレートを作りたい!
J:いつでもやるよ!俺たちは友達の枠を超えた関係——ファミリーだろ?また近いうちに一緒に何かできることを楽しみにしてるし、絶対に実現させるよ。

phirewire.com
lordofthemics.com

PHIRE WIRE x LORD OF THE MICSコレクションは、8月6日(土)よりGR8にて発売開始。

GR8
ラフォーレ原宿 2.5F
tel. 03-3408-6908
gr8.jp

Credits


Text Hattie Collins
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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