シチリア島の恋する若者たち

閑散とした公園や車の往来が激しい道路の端、賑わうバー、そして忘れ去られた広場に静かに、しかし同時に圧倒的に存在する若者たちの親密な関係。限界を知らない純朴さ––「青春」という時間に溢れるそんな輝きを捉えたパオロ・ラエリ(Paolo Raeli)の写真にはどこまでも愛が満ちている。

by Robin Alper
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12 July 2016, 3:25am

ご出身は?そして普段はどのように日々を送っているのでしょうか?
イタリア南部にある島、シチリアに暮らしています。ありがたいことに、これまでの努力が報われて、今は目覚まし時計に毎朝起こされなくても良い生活を送っています。面白くて新鮮に感じられることを毎日して過ごしていますが、できる限り写真を撮ろうと思っていて、どこに行くにもカメラを持って出かけています。

写真に捉えられている人たちは、あなたとはどのような関係にあるのでしょうか?
みんな僕の友達です。街中で見ず知らずのひとに声をかけて「写真を撮らせてください」なんて頼めるような性格ではないので。被写体には個人的なコネクションを持っていたほうが、お互いにリラックスできますしね。被写体となる人物がリラックスできていない写真は、見る者にそれが伝わってしまう。自分の作品にそうあって欲しくないですね。

お友達の何にそれほどまでに惹かれるのでしょう?
モルガナも友人のひとりですが、彼女にはどこか「1日中でも撮り続けていたい」と思わせるなにかがあるんです。彼女の立ち居振る舞いがそう感じさせるのかもしれませんね。アガットの笑顔は美しくて、彼女が笑顔を見せている写真は大好きです。マルタはどこまでも続くんじゃないかと思わせるような髪が美しくて、その美しさを捉えようと写真を撮り続けています。出会う人ひとりひとりに、何かしら特別なものがあるんです。そういう小さいけれど圧倒的ななにかを、すぐ好きになってしまうんですよ。

撮影では彼らをどんな場所に連れて行くのですか?
若者が出会いを求めて集まる夜の場所——パーティや飲み屋、町の広場、公園などですね。

友達といるときに起こる瞬間を写真に捉えようと思ったきっかけは?
陳腐な言い方になるけれど、これらの写真は僕にとってどれも宝物のようなものなんです。毎日歳をとっていて、思い出は霞み、ひととの関係も薄れていく——でも写真は残るんです。20年を経て見た、昔のバカみたいな写真がとても特別な意味を持って訴えかけてきたりする。60歳になったとき、16歳の頃の写真を見て「変な服装してたな」なんて思い出したり、犬を家に迎えた日の写真を見ていろんな思い出がよみがえってきたりするわけです。

写真を通して伝えたいことは?
"未来なんてわからない。そして過去はもう決して戻ってくることがない時間。唯一、僕たちにあるのは今という時間で、写真は些末かもしれないけれど、きっと未来を切り開くのに必要な過去の欠片を収めておける唯一の手段なのだ"ということです。

私たちの世代の特徴とは何だと思いますか?
世代は違っても、人間はみな同じだと思います。愛を渇望して、幸せになりたいと願い、健康や成功を望み、誰かの気にかけてもらいたいと欲する——それが人間というもので、両親と僕のあいだに違いは見出せません。でも、僕がiMessageで送ってしまうものを、両親の世代は手紙という形で送っていたわけで、テクノロジー、そして世界へのアクセスが身近になったということだけが、両親の世代と僕たちの世代の違いなのだと思います。ソーシャルメディアは、ひとそれぞれの過ちや情熱を浮き彫りにしてしまう虫眼鏡のようなもの。でも前の世代も媒介こそ違えど、きっと同じようなことをしていたはずなんです。インターネットにその痕跡が残ってしまわないという違いがあるだけでね。

現代のユースについて、社会が持っている最大の誤解とは一体なんでしょう?
「自意識過剰で頭が悪い」というレッテルじゃないでしょうか。

彼らは、自国の外で起こっていることばかりに目が行きがちだと思いますか?
指先を動かすだけで多くの情報を得られる環境にいるわけですが、この世代がそれを正しく使いこなせているかと言われれば疑問ですね。

あなたのお友達は、現在イタリアで起こっている政治情勢をどう考えていますか?
ここイタリア、特にシチリア島では平穏な生活と安住の地を求めてやってくるボート難民が大きな議論を巻き起こしています。なにが最善の道かということについて、各政党が正反対の意見を持っていて、国民はその間に立たされているというのが現状です。でも僕や僕の友達は、戦争と飢餓を逃れようとやってくる人々を救わなきゃいけないと信じています。

世界にはどんな変化が必要なのでしょうか?
ひとに優しく、お互いをより深く理解し、受け入れることが大切だと思うし、世界はそのように変化してきていると思います。これからの世代が人種差別やホモフォビア、暴力、その他すべての偏見や差別をなくしていってくれるものと、僕は信じています。

Summer of Love

Credits


Text Robin Alpher
Photography Paolo Raeli
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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