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現代美術家は社会をどう視るか? 『ジェンダー写真論 1991-2017』が刊行

東京都写真美術館などの学芸員を務め、ジェンダーやフェミニズムの視点から数多くの企画展を手がけてきた美術評論家の笠原美智子。彼女が30年にわたって執筆した論考が収録された著書『ジェンダー写真論 1991-2017』が2月26日(月)に里山社より刊行される。

by Tatsuya Yamaguchi
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13 February 2018, 6:49am

ジェンダーという言葉が内包するものは、想像不可能なほどに広大だ。ジェンダー的視点には、この現代社会の理不尽さや世界で起きている出来事、あるいは隣にいるあなたを理解するための手がかりに満ちている。東京都写真美術館や東京都現代美術館で学芸員を務めた美術評論家・写真評論家、笠原美智子による416ページにもおよぶ著書『ジェンダー写真論 1991-2017』は、私たちに多くの示唆を与えてくれるものだ。里山社から2月26日(月)に刊行される。

本書は、日本で初めてフェミニズムの視点から企画された「私という未知へ向かって 現代女性セルフ・ポートレイト」展(1991年)を皮切りに、ジェンダーの視点に立った企画展示を多数手がけてきた彼女が、30年の間に執筆したテキストが豊富な図版と共に収録されたものだ。目次には、作家論考に加えて、「民族とセクシャリティ」「エイズをめぐる表象」「人種、階級とジェンダー」、あるいは日本篇として「戦後と高度経済成長とジェンダー」という項目も。ジェンダーにまつわる問いが、いかに複層的かということがよくわかるだろう。ダイアン・アーバス、ロバート・メイプルソープ、シンディ・シャーマン、トリン・T・ミンハ、石内都、森栄喜、やなぎみわ、鴻池朋子……。国も活動時代も異なるアーティストたちは、ジェンダーをどのように捉え、何に問題意識を傾け、かの表現をし続けたのだろうか? ジェンダーの視点とは、社会を鋭く射抜き、私たちのステレオタイプに大きな揺さぶりをかけるものでもあるのだ。

ジェンダー写真論 1991-2017
著:笠原美智子 2018年2月26日刊行
表紙写真:ノニー・シン Nony Singh from Dayanita Singh 〈Little Ladies Museum ー 1961 to Present〉, 2013, archival pigment print, 30×30cm