ショップの交換:伊藤壮一郎×落合宏理

soeディレクターの伊藤壮一郎が主宰するコンセプトストアM.I.U.と、落合宏理によるFACETASM Jingumaeが、6月16日(土)から「EXCHANGE STORE」を同時開催。公私ともに親交の深いふたりの対談が実現した。

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jun 19 2018, 10:27am

これまでも様々なプロジェクトを協業してきたsoeの伊藤壮一郎とFACETASMの落合宏理が、ポップアップの新しい方法論として「EXCHANGE STORE」を提案する。池尻大橋にあるM.I.U.では、落合のパーソナルなルーツが表現されるという「FACETASM POP UP CLOSET」を、FACETASM Jingumaeでは伊藤が偏愛する「ヒト、モノ、コト」を扱うM.I.U.のポップアップストアが同時開催されている。“お店”をキーワードに、自由横断的なクロストークが繰り広げられた。

——プライベートな部分を知っている間柄だからこそ語れることもあるかと思うのですが、落合さんからみて伊藤さんとはどのような人ですか?

落合(以下 O):この機会だから言いたいのは、伊藤さんはもっと表に出るべき人だということ。こんなにチャーミングな大人ってなかなかいないし、10代の頃から人と違うものを見てきた伊藤さんの“センス”は、もっと広がっていくと思うし、「大人が集まるサロン」でもあるM.I.U.は、本当に貴重な場所だと思っています。

伊藤(以下I):基本、表にはあまり出たくないけど、最近ちょっと出るようにしてるんだよね。

O:一言でいうと「小津(安二郎)的な匂い」のする人だなって。良き相談相手として本当に信頼しています。僕たちは“東京出身一人っ子デザイナー”という共通項も持っていて……。

I:良い悪いは別として、東京出身の人って虚勢の張り方の角度が違うんだよね。ちょっとひねくれているというか、恥ずかしがり屋だけどやっちゃうところとか。

——伊藤さんからみて、落合さんは?

I:まず、彼は僕にとってライバルではないということ。落合くんって、同世代にライバルが多いじゃん(笑)。僕はバランスをとるタイプだけど、彼はいろいろな意味で振り切り方がすごいし、ブランドとしても一足飛びでいってる感じもあるよね。

O:最近、友達に「立ち止まったほうがいいよ」って言われますよ(笑)。

I:ブランドをやっていると、ひとつずつ階段を昇っているニュアンスがないと危険というか怖い。自分も若いときに失敗しているから、そういう感覚はないのかな?と心配になるときがある。そういうところも、腹割って話せる理由のひとつかもしれない。

——M.I.U.だけで展開されている落合さんのプライベートレーベル「F」をはじめ、伊藤さんが落合さんをキュレーションするという点でのポイントとは?

I:簡単にいうと、彼の“パーソナル”。僕たちと同世代である40歳くらいの人が“FACETASMのコンセプトを着る”ということに興味があるんです。普段の彼はシンプルだったりするからね。

O:FACETASMはひとつの考えではなく多岐にわたってデザインしていて、そのなかから伊藤さんは“感度のいい大人たちも着られる”ということをいちばん最初に気づいてくれた。それが純粋に嬉しいですね。

——今回はそれぞれのショップのひと区画を「交換」するわけですが、どのような空間が作られる予定ですか?

I:実は、こんなに直前になってもまだ悩んでいるんですよ(笑)。FACETASMのオンリーストアに多彩な人が関わっているM.I.U.をどうつなげるか……。

O:僕もこれから考えますけど、自分が通ってきたカルチャーに付随するポスターや雑貨とかを展示しようかな。おそらく自分以外の人からみたらガラクタが並んでるように見えるでしょうね(笑)。

I:それでいいと思うし、彼を構成するものが表現されているのが良い。M.I.U.のオープン当初に、家の本棚のようにしてほしいとお願いして、今も彼の私物のいくつかはM.I.U.に置いてくれていますしね。その延長という感じかな。

——今回のキーワードとなる「お店」ですが、おふたりのショップにかける想いを教えてください。

I:その点でも僕はバランサーなんですね。今はM.I.U.の運営とレディスのデザインが中心で、良いバランスが取れている。お店は“生き物”ですから、新しい要素は必要だし、常に生き生きとさせるべきだと思っています。

O:僕はデザイナーとして、コレクションにせよ、お店にせよ、“強いものを強くみせること”が大切だと思っています。それを言い続けるお店が、東京にひとつくらいあってもいいんじゃないかなと。最近はUNIONができたけど、原宿でムーブメントが起きにくくなっていることは事実。“神宮前”って世界でもよく耳にする言葉なのに、何かしらのかたちで20年以上いる身としては「文化が終わってしまうのではないか」という危機感があるんです。

I:それは長く見ている人しかわからないことだよな。

O:だから、あの場所で、上質なものを発信し続けないと文化が死んでしまう。M.I.U.とのプロジェクトが街にとってもいい影響が出ればという思いはありますね。

——カルチャーへの造詣が深いおふたりが惹かれるものに、何か共通するものはありますか? そして今、注目していることはありますか?

O:“清潔感”じゃないかな。

I:いいね(笑)。僕は今、レディスのデザインをしている流れもあって、ジュディ・シカゴには興味がありますね。

O:今回M.I.U.に持って行くつもりだけど、アメリカとメキシコの国境付近にあるティファナという街があって、そこの人たちの服装や髪型を捉えた写真集がかなりかっこいい。そんなに長い歴史のあるものではないと思うけど、メキシコシティの人も理解できないくらい完全に独自なカルチャーが発生しているんですよ。それと、KOHHくんが地元である王子にオープンした完全予約制のショップdogsも面白いですよね。

——最後にもう1つだけ。i-D JAPANの6月のテーマが「音楽」なのですが、今注目しているアーティストはいますか?

O:Superorganismいいよね!

I:知らなかった。ショー映えする、ちょっとキュンとしちゃう系ね。

O:YouTubeのリンクをラインで送っておきますね。

『EXCHANGE STORE』
会期:2018年6月16日(土)〜7月1日(日)
場所:M.I.U. 東京都目黒区青葉台3-18-10 1F / FACETASM jingumae 東京都渋谷区神宮前2-31-9
*FACETASMの落合宏理がM.I.U.のために不定期にリリースしてきたプライベートレーベル「F」から、HALF SLEEVE TEEとLONG SLEEVE TEEが、各ショップ限定カラーで発売される。