パリコレに初参加したヘロン・プレストンの創作哲学/サステナビリティ

ニューヨークを拠点にするストリートウェアブランド、HERON PRESTON(ヘロン・プレストン)。ブランド創立の契機となったのは、ヴァージル・アブローとの出会いだった。

by Kazumi Asamura Hayashi
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18 February 2019, 5:22am

ニューヨークを拠点にするストリートウェアブランド、HERON PRESTON(ヘロン・プレストン)。昨年末Carhartt WIPとのコラボ商品発売に際して、デザイナーのヘロン・プレストンが来日していた。先日のパリ・メンズコレクションでも発表した彼は、東京で「プラスチックの再生」をテーマにしたワークショップも行なった。

インタビューでは、そのワークショップ開催の経緯やブランド創立の契機となった友人ヴァージル・アブローとの出会いなどを語ってくれた。

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──はじめにファッションデザイナーになった経緯を教えてください。

服をつくりはじめたのは10年以上前。最初はTシャツのスクリーンプリントからはじめたんだ。2004年にニューヨークに移住して、パーソンズに通うようになった。その頃はTシャツづくりを中断して、ブログを書いてたね。学校を卒業してからはNikeで働くようになったんだけど、だんだんとモノづくりが恋しくなってきて。ビデオとか写真とか、デジタルなモノばかりを作っていたから、フィジカルな〈モノ〉っていうのがつくりたくなったんだ。それでTシャツづくりを再開して、帽子とか一点モノのアイテムをいろいろつくってた。当時はただ自分のためにつくっていたよ。

──そこから本格的にブランドを始めたキッカケは?

ヴァージル・アブローにフルコレクションをつくるよう勧められたんだ。彼とはネットで知り合った。どこかのチャットルームとか掲示板だったんじゃないかな。音楽やTシャツ、シューズについてチャットしているあいだに仲良くなったんだ。そのあと彼がニューヨークへやってきて、偶然ばったり顔を合わせることになる。僕がレストランでウェイターとして働いているとき偶然そこで彼を見つけてね。ホントに驚いたよ。当時彼は、カニエと仕事をしてたから。彼との長年の友情には感謝してるよ。

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──ヴァージルはファッションの専門的な教育を受けたわけではなく、建築を勉強していましたよね。そんな彼は今Louis Vuittonのデザイナーに就任し、ファッション界を変えていっています。それについてはどう思いますか?

ヴァージルのデザイナーとしての在り方は、クリエイターたちの未来、若者の未来だよ。誰もが従うべき“絶対的な存在”はもはや不在で、キッズは今や多様なクリエイティビティのレンズを受け入れてる。ヴァージルは完璧なロールモデルだと思う。プロフェッショナルへの道のりがいかに多様かを示しているんだ。今はSNSだけでいろいろ学べるしね。若者たちにとって、モノづくりのハードルは下がってきている。SNSによって新しい肩書きもたくさん生まれてるし、将来の夢がユーチューバーだっていう子どももいるくらい。

──DSNY(ニューヨーク衛生局)とコラボしたコレクションがすごく面白かったです。

それがキッカケで、BetterBinというニューヨーク市内に新しく設置されるゴミ箱のデザインコンペで審査員に選ばれたんだ。30以上ものデザイン事務所がコンペに参加して、未来のNYのゴミ箱やそのオペレートのしかたを提案した。排水溝をどうするかとかどう収集するかとかね。そうやってコレクションを越えたつながりができるというのはすばらしいことだよね。

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──今取りかかっているプロジェクトは?

2019年には、〈JUMP〉という名前のコレクションを発表するんだ。使われていないパラシュートを使って、アウターウェアにしたり、パンツにしたり……。色はレッド、オレンジ、ピンク、ホワイト。

──今回のレセプションパーティでは、アーティストデュオのChen Chen & Kai Williamsを招いて、「プラスチックの再生」をテーマにしたワークショップを開きました。それにはどんな意図があるのでしょう?

ビニール袋は一回使われたらすぐにゴミになり、それが海を汚染している。モノに価値を与え変身させられる、と知ってもらうキッカケを僕らがつくりたいんだ。僕のコレクションデザインの核には、つねに「サステナビリティ(持続可能性)」がある。ワークショップはみんなにもっとブランドと関わってもらうためのいい方法だと思うんだ。ただ並んで服を買う、という行為から一歩先に進みたい。大好きなブランドに深くまで潜って、いっしょにモノをつくることができる。Chen Chen & Kai Williamsのことは、2年ほど前にインスタグラムで見つけたんだ。Carharttはワークウェアブランドで、自分の手で何かをつくる人たちのための服。だからCarharttの世界観と僕らのワークショップ、そして二人の作品が交差したんだ。実は彼らも普段アトリエでCarharttを着てるんだよ。

──今回の来日の感想は?

すごくエキサイティングだったよ。DJもすばらしかった。デザイナーたちもいて。ジュン・タカハシ、僕、ヴァージル。僕らはそれぞれ違う生活を送っているわけだけど、音楽が僕らをつないでくれる。それってクールだよ。ビッグネームたちも音楽をプレイして、エネルギーを共有したい、っていう情熱を通じて、みんな等しい存在になる。最高だった。

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