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ハンバーガーと一緒に「講義」を注文? 高山明の〈マクドナルド放送大学〉を東京で

演出家・高山明によるプロジェクト〈マクドナルド放送大学〉が、東京・南麻布のMISA SHIN GALLERYで展覧会として紹介されている。会期は2月2日(土)まで。

by Mami Hidaka
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30 January 2019, 7:22am

イギリスの建築家、セドリック・プライスによるアンビルドの都市計画案「ポタリーズ・シンクベルト」(1964)。同案は、衰退しきっていたイングランド・スタッフォードシャーの窯業エリア全域を活性化するために考えられたもの。ほとんど使われなくなった鉄道網のネットワークに注目したプライスは、その鉄道網沿いの駅を大学教育施設として再整備、各施設がスタッフォードシャー全域にネットワーク状に広がるイメージを提案した。

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この「ポタリーズ・シンクベルト」のオマージュとして、演出家の高山明は、町中のマクドナルドを大学に変えるアートプロジェクト〈マクドナルド放送大学〉を企画。難民の避難経路上の都市に点在するマクドナルドで、「教授」たちによる「講義」を提供することでヨーロッパを縦断的につなぐことを試みた。

同作は、2017年にドイツ・フランクフルト市内のマクドナルド7店舗で初めて上演され話題に。「学生」(=来場者)はマクドナルドに入店し、ハンバーガーやコーラと同様に、「教授」による「講義」を注文することができる。フランクフルトでは、何らかの事情で故国を離れ、ドイツへやってきた移民や難民が教授陣として、哲学、音楽、建築、生物学、 自然科学、ジャーナリズムなどの全15科目の講義を行った。

「教授」は、決められた時間にピンマイクを通して講義を朗読、その声はトランスミッターによって「学生」に送信される。カウンターで受け取ったポータブルラジオなどの受信デバイスとイヤホンを通じて店内で、リアルタイムで講義を聴講できるシステムだ。

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資本主義の象徴であり、非健康的なファーストフードというイメージを持つマクドナルド。階級やコミュニティの分断があからさまに可視化するヨーロッパでは、スタッフと客の両方にわたって、最も移民や難民を受け入れる空間とされている。

そんな多様な人種、民族、宗教、年齢層の人びとが共存するマクドナルドを舞台に、高山明は社会問題へのアンチテーゼを含むアート作品への欺瞞を暴きながらも、「アート」を通じたこの実践が、現実世界から「学ぶ」 ことを促す転換装置となりうることを示した。

現在、東京・南麻布のMISA SHIN GALLERYでは、〈マクドナルド放送大学〉を展覧会として紹介している。本展は、実店舗ではなくマクドナルドを模したギャラリー空間で行われ、ここでの「教授」は、高山考案の、難民をガイドに東京を旅する企画「新・東京修学旅行 中国残留孤児編」に参加する中国帰国者の人びとだ。彼らとともに制作した新しい講義に加えて、フランクフルトとベルリンで制作された25科目から選りすぐられた12科目を聴講できる。そのうち日本語で聴講できるものは6科目、そのほかは英語もしくはドイツ語での講義となる。

会期も2月2日(土)まで延長のこと。この機会にチェックしてほしい。

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高山明「マクドナルド放送大学
会期:2019年2月2日(土)まで
会場:MISA SHIN GALLERY
住所:東京都港区南麻布3-9-11
開館時間:12:00~19:00
観覧料:無料