2019インターナショナル・ウールマーク・プライズはColovosとEdward Crutchleyの手に
YOHEI OHNOもファイナリストに選出された、IWPの勝者が発表。Colovosがウィメンズウェア部門を、メンズウェア&イノベーション・アワードはEdward Crutchleyに贈られた。
2月16日(土)の夜、ロンドン・ウィストミンスターにあるミラーボールが輝く会場で、今年度のインターナショナル・ウールマーク・プライズ(IWP)受賞者の発表セレモニーと全ファイナリストによるジョイントショーが催された。金ピカの紙吹雪が舞ってショーがフィナーレを迎えた後、かのアルベール・エルバス、俳優のコリン・ファース、女優のグェンドリン・クリスティーがアナウンスする。2015年にFashion Eastで自身の名を冠したレーベルを立ち上げたEdward Crutchleyがメンズウェア部門とイノベーション・アワードをダブル受賞(彼自身も驚きを隠せていなかった!)し、ウィメンズウェア部門はNYのデザイナーデュオによるColovosに授与されることが発表された。



両者には賞金(と代えがたい栄誉)のほか、この夜に集った世界中の有力なセレクトショップや百貨店とのリレーションシップの獲得、そしてすべてのファイナリストはウールマークの認証を受けたカプセルコレクションを展開する権利が与えられる。プライズを受賞した2組はもとより、この機会から可能性を大いに広げていくファイナリストたちが仕掛けるコレクションは間違いなく必見だ。

このプライズの歴史は、1936年にさかのぼる。オーストラリアやニュージーランドなどの羊毛生産者が集って国際羊毛事務局(IWS)が創設された年だ。そして、IWSが1950年代から取り組みを始めたファッションデザイン賞は、新進デザイナーの才能をサポートするとともに、南半球発のウールの魅力を、海と赤道を越えて広く伝える役割も担ってきた。
1950年の最初の記録には、最高峰のクチュールメゾンを立ち上げる以前のヴァレンティノ・ガラヴァーニの名が受賞者の欄に記されている。コンペは毎年行われ、1954年にはほぼ無名だったカール・ラガーフェルドとイヴ・サンローランが、(ムッシュ)クリスチャン・ディオールとユベール・ド・ジバンシィの審査によって受賞。過去受賞者をあげると枚挙にいとまがないが、つまり、インターナショナル・ウールマーク・プライズは現代ファッションを担ってきた数多のデザイナーと固く手を結び、共に進化を続けてきた由緒あるプライズなのである。


この賞は、ファッション業界での成功のベンチマーク的存在となり、最古の繊維ともいわれるメリノウールの可能性を切り開くデザイナーに、グローバルビジネスを見据えたメンターシップの機会を与えてきた。「ウールを革新的で、かつサステナブルな繊維として活用し、新たな技術や開発のベースを示してもらい、明日の顧客の目の肥えたニーズに答えること」。2012年に体制を新たにしたザ・ウールマーク・カンパニーが主宰するIWPでは、ウィメンズとメンズ、イノベーションの3部門が設けられていて、今年は46カ国・総勢300名を超える応募者のなかから、昨年7月にロンドン、ニューヨーク、香港の三ヶ所で行われた準決勝大会を経てファイナリストが出揃った。IWPの主旨を体現するように、世界各国に拠点を置く12組のデザイナーが、ロンドンに集まったのだ。

素晴らしいことに、日本からはYOHEI OHNOの大野陽平がウィメンズウェアデザイナーのファイナリストに(セレモニーの翌朝に行ったインタビューは後日公開予定)。文化服装学院とノッティンガム・トレント大学で学んだ彼は、2014年に帰国後すぐにブランドをスタート。プロダクトライクな質感とインダストリアルな空気感を内包した新鮮なフォルムで、AFWTのステージでも常に異彩を放ってきたデザイナーだ。
ウィメンズウェア部門には大野のほか、Albus Lumen、I-AM-CHEN、Brandon Maxwell、Colovosが名を連ね、メンズウェアにはNicholas DaleyとDaniel W. Fletcher、そしてCMMN SWDN、ソウルからYouser、Willy Chavarria。ユニセックスデザイナーとしてAngel ChenとEdward Crutchleyが、ウール素材から切り開く新たな表現を探求したカプセルコレクションをつくりあげた。









