「毎日が生きるか死ぬかの闘い」『エイス・グレード』主演エルシー・フィッシャーが語る、彼女たちの日常と不安

夏のヒット映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』(ボー・バーナム監督)で主演を務めたエルシー・フィッシャーが、撮影の舞台裏、映画におけるありきたりなティーンエイジャーの描写について語る。

by Jack Sunnucks; translated by Nozomi Otaki
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09 September 2019, 6:30am

15歳のエルシー・フィッシャーが主役を演じ、〈青春映画の傑作〉との呼び声も高い『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』。十代の若者のステレオタイプより、彼らの人間性や感受性に焦点を当てた、笑って泣ける1本だ。

メガホンをとったのは、物憂げな表情が印象的な元YouTuberで、コメディアンとしても活躍するボー・バーナム。タイトルからもわかるとおり、主人公のケイラは現在8年生(日本でいう中学二年生)で、友人づくり、〈クール〉になること、SNSの活用に奮闘している。

彼女は自信を身につける方法についてのYouTube動画をつくり、チュートリアル動画の締めの決まり文句は「グッチー」。年配の観客、特にInstagramとともに育っていない世代にとっては訳がわからないかもしれないが、すぐにケイラに共感するはずだ。結局、13歳を経験しないひとはいないのだから。

エルシーは、今年もっとも話題を集めたリアルな十代のヒロイン像を、一体どのようにつくりあげたのだろう。

──この作品にキャスティングされたときのことを教えてください。

ずっとワクワクしていました。私はボーの作品、彼のコメディの大ファンだったので、それがきっかけで最初のオーディションに行ったんです。最初のオーディションはすごく楽しくて、そのあと5回以上オーディションを重ねました。役をもらったときは、ボーと仕事ができるのが楽しみで仕方ありませんでした。その頃には友だち同士のような関係になっていて。とにかく楽しみでした。

──劇中でケイラはタイムカプセルをつくりますが、この作品自体もあなたにとってタイムカプセルのようなものですよね。改めて見返してみると面白い部分もあったり?

たしかに、少しだけ変な感じですね。当時の自分の癖がわかったり。それを見るのはとても興味深いです。そこに自分自身を見出すことはありません。ケイラはケイラなので。変な感じがするので、実はしばらく観てません。

──ボー監督はケイラのキャラクターにどのくらい自分を投影していたんでしょう?

ケイラは、私たちがふたりでつくりあげたキャラクターです。ディレクションに関しては、彼はただその場にいただけで、私のすべての動作に指示を出していたわけではありません。シーンの撮影に入ったら流れに任せる感じ。まず私がやってみて、彼が調整して。それでうまくいきました。

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Bo Burnham and Elsie Fisher on the set of Eighth Grade. Photo by Linda Kallerus, courtesy of A24.

──ビジネス的な感じとか大きなプロダクションという雰囲気は感じました?

まったく。セットにいるときはサマーキャンプみたいな感じでした。キャストがひとつの大家族みたいになったからだと思います。とても特別な体験でした。もちろん、映画をつくっているという実感はあったけれど、いわゆる映画らしい映画をつくろう、という雰囲気はまったくありませんでした。

──俳優になりたいと思うきっかけになった作品は?

私が俳優になりたいと思ったのは、まだディズニーチャンネルでしか映画を観たことがないような時期でした。5歳で演技の仕事を始めたので。ウィノナ・ライダーは最高の俳優だと思いますが、それは今の私の話。5歳のときは特に憧れている俳優はいませんでした。

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Elsie Fisher. Photo by Linda Kallerus, courtesy of A24.

──今後はどんな活動をしたいですか?

とにかく嘘偽りのないひとを演じたいです。私たちがそうだからといって、ただお金がないとか主体性がないだけのステレオタイプ的なティーンエイジャーを描く、そんなある意味有害な伝統は受け継ぎたくない。どんなことにも挑戦したいと思っていますが、リアルに感じられて、人として敬意をもって描かれるキャラクターを演じたいです。

──『エイス・グレード』はまさにそんな作品ですね。十代の体験を嘘偽りなく描いている。十代の頃って、特に大したことは起きないんですよね。ただ小さな物事がドラマティックになるだけで。

それが子ども時代ですよね。毎日が生きるか死ぬかの闘いみたいで。そこに別のレイヤーを重ねると、彼らの不安はどういうものなのかを描くことができる。それこそが、この映画の大切なテーマです。インターネット、若者、そして不安。何事にも、いちど失敗したらもう終わりだ、と思ってしまうんです。

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Elsie Fisher. Photo by Linda Kallerus, courtesy of A24.

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』は9月20日よりヒューマントラストシネマ有楽町、東京・シネクイントほか全国で順次公開。

This article originally appeared on i-D US.

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