友情を称える写真集『Fuck Me』

ドイツ人フォトグラファー、ジョシュ・カーンは、写真を撮ることで自らの孤独を紛らわせている。

by Juule Kay; translated by Nozomi Otaki
|
26 March 2019, 3:48am

ここは自分の居場所じゃない。こんなの自分の人生じゃない。身体や思考にとらわれて身動きがとれないまま、毎日がただ過ぎていく…。現在25歳のジョシュ・カーンも、かつてこのような思いを抱いていた。彼が写真の世界に飛びこみ、自身のヴィジュアルダイアリー『Fuck Me』を発表するまでは。

『Fuck Me』が写しだすのは、友情、若い恋人たち、自分でも理解不能な感情のジェットコースター。便器に突っこんだ頭、恋愛のいざこざ、鏡に映る自分のアナログのセルフポートレイト、(常に金欠だから)友人に切ってもらったばかりの髪、たくさんの詩、無限の解放感…。果てしなく自由で、痛みを覚えるほど美しい。『Fuck Me』は、私たちのインナーチャイルドに捧げられた詩であり、今の私たちをかたちづくる想い出に満ちている。しかし、みかけに惑わされてはいけない。私たちがつくりだすものは、すべて幻想にすぎないのだから。

「この作品には利己的でナルシシストっぽいところがある」とドイツのドルトムントで写真を学ぶジョシュは打ち明けた。「これは100%僕自身についての作品だから。写ってるのは僕の友人ばかりだけど」。確かにほとんどの写真において、ジョシュの顔はカメラに隠されている。しかしジョシュはこの作品を通して、彼自身だけでなく、この世界に居場所を見いだせない人びとに救いを与えている。

『Fuck Me』がジョシュだけでなくあらゆるひとを癒す作品である理由、悲しみに対処する方法をジョシュ自身が語ってくれた。

Fuck Me Josh Kern

——写真を撮り始めたきっかけは?
スケートボードを通して写真に出会いました。スケートは僕にとって自分を解放する手段なんです。僕が大切にしてるのは、演出せずにありのままを撮ること。心の奥底にある気持ちをみんなに伝えるために、身の回りのものやひとを撮っています。

——みかけではわからないものを明らかにするのが『Fuck Me』の目的だった?
そうです。僕の教授はいつも、パーソナルであればあるほどいい、といっていました。作品に恥ずかしさを覚えるほど、より興味深い作品になる、と。この作品には、僕自身が気まずさを感じるものを詰めこみました。

Fuck Me Josh Kern

——恥ずかしさや気まずさって、誰も表立っては話さないけど、実はみんなが感じていることですよね。
不安について自分から話すひとは少ないけど、不安は誰もが抱く感情です。なかには僕がやってることをバカにするひともいるかもしれないけど、間違ってると決めつけることはできない。だってこれは僕にとっての真実だから。僕はずっと自分自身と闘ってきて、今も闘い続けてる。それをひと言でまとめるのはナンセンスだけど、要するに僕は対人恐怖症なんです。あまり親しくないひとに囲まれるとパニックになってしまう。病院に行こうと決心するまで、ひたすら家に閉じこもっていた時期もありました。しばらくすると症状が落ち着いて、写真に集中できるようになりました。ずっと気が楽になったし、周りにも受け入れてもらえた。僕は僕のままでいいんだって気づいたんです。

Fuck Me Josh Kern

——写真の被写体について教えてください。
僕の周りにいるひとたちです。みんな僕にとって大切な存在で、いつもいっしょに過ごしてる。というか、僕が安心できるのは彼らといるときだけ。友人の友人に会ったりするのは苦手です。彼らはスケートを始めてからずっといっしょにいる5人で、この本に載っているのはほとんどが彼らの写真です。

——タイトルを〈Fuck Me〉にした理由は?
自分でもよくわからないけど、僕はこの言葉を何度も何度もノートに書いてたんです。最初のうちは本当にこれをタイトルにするべきか迷っていました。あまりにもパーソナルすぎる気がして。でも、このタイトルはこの作品の自己破壊的な面をよく表しています。〈Fuck me〉にはポジティブな意味もあるし、「どうでもいい、とにかく僕はやってやるだけだ!」みたいな投げやりな意味もある。

Fuck Me Josh Kern

——ある写真には「言葉では感情をうまく表現できない」という詩が添えられています。この言葉は、この作品のなかでどんな役割を果たしていますか?
この詩を書いたときは、写真と言葉をどう組み合わせるかは考えていませんでした。僕は何か問題が起こったとき、思ったことを記録するようにしています。嫌な気持ちになったときにそれを書き出すと、頭がスッキリするので。チャールズ・ブコウスキーは「Blue Bird」という詩で、心のなかにいる鳥について書いています。この鳥は夜、彼が酔っ払ったときにだけ外に出てくる。僕も同じで、普段はみんなに見せないものが言葉や写真を通して明らかになるんです。


この詩を書いたときは、写真と言葉をどう組み合わせるかは考えていませんでした。僕は何か問題が起こったとき、思ったことを記録するようにしています。嫌な気持ちになったときにそれを書き出すと、頭がスッキリするので。チャールズ・ブコウスキーは「Blue Bird」という詩で、心のなかにいる鳥について書いています。この鳥は夜、彼が酔っ払ったときにだけ外に出てくる。僕も同じで、普段はみんなに見せないものが言葉や写真を通して明らかになるんです。

Follow Josh Kern on Instagram @_kjosh

Fuck Me Josh Kern
Fuck-Me-Josh-Kern
Fuck Me Josh Kern
Josh Kern Fuck Me
Josh Kern Fuck Me
Josh Kern Fuck Me

This article originally appeared on i-D Germany.

Tagged:
Features
Interviews
Tumblr
Buch
Kultur
Teenager
Joshua Kern
Josh Kern
Fuck Me