英・気鋭デザイナーが語る、Hidden Mangrovesの家族像「似た世界観を持っている人はみんな家族」

ロンドンのストリートキッズも注目する若手ブランドHidden Mangrovesが、最新コレクション「School for the Gifted」を発表。デザイナーのルカ・ブラウンが、70年代のサイケデリック文化の革新性やボリス・ジョンソンへの危惧を語った。

by Sogo Hiraiwa
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24 December 2019, 1:26am

ロンドンのスケーターやアーティストを中心から支持を集めるHidden Mangroves(ヒドゥン・マングローブス)。ユーモアの利いたグラフィックと高品質の素材を兼ね備えたこの若手ブランドが、新作となる「School for the Gifted」コレクションを発表した。

ルックブックには、ロンドン在住の水原佑果が写っている。かと思えば、日本のスケーターたちの姿も。彼らをつなぐものは何だろうか、と考えてみたくなる。コレクション名がヒントを与えてくれそうな気もするけれど……。

Hidden Mangroves, ヒドゥン・マングローブス, 水原佑果, ルカ・ブラウン, ロンドン, ボリス・ジョンソン

これらの写真を手がけたのは、ブランドのデザイナーでもあるルカ・ブラウン。ロンドンのソーホーと東京の下町で撮影を行なった。被写体となっているのは皆、彼と価値観を共有する知人たちなのだという。

今回i-Dは、デザインから写真までマルチな才能を発揮するルカ・ブラウンにインタビューを敢行。印象的なサイケデリック・グラフィックや、ブランドの精神である「ユニティ」、ボリス・ジョンソン首相の誕生について訊いた。

ーー今回のグラフィックは70年代のサイケデリックな刊行物から着想を得たって聞いたけど、どこに惹かれたの?

サイケデリック出版は革命的だった。LSDとクリエイティビティの相関関係にどれくらい妥当性があるかはわからないけど、60-70年代にいろんなものの美的感覚の変化があったことは確か。あらゆるものがヴィヴィッドで、色彩豊かで、見慣れないものになっていった。家具のデザインやアートや音楽の世界で起こった当時の劇的な変化に惹かれたんだ。

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ーーコレクションのタイトルになっている「School for The Gifted(才能を持った人たちの学校)」についてもう少し教えて。「ギフテッド」って誰のこと?

「School for The Gifted」 は友情を元にした集団のメタファー。前のコレクションでは「family」とプリントされたTシャツを作ったんだけど、今回はそのアイデアを発展させたものだと言える。Hidden Mangrovesはひとつの家族。似た世界観を持っている人はみんな家族だと思ってる。伝えたいのは、自分たちの周りにいる人たちとの結束と平和と愛。そういう考えを共有できる人こそが、才能(ギフテッド)があるんだと思う。

ーー今回のルックブックには、日本人も沢山登場するね。

ルカ・ブラウン:Hidden Mangrovesで達成したことのひとつは、地理的な境界を持たないこと、そしてユニティ(結束)を体現すること。世界には多様な文化を持ったすばらしい人たちがいる。昔通っていたロンドンの学校のクラスメイトは、ほとんど外国から来ていたんだ。学校には多分、100以上の異なる民族性を持った生徒がいたし、宗教的な背景もバラバラだった。

日本は去年行ったときに大好きになったんだ。ロンドンの友達が日本のスケーターを何人か紹介してくれて。彼らは僕を友達のように受け入れてくれて、それから連絡を取り続けていた。彼らにまた会いたいと思っていたし、クリスマスの前に今回のルックブックを完成させる必要があったから、足りなかった分を日本で撮影することにしたんだ。東京にはHidden Mangrovesを扱ってくれている〈Domicile Tokyo〉もあるしね。

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ーーいつもプロのモデルをあまり使わないけど、どういう基準で選んでる?

ルカ:大抵の場合、友達か信頼できる人たちに頼んで撮らせてもらってる。近しい世界観を持っている人がいると、Hidden Mangrovesのモデルになってほしいと思うんだ。

ーーHidden Mangrovesはロンドンではスケーターにも人気って聞いたけど。

ルカ:僕たちはスケートブランドではないんだけどね。そのジャンルでうまくやってるブランドはいくつかあるけど、そこに入りたいとは思わない。突き詰めていえば、友達が着れる服をつくりたいんだ、できるかぎり高いクオリティで。

スケートボーディングがすばらしいのは、スケーター同士のつながりが世界中にあるところ。そういう点では僕もその恩恵を受けているね。

ーー東京滞在はどうだった?

ルカ:イベントの嵐だった。日中にいくつか打ち合わせをして、夜はビールと焼酎を飲みながらさらに打ち合わせ(笑)。僕がロンドンから雨を連れてきたのか、滞在中はずっと天気が悪くてスケートはできなかった。それだけが残念だったな。

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ーーボリスが首相になったことについてはどう思ってる?

ルカ:良いことを教えてあげるよ。“良い教育を受けた”からといって、その人が知的なわけではない。

ーーたしかに。ボリス政権が誕生するイギリスでは、Hidden Mangrovesが掲げている「ユニティ」はより重要になってくるアイデアだと思う。

ルカ:今は怒りが湧いて、残念に思ってる。国に失望した。ボリスに投票した人たちが信じられない。彼は明らかにレイシストだし、階級差別主義者だし、女性蔑視的で、ホモフォビアだからね。この結果に驚いているわけじゃないけど、アメリカでのトランプ現象やここ数十年で起こっている悲惨な出来事と怖いくらい似ている。トランプやボリス・ジョンソンみたいな人にはうんざりしてるよ。

そもそも、すべての人の生活を平等に尊重できない人間は国を運営すべきじゃないし、その国の人の代弁者になれるわけがない。今多くの国のトップはアッパーエリート階級出身で、普通の人たちの苦悩がわからない。彼らの多くは、金のことしか頭にない。政府にはもっと普通の人をレペゼンする人が必要なんだ。経済状況や宗教、民族、性的指向にかかわらず、すべて人を尊重できる人が。

Hidden Mangrovesはボリス・ジョンソンや彼を支持する人とは真逆のものを体現している。その人がどんな人種か、誰を愛するか、どんな信仰を持っているかは関係ない。僕たちは個人を個人としてリスペクトする。

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Hidden Mangrovesの最新コレクションは、公式HPにて販売中。また2020年1月から、東京のDomicile Tokyoとロンドンのドーバーストリートマーケットの店舗でも販売予定。

hiddenmangroves.com

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