Courtesy of Bottega Veneta

ガラスを操るオーケストラ指揮者:三嶋りつ惠 Interview

BOTTEGA VENETAが発信するデジタルジャーナルの第三弾『Issue 03』のコンリトリビューターのひとり、ガラス作家の三嶋りつ惠。デジタルジャーナルの撮影や、「Omotesandoプロジェクト」のコラボレーションについてインタビュー。

by Kaeko Shabana
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02 November 2021, 3:46am

Courtesy of Bottega Veneta

BOTTEGA VENETAが年4回発信するデジタルジャーナル『Issue』の第三弾『Issue 03』が先日発表された。最新号では世界中からアーティストが起用され、日本人アーティストも数名フィーチャーされている。今年6月にグランドオープンしたBOTTEGA VENETA表参道フラッグシップストアで作品を手がけたガラス作家、三嶋りつ惠もコントリビューターのひとりだ。『Issue 03』に登場したことについて、表参道フラッグシップストアのために制作した作品について話を聞いた。

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COURTESY OF BOTTEGA VENETA.

1989年にヴェネツィアに移住し、ムラーノ島のガラス職人とともに作品を手がける三嶋。現在は出身地の京都にも拠点を構え、2つの古都を往復している。ヴェネツィアン・ガラスの透明度や粘度を活かし、光の輪郭を描き出す無色のガラス作品を制作。日本橋のCOREDO室町テラス、ザ・リッツ・カールトン京都のロビーなどにも作品が展示され、近年ではアートのみならず建築やファッション、デザインなど活躍の幅を広げている。

今回、ベルリンで発表された「SALON 02」コレクションから3着のルックを着用し『Issue 03』に登場した彼女。着用したルックについて伺ってみると、「撮影で着用したドレスは私自身で選んだものではなく、BOTTEGA VENETA側から提案されたものです。ガラスのワンピースを最初見た時、『わぁ』と思わず声をあげました。クリエイティブ・ディレクターのダニエル・リーは、私にこれを着せたかったのかと……笑ってしまいました。私は透明な吹きガラスを制作する作家ですが、透明な吹きガラスが編み込まれたドレスを自分が着ることになるとは夢にも思っていなかったのです!」とダニエルが選んだルックのエピソードを語る。

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COURTESY OF BOTTEGA VENETA.

『Issue 03』には彼女のポートレイトのほか、「Omotesandoプロジェクト」のスケッチや作品が掲載されている。表参道フラッグシップストアのインスタレーションにつていては、次のように話してくれた。「BOTTEGA VENETAは職人によって編み込まれたイントレチャートの革のバッグがアイコンですよね。ダニエルはそこに宿るフィロソフィーを受け継ぎながらも、編み込みのサイズのピッチや素材を変えながら、より新しく刺激的な形に挑戦していると思います。私はその編み込みを拡大して、正方形の集合体として捉え、キューブ状の大きな吹きガラスで表現しました。銀を流し込むことによってミラー状に輝くキューブが、13個天井まで重なり、BOTTEGA VENETAのコンテンポラリーなシンボルとして表参道店に光を放ちます」

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COURTESY OF BOTTEGA VENETA.

インスタレーション作品のほかに、VIPルームで使用する吹きガラスのグラスと水差しを制作した。「私の最初の提案はエレガントで使いやすいものでしたが、ダニエルはそれには納得せず、少々使いにくくても機能以上に、彼はマテリアルの持つ迫力を重視したのです。機能性とダイナミズムの両立の着地点に苦心しました」とダニエルのクリエイションへの妥協なき姿勢を打ち明ける。今回『Issue 03』に参加した感想については「ダニエルの次から次へと浮かぶアイデアを形にするため、さまざまな国から来た優れたスタッフたちが、あらゆるリサーチやトライアルをしながら新しいものや限界に挑戦している風景は、とても刺激的でした」と振り返る。

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COURTESY OF BOTTEGA VENETA.

無色透明で有機的なフォルムの作品は、職人の熟練技と三嶋のクリエイティビティの共同制作でこの世に生み出される。「私のガラスはすべてヴェネツィア、ムラーノ島で制作しています。親方(マエストロ)とアシスタントの、3人ないし4人の職人たちとともに、私はオーケストラの指揮者のように彼らに指示を出しながら、ひとつの作品を作り上げています」。三嶋が創作するガラスは、作品から生み出された優しい光が、空間や作品を観る人を包み込むのだ。彼女にとってガラスの魅力とは? ずばり、聞いてみた。「金属の棒の先についた蜂蜜状に溶けたガラスの種が、360度ぐるぐる回りながら職人の息によって瞬時に膨らみ、重力を利用しながら形が生まれるさまは、いつも神秘的で感動的です」

「私のガラスは透明です、それがその場の景色に溶け込み、光を放つ事を思いながら制作しています。必然的に私は置かれる場所や空間を意識して作ることも多いです。それはコレクターの家だけにとどまらず、オフィスや集合住宅の共有空間であったり、ホテルなど多岐にわたります。引き続き、職人たちの技法に私の中に湧き上がるイメージを重ねながら、さまざまな空間との関係性から生まれる、美しいフォルムや新しい表現を追求していきたいです」と今後の展望についても語ってくれた。

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