Photo by Ian Gavan/Getty Images, Neil Mockford/GC Images, George Pimentel/Getty Images and by Frazer Harrison/Getty Images for The Recording Academy

FKAツイッグスのファッション変遷

コルセットとY2Kファッションの再ブームの火付け役、FKAツイッグスのスタイルの変化を、彼女のキャリアとともに振り返る。

by Zoë Kendall; translated by Nozomi Otaki
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21 January 2022, 10:42am

Photo by Ian Gavan/Getty Images, Neil Mockford/GC Images, George Pimentel/Getty Images and by Frazer Harrison/Getty Images for The Recording Academy

ポップミュージック界を代表するイノベーター、FKAツイッグス。2012年、アートポップ、トリップホップ、R&Bなどのジャンルを融合した独自のスタイルで、ロンドンのダンスシーンで頭角を表した彼女。オペラ風の歌声とダークでミニマルなプロダクションが織り成すこれまでにないサウンドは、すぐに彼女をロンドン音楽シーンの最前線へと押し上げ、名誉あるマーキュリー賞ノミネートをはじめ、数々の偉業を達成してきた。音楽の才能に加え、アーティスティックなヴィジョンを実現するための情熱にかけては、彼女の右に出る者はいない。すでに熟練のダンサーだった彼女は、「Cellophane」のMV撮影のためにポールダンスのトレーニングに実に数年を費やし、2019年には「Sad Day」のために武術と剣術を学んだ。

もちろん、ファッションも彼女の芸術的感性の大部分を占めている。1stアルバム『LP1』期のGHE20G0TH1K(※NYのパーティー)風ルックから、2ndアルバム『Magdalene』期のバロックスタイルまで、彼女がたどってきた多様なファッションのワクワクするような美学は、ツイッグス自身とスタイリストのマシュー・ジョセフ、さらにエド・マーラーやクリストファー・ケインといった長きにわたるコラボレーターによるものだ。

プライベートでも、ツイッグスのスタイルは他とは一線を画す。彼女はVivienne WestwoodのコルセットとヴィンテージのJean Paul Gaultierの熱心なコレクターだ。NikeLabのアイテムも、エドワード王朝風のドレスも、同じくらい難なく着こなしてみせる。先日発表したばかりの新作ミックステープ『Caprisongs』とともに、ツイッグスは音楽的にもファッション的にも、新たな時代へと突入したようだ。そんな彼女の2010年代はじめから現在までのファッション変遷を振り返る。

fka twigs performing on stage wearing a sheer tracksuit and bra in london 2014
Photo by David M. Benett/Getty Images for Nike UK Ltd

2014年 NikeLabローンチパーティーでのパフォーマンス

バレエやジャズダンスに親しんで育ったFKAツイッグスは、17歳でダンスを学ぶためにチェルトナムからロンドンへと引っ越す。カイリー・ミノーグやジェシー・Jなどのバックダンサーを務めたあと、ダンスから音楽に転向。2012年に初のEP『EP1』を発表し、2014年には1stフルアルバム『LP1』をリリース。アバンギャルドポップ、トリップホップ、R&Bを融合した、無駄を削ぎ落とした革新的なサウンドで批評家から絶賛を浴びた。

当時のツイッグスのスタイルは、自身の楽曲と同様、ダークでミニマルで折衷主義的だった。当時一世を風靡したGHE20G0TH1Kブームの波に乗り、彼女はスポーツウェアやランジェリー、フェティッシュなアイテムを組み合わせた。例えばスリット入りのボディスーツリングチョーカー、超厚底のプラットフォームシューズCreepyehaのカスタム・セットアップだ。上の写真は、お気に入りのブランドのひとつであるNikeのローンチパーティーでパフォーマンスをするツイッグス。シアーなトラックスーツとストラップブラは、彼女のキャリア初期を体現するルックだ。

fka twigs posing in a beaded alexander mcqueen gown on the red carpet at the brit awards 2015
Photo by Ian Gavan/Getty Images

2015年 ブリット・アワード

『LP1』で批評家から絶賛されたツイッグスは、お得意のヘルスゴス・ルックでレッドカーペットに登場した。マーキュリー賞の授賞式には、アシンメトリーのトラックスーツドレスとサイハイブーツで出席。ブリット・アワードでは、彼女のステージ衣装の定番であるストラップドレスを思わせる、Alexander McQueenのビーズドレスを着用した。

fka twigs dancing on stage at coachella in a creepyeha crystal lingerie set
Photo by Chelsea Lauren/WireImage

2015年 コーチェラ・フェスティバル

2015年のコーチェラで、ツイッグスはこれまでのゴシックスタイルから一転、異世界の天使のようなルックを披露する。クリスタルが散りばめられたこの純白のアイテムは、彼女の長きにわたるコラボレーター、Creepyehaによるものだ。

fka twigs posing on the met gala red carpet in a colorful christopher kane dress 2015
Photo by Jamie McCarthy/FilmMagic

2015年 メットガラ

2015年、ツイッグスは初めてのメットガラに、一風変わったネイキッドドレスで参加する。Christopher Kaneがデザインした〈恋人たちのレース〉ドレスには、絡み合う裸体や、メディアがこぞって騒ぎ立てた性器が描かれている。このドレスはネットでも話題を呼び、ツイッグスとケーンの友情と長きにわたるコラボレーションのきっかけとなった。その年、彼女はこのスコットランド人デザイナーの2016年春夏コレクションを身にまとい、ブリティッシュスタイル賞ファッションイノベーター部門を受賞。2017年には、Christopher Kaneのスパンコールドレスを着用し、2018年春夏コレクションショーの最前列に座った。

fka twigs perdorming at parklife festival in a destroyed all denim outfit 2015
Photo by Shirlaine Forrest/WireImage

2015年 パークライフフェスティバル

2015年のフェスシーズン、ツイッグスは定番だったスポーツウェアを封印し、ランジェリー風ルックにジーンズやボンバージャケット、上の写真のようなFaustine Steinmetzのデニムオンデニム・ルックなど、ワークウェアを取り入れるようになった。

fka twigs posing on the red carpet at the mtv vmas in a black sheer naked dress 2015
Photo by Kevin Mazur/WireImage

2015年 MTVビデオ・ミュージックアワード

ランジェリー風アイテムをいち早く取り入れたツイッグスは、2015年、クモの巣のようなコルセットのネイキッドドレスでMTVビデオ・ミュージックアワードの授賞式に出席した。

fka twigs posing in a nude gown at the met gala 2016
Photo by John Shearer/Getty Images

2016年 メットガラ

2016年、ツイッグスはメットガラのレッドカーペットに復帰する。この年のテーマは〈マヌス×マキナ〉で、彼女はVersaceのドレスに、金属のアクセサリーとテンポラリータトゥーを合わせた。このスタイルはテーマに沿っていただけでなく、ボディチェーンヘッドドレス貝殻のベルト、そして彼女の代名詞的なセプタムピアスなど、さまざまなアクセサリーを重ねづけする、ツイッグスの当時のマキシマリストスタイルを象徴していた。

fka twigs walking down the street in london wearing a black jacket and tinted sunglasses 2017
Photo by Neil Mockford/GC Images

2017年 ロンドン・ファッションウィーク

2016年「Good to Love」から2019年「Cellophane」までの休止期間に、彼女はニューヨークやロンドン・ファッションウィークで、上の写真のような〈エドワード王朝×Jean Paul Gaultier×マトリックス〉スタイルなど、さまざまな要素を遊び心たっぷりに融合させたルックを披露した。

fka twigs posing in a vintage vivienne westwood corset at sundance film festival 2019
Photo by George Pimentel/Getty Images

2019年 サンダンス映画祭

2020年のコルセットの再ブームを牽引したツイッグス。2019年はじめ、彼女はVivenne Westwoodのアイコニックなフランソワ・ブーシェ風コルセットで、サンダンス映画祭に出席。このルックはInstagramで話題を呼び、これをきっかけに彼女は膨大なVivenne Westwoodコルセットコレクションを自身のデジタルzine第5号『AVANTgarden』で披露するに至る。

彼女の新たなコルセットスタイルは、スタイリスト、マシュー・マシュー・ジョセフ曰く「バロックでロマンチックな」ルックを特徴とする『Magdalene』期の到来を予感させるものだった。代表的なのが、多種多様なパールアクセサリーフェザーハットプレーリーワンピースブルマさらに別のコルセットBurberryのヘルスゴス・ルックだ。

2019年 「Cellophane」ミュージックビデオ

2016年から2019年の間、ツイッグスはポールダンスを習い、「Cellophane」のMV撮影のために毎日2時間の過酷なトレーニングを行なった。「今まで挑戦したなかで一番大変だった」と彼女自身はいうが、トレーナーのケリー・イヴォンヌは彼女を「ポールダンスの天才」と絶賛している。彼女が苦労して習得したポールダンスの技術を際立たせるため、デザイナーのエド・マーラーは、彼女のキャリア初期のルックを彷彿とさせる金のランジェリーを特別に制作した。

fka twigs wearing a diamante minidress by ed marcher on the red carpet of the mtv vmas 2019
Photo by Jamie McCarthy/Getty Images for MTV

2019年 MTVビデオ・ミュージックアワード

2019年、ツイッグスは特にきらびやかな『Magdalene』スタイルで、MTVビデオ・ミュージックアワードのレッドカーペットに登場した。このルックも前述のエドによるデザインで、チューダー朝時代の美学とY2Kファッションを融合したディアマンテのミニドレスとタペストリーのケープを合わせている。

2019年 『Later… with Jools Holland』でのパフォーマンス

11月初旬に2ndアルバムをリリースしたあと、ツイッグスはBBCの音楽番組『Later… with Jools Holland』に、ギリシャ人デザイナー、ディ・ぺツァが手がけたウェットルック・ドレスを身にまとって出演した。デザイナーによると、このウェットルックシリーズは「女性が濡れるということ」と女性の身体の最も自然な状態を探っているという。このルックはツイッグスの「Home with You」のMVで表現された「無垢さ」と、アルバム『Magdalene』に流れる神聖な女性のエネルギーを捉えている。

fka twigs posing on the red carpet in a fuschia baroque corseted gown at the grammys 2020
Photo by Frazer Harrison/Getty Images for The Recording Academy

2020年 グラミー賞

ツイッグスは、「Cellophane」でノミネートされた2020年のグラミー賞授賞式に、全身バロックスタイルで登場した。エド・マーラーが特別に制作したコルセットドレスだ。ブルマや金のビキニに加え、彼女の『Magdalene』期は、ジミー・ファロンの『ザ・トゥナイト・ショー』でのパフォーマンスで着用したオーブリー・ビアズリー・インスパイアのドレスやValentino 2020年秋冬コレクションショーで着用した同ブランドのクリスタルドレスなど、豪奢なドレスを特徴としている。

fka twigs wearing vintage gaulthier and a fuzzy green hat at the nme awards 2020
Photo by Neil P. Mockford/Getty Images

2020年 NMEアワーズ

2020年、ツイッグスはこのNMEアワーズのルックで、Y2Kファッションへと足を踏み入れた。お気に入りのエドワード朝×Gaultierルックに、ボリューミーなハットを合わせたこのスタイルは、1999年MTVビデオ・ミュージックアワードのパメラ・アンダーソンのアイコニックなルックを連想させる。

fka twigs wearing an orange hooded jersey dress at the premiere of king's man in 2021
Photo by Samir Hussein/WireImage

2021年 『キングスマン:ファースト・エージェント』プレミア

NMEアワーズに続き、ツイッグスはスポーティピンクやライムグリーン、OttolingerSupriya LeleヴィンテージのRoberto Cavalli、そしてこのゼロ年代のカイリー・ミノーグ風のフード付きジャージドレスなどで、2021年のY2Kトレンドへと飛び込んでいく。

2022年 新作ミックステープ『Caprisongs』

彼女の最近のSNSが何かを暗示しているとしたら、それは彼女の『Caprisongs』期がこれまで以上に折衷主義的になるだろう、ということだ。同作からレゲトンナンバーが先行公開されたほか、ShygirlからThe Weekndまで、多様なコラボレーターが参加している。同時に公開されたファッションも、同じくらい多様な要素を含んでいる。アンゴラセーターとフープスカート、チェックのキルトと雲のようなトップスだ。ツイッグスはこれからも、ポップミュージック界きってのファッションイノベーターの名にふさわしい活躍を見せてくれるに違いない。

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