台湾で話題のヘアサロン OOO-ing studioが目指すもの

2019年に台湾で新たにオープンした、インスタグラムで話題沸騰中のヘアサロン〈OOO-ing studio〉。その実態を探るべく、22歳の若き経営者ライトと、看板スタイリストのメイとウェスリーに話を聞いた。

by MAKOTO KIKUCHI
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02 April 2021, 7:54am

Courtesy of OOO-ing studio

2019年11月に台湾の台中市に誕生したヘアサロン、〈OOO-ing studio〉。そこに所属するスタイリストのメイウェスリーは、現在インスタグラムでそれぞれ万単位のフォロワーを持つ注目のアーティストだ。どこか2010年代のポップでカラフルな原宿スタイルを彷彿とさせるようなカラーリングと、アニメから飛び出てきたかの如きアイコニックなヘア・アレンジ……それらが独創的に組み合わさった彼らのスタイルはまさに唯一無二である。「ある日突然、オーナーのライトとメイから電話が来たんだ。『二人でスタジオを開くんだけど、あなたも一緒にやってみない?』って」とウェスリーはそのときのことを振り返る。「いきなりすぎて、はじめはドッキリかと思ったよ」

プロジェクトをスタートさせたきっかけを尋ねると、「自由にものづくりができるパーソナルな空間を作りたかったんだ」とライトはシンプルに答えた。このサロンの経営者である彼女は弱冠22歳。OOO-ing studioのスタッフのなかでもいちばんの若手だ。サロンをオープンしてからおよそ一年半でここまで急速にプロジェクトが成長していったことについて、ライトは「かなり驚いた」と語る。「私達はみんなシャイで内気だから。最初はただ、自分たちが大好きなことをやろうと思っただけだった。こんなに世界中からサポートをもらえるなんて思っていなかったから、すごく感謝してる。今後は海外のクリエイターともコラボしていきたいな」

一風変わったサロン名について、その由来を尋ねてみると「社会や環境に制限されることなく、誰もが自分らしくいられるように、という願いを “OOO-ing”という名前に込めた」とライトは回答する。「“OOO”の部分に自分の名前を入れたら、言葉の意味が変わってくる。 進行形の“ing”は、私達がお客さんに与えるパワーを示してる」。「自分らしくいること」は彼らのクリエイションの根幹にある、重要な要素だ。今回のインタビューに応じてくれたオーナーのライトとスタイリストのメイは、ビジネスパートナーであり、プライベートでは仲良しのカップルでもある。「台湾はアジア諸国で初めて同性婚が認められた国で、それはとても美しいこと。それによって台湾の若い世代が、以前よりも自由に自分を表現できるように勇気づけられたことは間違いない。私達は、愛にラベルなんてないと信じていて、この考え方はものづくりにも役立っていると思う。クリエイションは、感情と社会に基づいているものだから」

メイとウェスリーは自分たちのクリエイションについて「特定の何かに影響されているわけじゃない」と語る。「ほとんどのインスピレーションは私達の日常から来ている。ものづくりは、私達の感情を表現する方法だと思っているから。音楽や絵画、映画なんかも、周囲のものの見方に影響していて、クリエイションの糧になっているかな。台湾の美容業界は、一般的なものとパーソナルなものに分類できると思う。メインストリームではシンプルで実用的なスタイルが流行っているけど、私達のようにオリジナルのスタイルを作ろうとするコレクティブも存在する」

彼らがサロンを開業したのは、ちょうど世界中に新型コロナウィルスの脅威が広まる直前だ。サロン経営者として、この状況で新たなビジネスを始めることに弊害はなかったのかと尋ねると、ライトはこう答えた。「幸運なことに、台湾では新型コロナウイルスの抑制がとても上手くいっている。厳しい世界の状況に反して、私達の周辺ではまだとても健康で安全な生活が保たれている状況。私達が今すべきは、感染対策を徹底して、お客さんの安全を守ること。今台湾は、どの都市でも公共の場ではマスクの着用と検温が必須。このコロナ禍で、全員がすごく結束しているんだ」

「サロンの店舗数を増やしたり、事業を拡大することは特に今のところ考えていない」。

躍進を続けるOOO-ing studioについて今後の展望を聞いてみると、意外にもライトはそう答えた。「サロンをオープンしたいちばんの目的はお金を稼ぐことだった。収益を挙げることとものづくりを続けることのバランスを大事にしていけたらいいなと思う」とメイが付け加える。「結局、私達はお客さんが髪型を通じて自分を表現する手伝いをしたいだけなんだよね。それと同時に、美容業界の新たな指標になることを願ってる」

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