フランスのブルキニ禁止令とその余波——ブルキニのデザイナーに聞く

ニースの警察が女性にビーチウェアを脱ぐよう強要しているショッキングな画像がソーシャルメディアで拡散され、世界で批判が高まっている。ブルキニを発案したデザイナーがこの事態について語った。

by Charlotte Gush
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05 September 2016, 3:47am

サウジアラビアでは警察が女性に極限まで肌を隠すよう見回りをするが、同様の流れがいまや世界中に見られている。フランスのリゾート地では、物議を醸している"ブルキニ禁止令"を背景に、警察が女性に身につけている水着などを脱ぐよう命令して回っている。

先日、とある画像がインターネット上で拡散された。ニースの浜辺で日光浴を楽しんでいた女性を武装した警察官数人が囲み、注意を受けた女性が7分丈のトップスを脱ぐ——この女性がブルキニを着ていたかは明確ではない。画像を見るかぎりでは、黒のレギンスを履き、ヒジャブ(頭を覆い隠すスカーフ)のカラーに合わせたブルーのトップスを着ているだけのように見える。いずれにしても、画像に見る現実はショッキングのひと言に尽きる。

カンヌもまたブルキニ禁止令を施行したフランスリゾート地のひとつだ。カンヌ市長は「善良な道徳観と世俗主義に反する不適切な服装でのビーチ利用および海水浴を禁ずる」として、この禁止令を発令した。イギリスのテレビ局BBCは、同市長が「フランス国内の寺院などがテロの標的となっている現状を考えれば、宗教的意味を持つビーチウェアは社会的秩序を著しく乱す恐れがあると判断した」と語ったと報じている。

ブルキニを考案した張本人であり、自身もレバノンの血を引くオーストラリア人デザイナー、アヒーダ・ザネッティ(Aheda Zanetti)は、ファッション紙『WWD』とのインタビューで、この禁止令について「完全に間違った解釈がなされている」と語っている。「ブルキニを着ることで被害をこうむる人々の心中を思うと悲しい。ブルキニは、宗教を超えて皆が共存できるようにと考案したデザイン。思慮深さが求められる状況で思慮深い服装が適切と考えたひとびとが、思慮深い格好を選べる自由を実現しようというのが趣旨だったのです。ハッピーでポジティブなものとして受け止められるべきものなのです。もとは『健康とフィットネスを生活に取り入れる自由を、女性に』と考案したものが、この禁止令によってネガティブなものに変えられてしまった」

ブルキニを購入する消費者の60%はムスリム女性だというが、ほかの購買者は宗教的ではない理由で肌を隠したいと望む非ムスリムの女性であるとザネッティは言う。「フランスの人たちはまずブルキニが何であるか、そしてなぜブルキニというものが世の中で必要とされているのかについて深く理解する必要がある」と彼女は説明する。「ムスリム女性のみならず、女性たちからライフスタイルを奪おうなんてとんでもないこと。がん患者のことを考えてみてほしい。太陽光から肌を護る権利を奪おうなんて、一体自分たちが何をしているのか、彼らはわかっているのでしょうか?『こういうものは家で着なさい』とでも言うつもりなのでしょうか?」

ブルキニという名前の由来について、ザネッティは「ブルカのようでもありながら、ビキニのような2ピースでもある。だからブルキニと名付けました。でもブルカに由来しているからといって、それは単なる名前にすぎません。イスラム教を象徴するわけでも、ムスリム女性を象徴するわけでもない。当然ながら、テロを象徴しているわけがない。ブルキニが象徴するのは自由や柔軟性、心地よさです。健康とフィットネスを象徴しているのです。判断はそこでなされるべきではないでしょうか?」

禁止令が施行された後も、ブルキニの売り上げは減速していないという。それどころか、売り上げは200%の増加を見せていると、ザネッティはBBCに語っている。

Credits


Text Charlotte Gush
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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