絶対に真似してはならない90年代スケーターファッションの7つのアイテム

最近になり、リバイバルが囁かれている90年代のスケートシーン。だが、ノスタルジアに惑わされて「クール」などと解釈しては決してならない、トレンドもたくさんあるのだ……。

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jul 29 2016, 3:15am

現在、90年代スケーターファッションは無視できないトレンドとなっている。コンテンポラリーファッションからストリートカルチャーまでを網羅するオンラインメディアHypebeastはSupremeのストーンウォッシュジーンズやPalaceのウィンドブレーカーをこぞって推し、"クールなモデルたち"は普段着に揃ってThrasherのTシャツを愛用している。そして、あの『Vogue』までもが、柄にもなく1週間をまるまる割いてスケートカルチャーを追っているのだ。

しかし、見事な返り咲きを見せている90年代スケーターファッションにあっても、せっかく死に絶えたのだからわざわざ生き返らせる必要のないものもある。あの時代に人気を得たものの中には、思い出すのも恥ずかしいものや90年代という過去の奥底に眠らせておくべきものもたくさんあるのだということを、私たちは心得ておかなければならない。だから、90年代ノスタルジアの波が、スケートパークにとどまらずハイストリートファッションに押し寄せている今、改めてあの時代のスケーターファッションの"ワーストアイテム"について、ここで考えてみよう。

ピークビーニー(つば付きニット帽)
別名「ヴァイザービーニー」としても知られるピークビーニーは、ニット帽とベースボールキャップのあいだに突然変異として生まれてしまったキャップ。ニット帽は格好良いし、ベースボールキャップもカワイイ。どちらも非の打ち所のない永遠のアイテムだ。しかしながら90年代、スケーターたちはこの"あいの子"こそが最高にクールなアイテムだと信じて疑わなかった(他にも半透明のヴァイザーや、つばを正面からちょうど40度回すスタイルがクールだと考えられていたのだから恐ろしい)。伝説のスケーター、トム・ペニー(Tom Penny)もそんな1人だった。ペニーに至っては、ピークビーニーをそれなりに着こなしてはいたものの……、ピークビーニーはどう見てもティーポットカバーにしか見えない。今日も、つばのないキャップを見かけて、「え?」と思うことがあるだろう。90年代板"あれ"がピークビーニーだったと言えば、その存在のおぞましさを解っていただけるだろうか。あるべきところからつばを取り、なくて良いところにつばを付ける——トレンドとは不可解なものだ。

Jncoジーンズ
百歩譲って、ライトブルーのLevi's 501は良しとしよう。しかし、バギーにもほどがあるJncoのジーンズは、ただ90年代のスケーターファッションがカムバックを果たしているからといって安易に手を出してはならないアイテムだ。そこには明確な境界線が引かれなければいけない。90年代熱におかされるのもほどほどにとどめておかなければならないのだ。大きな木の幹ほども太さがあるこのジーンズ。履くと、靴がすっぽりと隠れてしまう。まるで、パラシュートを2本履いているようなルックスになる。さんざん引きずってほつれてしまった裾は、雨に濡れると重くなり、よくヒールに引っかかったものだ。そしてなにより、"オーバーサイズ"などという形容では収まらないほどのサイズ感が売りのJncoジーンズだから、どんなベルトをもってしても、ずり落ちてくることは避けられない。足を前に運ぶたびにお尻が見えてしまい、いつでも手で引き上げていなければならなかった。

キャンバスベルト
キャンバス地のベルトは、90年代スケーターファッションを代表するアイテムだ。しかしあのベルト、すぐに緩んでしまうため、パンツがすぐにずり落ちてしまう。あのミリタリースタイルの"水かき"ベルトは、絶対に蘇らせてはならないアイテムのひとつだ。まず、バックル部分に通し、ちょうど良いキツさまで引っ張ったベルト先端部分は、どうやっても余ってしまう。シャツの裾から垂れ下がるその様は、とにかくだらしない。ネルシャツの裾から10センチほど覗く形で垂れ下がるキャンバスベルトは、友達に引っ張られて大笑いのネタになるなど、用途と呼べなくもない使い道もあったが……。さらに、キャンバスベルトにお気に入りのバンド名をマジックで書く("<3 KoЯn"など)などすれば、90年代スケートトレンドのもっとも恥ずかしいスタイルを再現できるだろう。

不必要な機能が盛りだくさんの、ボテっとしたスニーカー
Airwalkや、オールドスクールなVansは、90年代後期になると姿を消した。シンプルなものがもてはやされる時代は終わったのだ。そこに登場したのが、不必要としか言いようのない機能が盛りだくさんの、ボテっとした大きな塊のようなスニーカーだった。「Air Jordanにインスパイアされた」として、アスレチックなスケーターたちによりデザインされたそれらスニーカーには、揃って「高密度エチレン酢酸ビニール製クッションレイヤー」だの「保護用レーシングフラップ」だの「ショック吸収ポリウレタン製ミッドソール」だの「強化オーリーアリーナ」と、とにかくワケのわからない機能が、これでもかというほど盛り込まれていた。かかと部分には布製のフックが付いていて、サッと履きやすいよう工夫がされていた。しかしそこで考えるべきは、「スケーターなら誰しも、トリックの途中でスニーカーなど脱げてしまうのが当たり前と考えているのは周知の事実。なのに、なぜそんな工夫を?」ということだ。この手のスニーカーの最悪な部分は、不必要な機能と工夫だけにとどまらない。90年代に流行した、何かの塊のような形のそれらのスニーカーは、とにかくパッドが効きすぎていたために、文字どおりボードの凹凸すら足裏に感じることができなかったのだ。そして何より、スキーブーツのような見た目もいただけない。

不必要な機能が盛りだくさんの、ボテっとしたバックパック
もちろん、ボテっとしたスニーカーを履いたならボテっとしたバックパックが必要になる。そしてスニーカー同様、あれもこれもと機能をたくさん搭載しているべきだろう。ボードをストラップで留めることができて、マリファナを入れるための隠しポケットも必要だし……。最初からステレオが埋め込まれていたりしたら言うことなし! というわけで、あのチャド・マスカ(Chad Muska)でさえも90年代後期にそんなバックパックを愛用し、背負ったままスケートまで披露したことがあった。ここでも問題となるのは、やはりその大きさだ。チャド・マスカでもないかぎり、この手のバックパックを背負ったままストリートを攻めれば、誰もがその重みに持っていかれてバランスを失う。週末をキャンプでフルに過ごすための道具をすべて背負ってスケボーに乗っているのと何ら変わらない感覚。見た目も、スケボーに乗った大きな亀のようになるから要注意だ。

巨大なポケットが付いたオーバーサイズのカーゴパンツ
90年代を代表するポップグループのオールセインツ(All Saints)も履いていた。そして実にたくさんのスケーターもまた、こぞってオーバーサイズのカーゴパンツを履いていた。DickiesやPolarが先頭に立って現代版のそれを作り、発売して、密かなカムバックを果たしているとはいえ、90年代にトレンドとなったオリジナルのカーゴパンツとはやはり違う。オリジナルのカーゴパンツは、巨大なポケット、極太のフォルム、そしてレングスを調節できるドローストリングが特徴だった。とにかくベージュだったことも付け加えておくべきだろう。目を背けたくなるようなそんなデザイン——それが、90年代オリジナルカーゴパンツだ。当時、多くのスケーターは片足だけ裾を捲り上げることをファッションステートメントとしていたからドローストリングなど必要なかったし、手を入れても底まで届かない巨大ポケットなど誰も使っていなかった。当たり前だ。底まで手が届くポケットがついたパンツをみんな持っていたのだから。

ウォレットチェーン
上記のトレンドにウォレットチェーンまで付けてしまったら、それはもはやギリギリのスタイルではなく、危険水域のスタイルだ。映画『クルーレス』に登場するスケーターたちのパロディになってしまう。もともとウォレットチェーンとは、「スケーターたちが幾段ものステアに挑戦して転んでも、財布を失くしてしまわないように」、そしてもちろん「治安がそれほどよろしくない地域でスリ被害に遭わないように」という考えから、スケーターたちがこぞって使ったアイテムだった。しかしながら、歩くたびに長いチェーンが太ももを叩く様は、90年代スタイルへのオマージュとしても、いささかの"やりすぎ感"がいなめない。忘れてはならない——今は21世紀。2016年なのだ。ネルシャツのボタン全開で、耳には小ぶりなフープイヤリングをつけ、大量のジェルで髪を固めてストーンウォッシュのデニムを履くだけで十分ではないか。そこに、犬のリードのようなチェーンが太ももを鞭打つというスタイルまで盛り込むのは、完コピであるからこそ恥ずかしい。

@OliverLunn

Credits


Text Oliver Lunn
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.