Photography Harley Weir

ハーリー・ウィアー自身によるハーリー・ウィアー:クレージュの新キャンペーンはモデル0人

ハーリー・ウィアーが撮りおろしたセルフィーは、ただのセルフィーじゃない。純然たるファッションシュートだ。

by Steve Salter; translated by Ai Nakayama
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09 July 2019, 4:19am

Photography Harley Weir

世界は誰のものなのか。かつて、今とは全く違う時代にミニスカートとPVCで一世を風靡したCourrèges(クレージュ)は、今トップに女性を擁し、ファッション業界のジェンダーポリティクスと搾取の歴史に疑問を呈すことで、自らの業界内での地位の再構築を試みている。この数年、#MeToo運動により、これまで男性がいかに権力を盾にして横暴に振る舞ってきたかが明るみになり、異なる視点からの女性のまなざしがファッションイメージのつくりかたを変えるなど、歓迎すべき変化が起きているのは確か。
しかしファッション業界には、改善の余地がまだたくさんある。

「女性によるお世話や愛情は、もはや当然のものではありません」とCourrègesのアーティスティックディレクター、ヨランダ・ゾベル(Yolanda Zobel)は語る。「私たちはもっと能動的に気遣い、愛していかないと」

そんな彼女が声をかけたのはハーリー・ウィアー。自分自身が抱く女性のヴィジョンを疑いながら、それを武器にして魅力的な作品を生み出す写真家だ。

Harley Weir for Courreges

ヨランダが、スペースエイジ・ファッションの代名詞であるCourrègesのトップに立ち、改革に着手してから1年半。今のCourrègesが描く女性像にとって、そして女性が未来を担うあらゆる世界において、彼女は〈自己決定〉こそが核となる価値観だと考えている。

2019年秋冬キャンペーン広告のティーザーでコラボを果たしたヨランダとハーリーは、続く2020春夏プレコレクションのヴィジュアルで、各々の作品をともに次のレベルへと前進させた。「私たちはこのキャンペーンをリアルにしたかったんです。そしてハーリーは、自己決定力のある女性です」とヨランダはi-Dのメールインタビューに答え、撮影した作品のうち数点のヴィジュアルを特別に共有してくれた。

Harley Weir for Courreges

〈Herself(彼女自身)〉と題された2020春夏プレコレクションのキャンペーンでは、プロのモデルは起用されていない。ヨランダとハーリーは、想像の産物としての〈クレージュ・ウーマン〉を新人モデルに投影するのではなく、自らが主役になることを決めた。なぜなら彼女たちこそが、クレージュ・ウーマンを体現しているから。だから慣例にならったキャスティングはしなかった。

ハーリーのロンドンの自宅に送られたコレクションアイテムを、彼女がモデルとなり着用。そして自らを撮影した。鏡越しのセルフィーや、PCでのライブ配信映像を編集した画像などを融合させたヴィジュアルは、親密で挑発的なポーズ、夢幻的なフィルターが使用され、いかにもハーリー印。観るものは鍵穴を覗くようにレンズの向こうへと引き込まれ、彼女の世界のなかへといざなわれる。ただのセルフィーではない。純然たるファッションシュートだ。

「このキャンペーンの真摯な姿勢、エンパワーメント、自由、そして繰り返しになりますが、自己決定力というものを感じ取ってもらえればと思います」とヨランダは願う。

Harley Weir for Courreges

This article originally appeared on i-D UK.

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