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サステイナブルなファッションは金持ちだけのものじゃない

廃棄することはデザインにおいて欠陥であり、低所得者がそのツケを払わなければならないのだ。

by Annie Lord
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26 September 2018, 7:55am

Stella McCartney AW 18, photography Mitchell Sams.

サステイナブル・ファッションは富裕層だけのものであってはならない。しかし、一般消費者はファストファッションにしか手が届かないというのが実情だ。アパレル業界が大量の労働力と天然資源を搾取しているのは周知の事実。私たちが着ている服をつくる労働者たちは、最低賃金を下回る給料で、劣悪な環境での長時間労働を強いられており、職場までの長い道のりを日々通っている。しかも彼らが働く工場は安全とは程遠い。2013年4月にバングラデシュのダッカ近郊で発生し、1134名の死者を出したラナ・プラザ崩落事故は世界に衝撃を与えた。

自分らしいスタイルよりも、乱発される一過性のトレンドが重視される文化では、大量の服がすぐに流行遅れとなってしまう。毎年、米国だけでも、ひとりあたり約36キロの服が廃棄されており、これは20年前の2倍の量だ。無料で返品したアイテムも、店頭に並べられることなく、ごみ処理場へと送られるものが多い。

ファストファッションの原材料は多くがポリエステルで、洗濯すると有害なマイクロファイバーが流れ出てしまう。その水が海へと捨てられると、プランクトンや貝が汚染物質を飲み込む。そして汚染された魚介類を口にした人間は、著しく健康を害する恐れがある。綿畑で使用される有毒化学薬品は、綿生産者の脳腫瘍の原因となったり、彼らの子どもに先天障害をもたらしたりしている。

端的にいってしまえば、ファストファッションは悪だ。しかし、ラグジュアリー・ファッションはそれよりマシだといえるのか? さらに、多くの消費者が大量生産の服にしか手が届かないこの現状を解決するためには何ができるのだろうか?

Photo via Wikimedia Commons.

エシカル・ファッション(「倫理的に正しい」ことを理想と掲げるファッション)を推進するブランドの多くが高級ブランドだ。例えば、サステイナブル・ファッションの先駆者として知られるStella McCartney。再生ナイロンをデザインに取り入れたり、原始林を保護しながらビスコースを調達したりしているその姿勢はすばらしいが、一般消費者が手を出せる価格ではない。リーズナブルな価格でサステイナブル・ファッションを提供する、と謳うブランドの服でさえ、世間一般の予算を超過している。LAのブランドThe Reformationは、エシカルなビジネスを実践しており、自分たちが使用、消費したエネルギーや水、排出した温室ガスを、空気中の二酸化炭素を吸収するため森に木を植えたり、浄水設備に出資したり、埋め立て地ガスの排出権を購入してオフセットしている。エシカルファッション・ブランドのBirdsongは、英国内の女性による生産に注力しており、彼女たちには最低賃金ではなく生活賃金が支払われている。しかしThe Reformationのワンピースは200ドル(約2万2000円)、Birdsongのパンツも125ポンド(約1万8000円)程度だ。とても魅力的な選択肢ではあるが、これでも多くの消費者にとっては簡単に支払える値段ではない。

リサイクルショップを利用しよう、洋服は直して着よう、消費者にそう呼びかけるのは簡単だ。しかし着古して捨てられる衣類が18%、流行遅れになったから捨てられる衣類が26%の現状で、リサイクルショップでわざわざ買いたくなるアイテムが見つかるかは疑問だ。それに、衣類のメンテナンスには手間暇がかかる。ハリウッド黄金期を代表する女優ジョーン・クロフォードの「服は、親友のように大事にしなさい」というアドバイスに従うべきなのはわかっていても〈安かろう悪かろう〉の低品質な衣類の場合、実現は難しい。

ファストファッションの不買に向けた気運は、抑えがきかないほど高まっている。ファストファッション・ブランドのCEOたちは長者番付にもランクインしており、それほどの資金があれば手頃な価格のサステイナブル・アイテムだってつくれるはずだ。Topshopをはじめとする数々のファストファッション・ブランドを傘下に収めるアルカディア、その会長を務めるフィリップ・グリーンの2017年の資産総額は38億ポンド(約5600億円)、GAP社アーサー・ペックCEOの2017年の報酬は1560万ドル(約17億円)だ。そのうちのたった10%でも、工場労働者の賃金の支払い、あるいは地球環境に優しい原材料の調達に使われれば、きっとアパレル業界は大きく変わるはずだ。

ファストファッションは悪だ。しかし、ラグジュアリー・ファッションだって、環境に同じような負荷を与えているという事実は忘れられがちだ。「責任を負うべきはファストファッションやファストファッション・ブランドのみ、という主張は神話にすぎません」と国際的キャンペーン〈Fashion Revolution〉の共同設立者でクリエイティブ・ディレクターのオルソラ・デ・カストロ(Orsola de Castro)は説明する。「ラグジュアリー市場だって、ジュエリー、カシミヤ、生産されるレザーの量、それら全てが環境に負荷を与えています。デザイナークローズは高価なはずなのに、それでもサプライチェーンの労働者たちは、適切な給与を受け取ってません。最低賃金を下回っている場合すらあります。ファストファッションだけではなく、アパレル業界全体の問題として取り上げられるべきです」

サプライチェーン、賃金、廃棄などについての透明性、つまり企業がどれほど情報開示しているかについては、デザイナーブランドよりもファストファッション・ブランドのほうが優れている。「〈Fashion Revolution〉の透明性インデックスを確認すれば、数々のファストファッション・ブランドがデザイナーブランドより明らかにまさっていることがわかります。H&M、GAP、ASOSは、透明度50%です。これが最終目標ではありません。良いスタートです。こうすることでブランドは、自らのサプライチェーンにより大きな責任をもてますから」とオルソラは説明する。

Image via ASOS Instagram.

ファストファッション・ブランドの進歩は速くはないが、サステイナブルへの流れは広まりつつある。ASOSなどの大手小売店では、衣類の製造における循環性を意識し始めている。無駄を最低限に抑え、古着を再生して、全ての衣類を一生着られるよう注力しているのだ。H&MとGAPも、古着を入れる巨大なボックスを店舗に設置し、消費者が持ち込んだ古着をリサイクルできるようにしている。しかし限界はある。H&Mが、1000トンもの廃棄服をリサイクルするには12年かかるとされているが、同社が同量の服を製造するのにかかる時間はたったの48時間だ。ただ、少なくとも、状況改善に向けた小さな1歩を示していることには変わりない。オーガニックリネン、コットン、シルク、テンセル、あるいはポリエステルやシルバーなどの再生繊維を使用し、よりサステイナブルな衣類を生産しようとするH&MとZARAのエシカルな試みも同様だ。

アパレル業界は〈100%サステイナブル〉とは程遠い。ファストファッション・ブランドのCEOやデザイナーたちは、スタイル面でも耐久性の面でも長持ちするような衣類をつくらなければならない。一生着れて、何度着てもボロボロにならない衣類だ。廃棄するということはデザインの欠陥であり、そのツケは低所得者が払うはめになることに、ブランド側が気づく必要がある。地球ももう限界だ。

This article originally appeared on i-D UK.