インドネシアからLAヘ:リッチ・チガ 移住後インタビュー

インターネットを通して世界中で人気を拡大しているインドネシア人ラッパーのリッチ・チガ。彼が、移住したロサンゼルスでの生活やTwitterを使うコツ、運命の出会いを語る。

by Clementine de Pressigny; photos by Cameron McCool; translated by Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.
|
14 December 2017, 9:05am

This article originally appeared in The Sounding Off Issue, no. 350, Winter 2017.

ブライアン・イマニエルは、ジャカルタで自宅教育を受ける平凡な少年だった。勉強以外はほとんど自室にこもり、ユーモア溢れるミームをツイートしていた。そんなある日、彼はリッチ・チガ(Rich Chigga)という名で「Dat $tick」という動画をアップした。これが大きな話題を呼び、彼の快進撃が始まった。現在彼はロサンゼルスで移住し、憧れのアーティストたちとの交友を深めている。ラッパーとして夢のような生活を送っているブライアンはまだ18歳。笑う姿こそ年相応だが、その深い歌声はとても10代のものとは思えない。

——ロサンゼルスでの生活はどう?
世界で最高の場所だと思う。仕事仲間はは最高だし、天気も最高。毎日、外へ出るたびに「ロサンゼルスに暮らしてるんだな!」と思う。夢のようだよ。

——インドネシアが恋しくなったりは?
そりゃあ恋しくなるよ。インドネシアに帰って友達に会うと、「これ以上何もいらない」って思う。もちろんそれは本心なんだけど、インドネシアとロサンゼルスでの生活はまったく違うから、なんとも言えないね。変な感じだよ。でもロサンゼルスとインドネシアを行き来する生活は気に入ってる。

——街中でファンに呼び止められたりすることはありますか?
ある! 段々と慣れてきたよ。ファンに話しかけられたりするのが嫌いだっていうひともいるけど、いいことだなと思う。

——憧れのラッパーたちに会えるようになってきたわけだけど、いま会いたいアーティストは?
これまでも素晴らしいひとたちに会ってきたけど、まだ出会えていないのは、タイラー・ザ・クリエイターと、チャイルディッシュ・ガンビーノ。彼らに会いたいね。

——でも、電話でタイラーと話したことがあるんですよね?
そう! 現実とは思えなかった。

——ファレル・ウィリアムスに「もう恋はしない」と言ったそうですが?
そうだね。いま彼女がいるわけではないんだけど、ある女の子と出会って変わったかも。一回会っただけなんだけど、一緒にいるときに「何これ!」って感じてた。それまで付き合いたいと思うような人はいなかったんだけど、その子に会って「たぶんこれから20年くらい、君みたいなひとに出会うことはない」と思ったんだ!

——両親はあなたの成功についてはどう思っているの? あなたが離れて暮らしているというのは辛いかと思いますが。
心配してるね。でも、思ったより応援してくれているよ。両親の応援は僕にとってとても大事で本当に感謝してるんだ。二人とも僕の成功をとても喜んでくれているよ。父もTwitterをやっていて、僕のことはフォローしてないんだけど、毎日検索してるんだ。Instagramでも、ハッシュタグ検索でチェックしてるみたい。

——あなたは「Twitterでファンを増やして、そこで作品をアップしていく」と語っています。結果的にそれが功を奏したわけですが、Twitterで成功を収めるためのコツを教えてください。
ああ、それはいい質問だね。まず自分らしくいることが大切だと思う。僕も最初はミーム画像を作っていただけだった。けど、2015年の終わり頃からもっと僕自身の画像やムービーをアップしていこうと決めたんだ。すると「コメディ映像をアップするひと」として認識されるようになった。オリジナルのコメディ映像だから、おもしろくないといけない。今は、もうセルフプロデュースの基盤ができあがったから昔ほどツイートする必要もなくなったけど、あのころは一日中ツイートをしてた。インドネシアはアメリカと昼夜が逆だから、昼間にミームやジョークを作って、夜アップしていた。最終的には、朝の6時に起きてスマホでいい感じのツイートをして、それがリツイートされる……という夢を見るようになって、目が覚めて手を見ると、そこには何もない——“エアフォン”を握ってるってこともあったからね。あれは狂ってたな。

——夢遊病みたい! それだけツイートにのめり込んでたわけですね。「Dat $tick」は、現時点で6600万回再生されていますが、それについてどう思いますか?
信じられないね。現実のことだけど、そのことについてはあまり考えない。考えると、調子に乗って思考がおかしくなっていくから。だから、極力普通の人間として生活しようと心がけてる。

——「Dat $tick」を発表するまでは、ただおもしろ動画をアップしているだけでしたよね。
「Dat $tick」もおもしろ動画のつもりでアップしたんだ。一度きりのつもりでやってみた。でも、あれをきっかけに音楽にハマってね。5歳のときにドラムをやっていて、兄妹とはバンドも組んでたんだ。クリスチャン・ロックのバンドだよ! もしかしたら、その頃の映像はおやじがまだ持ってるかもね。

——あなたはインドネシアを世界にアピールできる立場にいます。それを重圧と感じることはありますか?
プレッシャーは感じないよ。僕がインドネシア人だって知らないひとも多いしね。インドネシアには素晴らしいところもあるけど、直していくべきこともある——最悪なこともたくさん起こってるからね。

——「アジア人ラッパー」とカテゴライズされることについて、あまり積極的に語っていませんが、アジアの若者たちにとって自分と同じ肌の色をしたひとが自らの道を切り拓いていく姿を見ることはとても大切なことだと思います。
僕もアジア人ラッパーであることを自分の重要な一部として認識しているし、若者たちに好例を示すことを素晴らしいと思う。出演していたインドネシア映画が世界的にヒットして、それをきっかけにハリウッド進出した俳優がいるんだ。当時13歳か14歳だった僕は、彼を見て触発された。いまは僕がそういう立場にいるんだよね。僕と同じ肌の色の若者が「あなたに触発された」って言ってくれる——それはすごく感動的なこと。信じられないよ。こんなに素晴らしいことはない。だからこそもっと頑張ろうと思えるんだ。

関連記事 16歳の異色ラッパー、Rich Chigga

Credits


Text Clementine de Pressigny

Photography Cameron McCool
Styling Mar Peidro

Tagged:
Music
Features
Rich Chigga
Brian Imanuel
88rising
cameron mccool