Photography @mitchell_sams 

脆さを強さへ:Craig Green 19AW

おかえり、クレイグ!

by Felix Petty; translated by Ai Nakayama
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15 January 2019, 4:29am

Photography @mitchell_sams 

クレイグ・グリーンはCraig Greenの2019年秋冬コレクションで、彼らしい軽やかさとリズミカルな美しさを前面に押し出した。ショーのあとに彼自身が説明したところによると、コレクションの出発点は〈ガラスの人間〉。核となるアイデアは、強さへと変化する繊細さ、脆さ、想いだ。

これはCraig Greenのデザイン全体に通底するテーマでもある。武骨なワークウェアを解体し、繊細でフォーマルで、複雑なシルエットへと変身させる手腕をもつ彼の創造する服は、まるで花びらを広げた花のように、レイヤーのなかで魅力を発揮する。サッシュが巻かれたコート、バッグから垂れ下がるタッセル、伸縮バンドでできたトップス、薄い生地を重ねた繭のようなポンチョ、透明なビニール素材のレイヤー、ニットウェアのレースやパーツ。彼のデザインの本質は、伝統と手作業だ。彼が言及したのは「防御性」。すなわち「軽量なものやガラクタを、頑丈なものに変換する」ことの可能性だ。

Craig Green Autumn/Winter 19

何もない洞窟のような会場は、テムズ川のほとりにたたずむオールド・ビリングスゲート・マーケットの地下。サウンドトラックは世界中から収集された音の断片で、文化的なユニバーサリズムを提示するかのようなショーだった。クレイグは「いつでも、どこでも、どの国でもあり得る」ものとしてショーを感じてほしいという。「そのひとを取り巻く環境ではなく、そのひと自身の話をしてるんです」。今シーズンのロンドン・メンズファッションウィークは、凝った演出やスペクタクル重視のショーが多く見られたが、クレイグが意図したのは、ファッションそれ自体にフォーカスを当てることだった。

今回のショーの、デザイン的な意味でのハイライトといえば、まず、木こりのワークウェアで使われるようなチェック柄を用いた、ゆったりした長い丈のスモックシリーズ(医者が手術のときに着用するオペ着にも似たかたちだ)。そして身体を覆い(包帯のようにも見える)、身体からオーラが噴射されているかのようなシェイプの、カラフルなビニール素材のアイテム。さらにショーの最後に登場した、正面はグレーの無地だが後ろにネオンのコラージュプリントが施されているコートシリーズ。プリントは後ろだけなので、ランウェイフォトには写らない。「今のファッションは、あまりに正面ばかり見ています」とクレイグ。「ショーに来てくれた観客しか目にすることのできない何かをつくろうと思って」。コラージュは世界各地の様々な文化の断片を集めたものだ。クレイグの母親がトランクセールで買った、女性の肖像画も使われているらしい。

ガラクタを美へと変換する能力、ありふれたものを驚くべきものへと変身させる手腕。それこそがクレイグ・グリーンだ。今シーズンのコレクションでは、それが余すところなく発揮されていた。ロンドンへ帰ってきてくれてありがとう、クレイグ。

Craig Green Autumn/Winter 19
Craig Green Autumn/Winter 19
Craig Green Autumn/Winter 19
Craig Green Autumn/Winter 19

Credits


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This article originally appeared on i-D UK.

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