ロンドンのメイクアップアーティスト、Ana Takahashiが、90’s Beautyを表現
エモーショナルでユーモラスなメイクアップの世界。リナ・サワヤマのアートなどを手掛ける、Ana Takahashiが”90s Beauty”をテーマに表現したキャラクター
Ana Takahashiのメイクアップはポップで遠慮がない。東洋のテイストに西洋らしい大胆さが絶妙なバランスでミックスされたAnaのメイクアップは、今ロンドンのファッションシーンで注目を集めている。「何か、あるいは誰かに変身する力をメイクは与えてくれる。それから自信と遊び心も」と語るAnaは、ユースならではの型破りなセンスでクリエイティブの可能性をアップデートする。


Anaはブラジルからイギリスに移住した日本人とスペイン系の両親の間に生まれた。様々なカルチャーが混じり合う家庭環境が大好きだったと話す。Anaが19歳で本格的にメイクアップアーティストとしての経歴をスタートさせてから、3年が経つ。ロンドンの大学で映画と劇場のメイクアップコースを専攻していたが、2年生の時にドロップアウトした。そしてロンドンのファッション名門校セントラル・セント・マーチンズに通う学生たちと共に制作活動を始めた。それからメイクアップアーティストとしてキャリアをスタートした。
「日々リサーチしたり友達とディスカッションをし、自分のクリエイティビティを奮い立たせてる。いいアイデアが浮かぶのは月に3、4回くらい。だけどすぐに忘れられてしまうどうでもいい撮影を何百回もするより、少なくて良いのでしっかりと取り組みたい」
彼女の作品にはたゆまない努力が隠れている。テレビや映画、Tumblrを通して何年もかけて研究した結果、さまざまなインスピレーションが組み合わさり、Anaのシアトリカルで独特の世界感が表現されている。


ファッションを単に切り取るために静止画を作ることを不毛だと感じる彼女は、そこに感情を取り入れキャラクターを生み出す。そうすることで作品に真実性が生まれると話す。「ファッション業界でメイクアップアーティストとして働くことが目標だったわけじゃない。だから個人的なプロジェクトをできるだけ多くこなすようにしてる。最近では、フォトグラファーのジョシュ・ウィルクスとよく仕事をしていて、いい撮影ができていると思う。この制作活動が私をどこに連れていってくれるかは分からないけど、今は自分の興味を持てるキャラクターやアイデアにフォーカスして、クールなイメージを作りたい」。


彼女は常に自分の仕事に意味を見出したいと思っているが、物事を深刻に捉えすぎるのもよくないと考えている。だからこそ、ユーモアと遊び心を全面に表現するメイクアップを彼女は愛している。オフの日は愛猫ニコと遊んだり、街を散歩したり、友達とパブに行くのが大好きだと話すAnaには、まだ20代になりたての生き生きとした姿を見ることができるたくさんのアーティストが日々葛藤し高め合うロンドンで、メイクアップアーティストとして今後どのようなクリエイティブを生み出していくのか、ワクワクが止まらない。

CREDITS
Photography: Josh Wilks
Make-up: Ana Takahashi
Hair: Ryo Narushima
Styling: Elle Fell
Photography Assistance: Simon Wellington
Make-up Assistance: Maryam Sofia
Hair Assistance: Shihori Ito
Styling Assistance: Eliza Goldsmith. Michael Guez. Alice Sanders.
Models: Alyson Dubey at STORM. Drew Gregory at MODELS1.