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ジェンダー流動性と恋しい気持ちを描いたドリーミーなビデオクリップ

テルアビブのエレクトロポップ3人組Garden City Movementがリリースした「She's So Untouchable」のビデオクリップが素晴らしい。

by Clementine de Pressigny
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05 October 2016, 7:09am

アーティストであり、音楽レーベルMe and Youの共同創始者であるマイヤン・トレダーノ(Mayan Toledano)は、イスラエルのテルアビブを拠点として活動するバンドGarden City Movementの新曲のために、白昼夢のような美しい情景を描いたビデオを制作した。シングル「She's So Untouchable」のソフトで魅惑的なエレクトロポップのリズムと、トレダーノが描くティーンの友情や愛、そして孤独から逃れることへの渇望の世界観は、そのパステルカラーの映像で見事なマッチングを見せている。キャストにインスパイアされた制作背景、とにかく新しい分野に飛び込んでみることしか生まれない作品の美しさ、そして、ジェンダーの定義を含め社会が個人に強いる期待を無視し、自分自身のアイデンティティを形成していくことで"アンタッチャブル"な存在感が確立されるということについて、アーティストが語ってくれた。

以前にもGarden City Movementとはコラボレーションしていますが、このバンドとの出会いについて教えてください。
メンバーのヨニ(Yoni)とは、彼がバンドを結成する前からとても親しい友達なんです。友達とともにクリエイティブに成長できるというのは嬉しいことで、コラボレーションができるくらいお互いが成長できているのはさらに嬉しいですね。「Move On」のビデオを作らせてもらって以来、「また一緒に」と言い続けてきたんです。彼らの音楽へのアプローチは素晴らしいと思うし、ミュージックビデオがときに持つ限界のようなものを気にせず映像化させてもらえるオープンさ、ビデオではなくショートフィルムのようなアプローチで映像を作らせてもらえるのは本当に素晴らしいことです。

今回のビデオのためのアイデアに関して、バンドとはどれくらい話し合いをしたのでしょうか?彼らはどの程度そこに関わっていましたか?
このビデオのストーリーを書いている時点で、誰をキャスティングするか、登場人物たちのためにどんな世界を描くかは、すでに明確に思い描いていました。だから、バンドのメンバーに提案したアイデアはとても具体的なものでした。バンドも、映像制作チームも、私が思い描く世界を映像化するのに必要な空間をつくることにとても協力的でした。歌詞の世界についてバンドのメンバーと話し合い、どんな工程を経てこの曲が書かれたのかを聞いて、そこから脚本を書き始めました。彼らが私とのコラボレーションで与えてくれたのは、主に私に対する信頼だったと思いますね。だから自由に取り組むことができました。私が視覚的に描く世界観と彼らの音楽が境界を超えて出会った、真のコラボレーションだったと思います。

ビデオのコンセプトを教えてください。
アイデア出しの段階では、近寄りがたい"アンタッチャブル"な人物像を想定していたんです。そこで、ジェンダーの曖昧さをもってその言葉の意味を新たに解釈できるんじゃないかと考えました。ひとが「アンタッチャブル」と思われるということは、そこに「ひとから期待される自分像」と「そんな期待に応えるだけの従順さを持ち合わせていない自分」という自分像がせめぎ合うからなのだと考えました。私たちは、生まれた瞬間からジェンダーで分類されます。でも、それは私たちが選べるものでもなければ、必ずしも個人それぞれにとって適合したものともかぎらない。社会の中で演じるよう幼い頃から刷り込まれたジェンダーという概念に対して、「性の流動性(ジェンダー・フルイディティ)」とはある種の抗議行動だと考えた私は、このビデオのなかでそういった抑圧のない世界を描きたいと思ったんです。既成概念に沿わない世界を、敢えて均一性を通して描こうと思いました。登場人物は、見た目も服装も、立ち居振る舞いも似ている。固い友情で結ばれていて、そういった類似点でつながっているんです。私たちが行っている"性的魅力"を介してのコミュニケーションもまた、社会的構造の上に成り立っているものですが、このビデオではグループを登場させることによってその考えをひっくり返したいと考えました。

あなたの作品には、リアルなスウィートさとソフトさがありますが、それを伝えるのはあなたにとって重要な要素なのでしょうか?
ソフトさというのは、感情や親密な関係に向き合うことで自然と生まれてくるものなのだと思います。自分と同じように感じ、考え、同じような体験を通して同じような感覚をおぼえるひとに出会えば私たちは誰もやはり安心できるもので、私は一緒にものづくりをする人たちとはそうした類いの親密さをもって作品に取り組みたいといつも思っています。

写真から映像への移行についてはどう考えているのでしょうか?今後はもっと監督業をやっていくのでしょうか?
そうですね!写真から映像への移行はとても自然なことですよ。同じ世界を作品中に描いていくわけですからね。でも映像のほうがより大規模に、より正確にそれを表現できるような気がします。もちろん映像は作業量も多いし、才能溢れるクルーの存在なしには作り上げることができませんが、これまでもひとりでの作業よりコラボレーションでの作品制作のほうが自然に感じてきましたからね。

映像制作を学んだ経験はあるのですか?それとも独学なのでしょうか?
映像も写真も独学ですよ。いつも失敗から学んでいます。でも、こういったプロジェクトにまず飛び込んでみることで、嘘偽りのない不完全さの美とでもいうような、とても素敵なものにたどりつけるのだと思います。それから、そうすることで被写体とのあいだに妙な壁ができないのも良い点ですね。撮影現場で無防備になるのはとても大切なことなんですよ。
起こることにことごとく反応できる感受性を大切にしたいのです。

今回のビデオに起用したキャストについて教えてください。
マヤ、アミテイ、ベン、そしてダリアは、前回私がテルアビブに帰ったときに出会ったお友達グループで、撮影の1年ほど前に出会いました。いつかきっとこの人たちを何かのプロジェクトで使うことになるだろうなと思いましたね。彼らの存在があったからこそ私は今回の脚本を書き始めたわけで、今回のビデオに出てほしいと依頼する何ヶ月も前からずっと彼らのことが頭にありました。何の気負いもなくそれぞれ自分の身体に自信を持っている若い人たちを見るのは、なんともクールで元気をもらえますね。ジェンダー・アイデンティティは、ひとによってはシンプルで明白なものでしかないかもしれない。だけど、他のひとによってはとても複雑なものにもなりうる。彼らは17歳にして、自分たちのアイデンティティに関してとても自由でカジュアルなんですが、なかなか彼らのように達観している17歳はいません。

誰のビデオを作ってみたいですか?
100%女王リアーナですね。

Credits


Text Clementine de Pressigny
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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Garden City Movement
Mayan Toledano