サイクルの再構築:JW Anderson 2018SSコレクション

「わたしたちは人間らしい落ち着きを取り戻さなければならない」

by Steve Salter; photos by Mitchell Sams; translated by Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.
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21 September 2017, 4:21am

This article was originally published by i-D UK.

「僕たちはすぐに感情的になる。メディアがそうさせている。だから僕たちは立ち止まり一歩下がって物事をみなければならない」。
ジョナサン・アンダーソンは、iPhoneでメモをとったり、ボイスレコーダーをかざすメディア関係者へ説明した。「もっともっと」というファッション産業からの煽りや、秒刻みで更新されるリアルタイムの情報がもたらす不安を考えると、一理あることだと納得する。Loeweと自身のレーベルJW Andersonで年間に計10コレクションをデザインしているアンダーソンは、、この意見を述べるにふさわしい立場にいる。今季、彼は、加速を続けるコレクション製造機を、一歩下がって見つめ、ファッション業界の循環構造に注目した。「サイクルという概念に惹きつけられていったんだ。世界は回り、またすべてが帰ってくるということに」と説明した。

観察的にみるという姿勢は、ショーセットにも表れていた。これまでは直進的なランウェイがお決まりだったJW Andersonだが、今回は、緻密に計算された円形の観客席が、アットホームな雰囲気を作り出していた。「椅子とヤシ繊維のマットという日常的なアイテムとともに、アートを見せたかった」という。観客の視線を邪魔するようなものはひとつとしてない、オープンな空間——今季、心地よさと「家庭を連想させる生地」を讃えようと考えたアンダーソンにとって、完璧な演出だったに違いない。アイルランドのティータオル(布巾)で作ったスカートから、ウォッシュをかけたコットンのスウェットシャツ、混紡ニット、そしてリネンで作られたエスパドリーユ・サンダルまで、今季J W Andersonのコレクションは、落ち着いた心地よい状態へとわたしたちをいざなった。これまでの彼は絶賛と酷評が真っ二つに分かれるようなコレクションで観客をあっと言わせてきた。そんな彼の過去のコレクションから考えると、今季は、安全な聖域と呼ぶにふさわしい世界観を放っていた。観客はモデルたちが円形のマットを横切って歩くのを見ながらリラックスして、J W Andersonの職人技巧を堪能することができた。この変化を「自身に必要」と考えたのか、それとも「一般社会の人々に必要」と考えたのかは、もはや問題ではないのかもしれない——ショーを見終えたわたしたちは、誰もが少し自由な心持ちになって会場を後にした。

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