TAWINGS インタビュー:ガールズバンドの新しい夜明け

2016年夏に結成した女性4人組バンド、TAWINGS(トーイングス)。ローファイなポストパンクサウンドで注目を集める彼女たちの音楽性と精神性に迫る。

by shoichi miyake; photos by KO-TA SHOUJI
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27 April 2018, 5:32am

近年、少なくとも10年代においては、日本のインディシーンでここまで絶妙にジャンクかつ独創的なニュアンスを併せ持ったポストパンクサウンドを鳴らすバンドは非常に稀有だ。ギター&ボーカルのCony Plankton、ベースのeliy、ギター&パーカッションのKanae、ドラムのYurikaから成る4人組バンド、TAWINGS。ローファイなその音のみならず、ミュージックビデオを含むビジュアルワークはどこか危うく退廃的なムードがにじんでいる。しかし、それよりも強く感じさせるのは、時代やシーンのムードに迎合することのない凛とした態度だ。「日本のガールズバンドというと、むしろビジュアル先行で見られているところがあると思うんですけど、私たちは何より音楽で評価されることが大事だと思っています」とConyは言う。現時点で聴ける音源は、2017年にリリースした7インチ『Listerine/Dad Cry』と2018年1月にリリースしたカセット『Invisible/UTM』の4曲のみ。技巧的には決して優れているとは言えないが、常にどこかヨレていながらもどうしようもなく聴く者を惑わせる色気を彼女たちのアンサンブルは発している。危うさを覚えながら陶酔できるこの感じには、アートロックバンドの求心力がある。

ピアニストの父親を持ち、自らも幼いころからピアノを学び音大に進学しようと考えていたConyが、それを諦め反動としてオリジナルのロックバンドを結成したいと思ったことから、TAWINGSは始まった。「高校生のときに軽音楽部に入って、レッド・ツェッペリンのコピーをしたりしていたんですけど、3年くらい前にオリジナルのバンドを組みたいと思うようになりました。でも、ある知人に『今からじゃ遅いんじゃない?』って言われてカチンときて(笑)。そんなときによく通っていた東高円寺の〈U.F.O.CLUB〉というライブハウスにボーカリストとして出演していたKanaeちゃんと出会ったんです」とConyは当時を振り返る。それから「Conyとはバイト先が一緒で、音楽の趣味が合う彼女がバンドを始めたと言うので『私もやりたい!』って入れてもらいました」というeliyが加入し、「とある方の結婚式の三次会でConyと会ってその場で『次のライブでドラムを叩いてください!』と誘われたんです(笑)」というYurikaが続いた。

こうしてConyが3人を見つけ出し、2016年夏の結成=現体制になって以来、日々は目まぐるしい。いまや東京のライブハウスを中心に活動を展開し、最新のインディミュージックやファッションに対して感度の高いリスナーから注目を集めている。3月にはSXSWに出演するためにアメリカへ渡り、LAでもライブを行った。そのアテンドをしてくれたのは、サポートアクトをきっかけに交流が生まれたJerry Paperのバックメンバーだという。もともとTAWINGSの音楽は海外アーティストとも親和性が高い。これまでPeach Kelli Pop、Jerry Pa-per、Japanese Breakfastらの来日公演でサポートアクトを務めてきた彼女たち。「海外のバンドと一緒にやるときのほうがいい反応をしてくれるお客さんが多いですね。ただ、ずっと海外の音楽ばかり聴いてきたわけだし、そうじゃなかったら逆に落ち込むというか(笑)」とConyは少し照れながらそう話す。「家には父が所有している昔の海外ロックやプログレのレコードがたくさんあって、私も小さいころからそれを聴いていたんですね。ピアノでクラシックを学んでいたけど、どこかでずっとロックバンドに憧れていました」

FROM LEFT: KANAE WEARS JACKET ONITSUKA TIGER. SKIRT FAITH. TOP MODEL’S OWN.ELIY WEARS JUMPER UNIF. BELT HYSTERIC GLAMOUR. JEANS AND EARRINGS MODEL’S OWN.CONY WEARS TOP HYSTERIC GLAMOUR. GLASSES MYKITA.TROUSERS MODEL’S OWN.YURIKA WEARS JACKET STÜSSY WOMEN.T-SHIRT HYSTERIC GLAMOUR.

海外の音楽に浸り、聴いてきた音楽がみんな同じという彼女たちだが、ある日本人アーティストにも影響を受けたという。10年代前半にインディロック/ポップサウンドを鳴らし海外レーベルから作品をリリースしていた日本人女性2人組のユニット、Puffyshoes。ふたりが持っているDIY精神に惹かれた。しかしPuffyshoesのように海外に向けて発信するのではなく、国内で女性ミュージシャンが音楽性だけで評価される時代とは言い難い。日本のガールズバンドはビジュアルが先行されがちだが、TAWINGSは何よりも音楽性を大切にしたいと思っている。「女の子が覚える年齢的な賞味期限の不安から解放されたいと思ってるんです。たとえばLAのWarpaintは4人の女性メンバーがみんなきれいだけど、決して若いわけではないですよね。あくまで音楽で評価されていることがよくわかる。彼女たちのそういうバンドのあり方には憧れますね」とConyは話す。作詞作曲を担当している彼女は「デモをバンドに持っていったときに想像もしなかったヨレ方をしたりするのが面白いところでもあるんですけど、曲作りに対しては正直すごく頑固だと思います」と言う。メンバーは彼女の耳のよさやセンスに絶対の信頼を寄せている。現在制作中の新曲のひとつは「ポップで希望があふれる感じ」と言うから楽しみだ。今後は、ポストパンクやローファイという記号性にとらわれない音楽性を追求しようとしている。

始まったばかりのTAWINGSのバンドストーリー。彼女たちの音と信念が秘めている可能性はあまりに大きい。これからのTAWINGSについてConyはこう語る。
「若い子たちに自分のやりたいことを見つけたら、躊躇せずにやればいいということを伝えられたらと思うんです。もし、私たちがその架け橋になれるなら、TAWINGSがいいバンドになった証拠なのかなと思います」

Credit


Photography Ko-ta Shouji.
Styling Chie Ninomiya.
Text Shoichi Miyake
Photography assistance Kohei Iizuka.
Styling assistance Chihiro Imahori.
Location SO TIRED.

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