MASAKI WEARS T-SHIRT THE DAWN B.

菅田将暉、好きなことにモチベーションはいらない

この秋、『何者』『デスノート Light up the NEW world』『溺れるナイフ』が公開され、連続ドラマもスタート。今、もっともラブコールが集まる人気俳優はなぜ魅力を放ち続けることができるのか?

by Takako Sunaga
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07 December 2016, 5:10am

MASAKI WEARS T-SHIRT THE DAWN B.

2016年、菅田将暉は多忙のピークにいる。今年公開される映画は9本、ドラマは4本がオンエア、ネットムービーが1本、そしてCMは6本。これはもはや異常事態。ほとんど余白のないスケジュール帳に、奇跡的に生じた空白を使って、雨雲と駆け引きしながら、シューティングとインタビューを敢行した。

「服も、写真に撮られることも、喋ることも好きなので、取材は自分の好きなものが集まっているような場所ですね。特にバラエティ番組は、自分の好きなことや興味のあることを企画にしてもらえるし、会いたい人にも会えるので、ありがたく楽しみながらやらせてもらっています。だから、デビュー当時よりも自分が本能的に好きだったものをなぜ好きなのか、意識的に認識するようになりました」。そして、好きなことがあるおかげで仕事をより楽しむことができるという。

「『週刊少年ジャンプ』が好きで10年くらい買い続けていたら、ある日、自分がそこで連載されている『銀魂』という漫画のキャラクターを演じることになって、自分が『ジャンプ』に載るというまさかの出来事が起きるんです。それはやっぱり普段の仕事で得られる楽しさや嬉しさとは別ですよね。なんだったらいちばん嬉しい出来事かもしれない(笑)」。漫画や音楽・お笑いは、例えば地方に泊りがけで撮影中、台本ばかり読んでいてごちゃごちゃになった頭に処方するとリラックスでき、常備薬としても機能する。

一方、ファッションは菅田にとって自分を表現する大切なツールだという。実にストイックな職業俳優でありながら、アーティストやミュージシャンに通じる自由でユニークな自己表現力を兼ね備えていることが、彼が今、多くの人に支持される理由だろう。「そう言っていただけるのは嬉しいです。ミュージシャンの人は確かに、自分が着たいものを着て、やりたいことをやっている感じですよね。その点、僕の立場だと、ブランドとのタイアップの撮影などで自分の好みではない服を着ることもあります。でも、そういう仕事のときほど、地元の友だちから久々に『見たよ』って連絡が来るから大切なんです。マジョリティに届く仕事をちゃんとすればするほど、なかなか人に見てもらえないエッジィな仕事を見てくれる人が増えるわけです。ドラマと映画の関係性もそうですよね」。誰もが無料で観られるテレビドラマをきっかけに自分に興味を持ってもらうことで、大量の宣伝を打つことができない小さな映画を、ひとりでも多くの人に見てもらいたい。エンターテインメントの作り手と受け手の関係を、菅田は大きな視野で捉えている。

COAT CHARLES JEFFREY. T-SHIRT THE DAWN B. PANTS FACETASM. BELT HOMME BOY.

ライダー俳優としてキャリアをスタートさせた彼が頭角を現したのは、青山真治監督の『共喰い』(2013)と、呉美保監督の『そこのみにて光輝く』(2014)という、2本のインディーズ系の映画だった。社会の底辺や片隅にいる貧しい青年役を、まったく違うアプローチで、それぞれにリアリティをもって演じきった実力に、誰もが襟を正すようになった。その後、ドラマでポピュラリティを獲得しながら、攻めた映画に出演し続ける。現代が生んだある種のクズを演じきった真利子哲也監督の『ディストラクション・ベイビーズ』や、〈神の子〉として畏怖の対象となる高校生を演じた山戸結希監督の『溺れるナイフ』など、新進気鋭の作家たちと組みながら、驚くべき難役を次々とクリアしていく。そんな菅田には、通常のオファーはもちろん、一度出演した監督からの再オファーも多いという。

新しい監督のもとに飛び込みたい気持ちと、再指名してくれた監督と違う挑戦をしたい気持ちが、スケジュール帳の上でせめぎ合う。「デビュー当時、同じ監督から何回も声をかけてもらうことを目標にしていたので、すごく嬉しいです。福田雄一さんなんて究極のリピーター。撮影現場で"これやりたいあれやりたい"が止まらないんです。それがつまらなそうだったらもちろん僕らは動きませんけど、全部面白そうなので、"次もぜひ!"となっちゃいますよね」

応援、期待、愛情など、自分に向けられるさまざまな想いと、自分のやりたいことの折り合いは「完全に"ありがとうございます"という気持ちでやるもの、自分がどう見られるかという枠を設けてそのなかで好きなことをやるもの、完全に自分が好きなことをやるものなど、いろいろあります」と言うように、仕事によって分けて考える。「なかには、自分に興味を持ってくれた人に"こういう世界を知ってほしい"と教育に近い気持ちでやる仕事もあります」。例えば、この秋に撮影した『あゝ、荒野』をとってみても、この作品を入口に、彼のファンが〈原作者の寺山修司〉や、W主演した〈『息もできない』の監督としても知られる韓国人俳優ヤン・イクチュン〉の名を知る意義はとても大きい。「僕が、応援してくれる人の気持ちを受け取る分、応援してくれる人にも僕の気持ちを知ってもらう必要があると思うんです。じゃないと対等じゃないというか……」と言う彼は、インタビューでどんな質問をされても、無意識にかもしれないがそれを読む人のために、精一杯考えて言葉を尽くす。この忙しさで、この誠実さをキープするのは並大抵のことじゃない。貪欲に走り続けるモチベーションは何なのか? その問いに対して「そもそも、ものづくりが好きなので、モチベーションがいらないんです。もちろん"やりたい"と思う気持ちは仕事によって違いますけど、そこでいちいちモチベーションを意識していたら突っ走れない。デビューから7年くらい突っ走っているので、これが日常なんです」。去る9月6日、菅田はデビュー7周年を迎え、8年目に突入した。『仮面ライダーW』の第1話がオンエアされたその記念日を、菅田はファンからのツイートで知ったという。「親父も連絡をくれました。自分のデビューした日を他の方がお祝いしてくれるなんて、本当にありがたいことだなって改めて感じました」。来年はいよいよ大河ドラマ『おんな城主 直虎』がスタートし、さらに広い世代が彼に魅了されるはず。菅田将暉のスケジュール争奪戦は2017年も熾烈を極めそうだ。

JACKET LANDLORD NEW YORK. SHIRT 7x7. PANTS D.TT.K. BOOTS CROCKETT & JONES.

Credits


PHOTOGRAPHY MITSUO OKAMOTO 
STYLING KEITA IZUKA 
TEXT TAKAKO SUNAGA
Hair Hori at Be Natural
Photography assistance Mitsutaka Omoteguchi
Styling assistance Natsuki Okamoto

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