ストレートアップス:韓国でクィアとして生きるということ

韓国のLGBTQコミュニティに、保守的な社会で生きることの困難や、多様性のある社会を実現するための取り組みについて話を聞いた。

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nov 28 2017, 6:43am

A version of this article was originally published by i-D Mexico.

モア

何をしているひと?
ドラァグクイーンです。

ソウルのLGBTシーンはどう変化していますか?
とても活発になってきていると思う。毎年夏にソウルで開かれる韓国クィア・カルチャー・フェスティバルは年々盛んになってきています。テグ(大邱)で開催されるクィア・パレードも大きくなってきていますね。海外からドラァグクイーンのキム・チ(KimChi)(*インスタリンク)たちがパフォーマンスに来てくれるようになりました。

韓国でLGBTQとして生きる上で一番大変なことは?
ドラァグについて理解していなくて、「男が女装している」ぐらいに思っていること。

韓国のLGBTQコミュニティを支援するために、LGBTQ以外の人たちができることは?
ドラァグクイーンのショーやプライド・パレード、LGBTQコミュニティに関連するイベントに参加することが支援につながります。

次の文を完成させてください。「ソウルは最高。なぜなら……」
キムチが美味しいから。キムチは韓国人にとってなくてはならないもの。特別な存在です。振付師のピナ・バウシュも「RoughCut」という作品でキムチをテーマに振りを考えたくらいですし。

プンタ(21歳)リュウ(21歳)

何をしているひと?
プンタ:デザインやイラストの絵を描いているけどメインはタトゥーの彫り師。FelisInk.っていうフェミニストやクィアのタトゥー・アーティストのグループを作りました。
リュウ:自分も絵を描いていて、今はタトゥーの勉強をしています。

ソウルのLGBTシーンはどう変化していますか?
プンタ:最近かなり活発に、よりオープンになってきたと思う。でも、メディアでの扱われ方を見ているかぎりLGBTQIAの人権に関してはまだまだ。
リュウ:たしかに活発化はしているけれど限られた地域だけ。ソウルはLGBTQ文化がやっと開花し始めたと感じる。イテウォン(梨泰院)やホンデ(弘大)だとクィアのひとたちが自由に生きている。自分もありのままでいられると感じます。

韓国でLGBTQとして生きる上で一番大変なことは?
プンタ:クィアのコミュニティを嫌う人が多いこと。偏見をもったひとが多い。ソウルでは今年反クィアのデモすらあったんです。リュウ:キリスト教信者の友達にカミングアウトできないこと。LGBTQIAに関する間違った情報が流布していて、メディアもわたしたちがどんな人なのかを伝えようとしない。正しい情報が行き渡っていないから多くのひとはわたしたちをセックス中毒者ぐらいにしか思ってない。悪いサイクルができあがってしまってるんです。

韓国のLGBTQコミュニティを支援するためにLGBTQ以外の人たちができることとは?
プンタ:最近の調査によると、韓国のほとんどの人が「LGBTQIAの知り合いは一人もいない」と答えているそうです。そんな社会だととてもカミングアウトしづらい。だからこそわたしたちが声を上げ続けるべきだと思っています。道は険しいし、大変なこともたくさんあるだろうけれど、きっと乗り越えられると思っています。
リュウ:ひとをひとだと受け入れてほしい。わたしたちにとってこの街で生きることがサバイバルだということをわかってほしい。


イ・ドジン(30歳)

何をしているひと?
グラフィックデザイナー。あとゲイ雑誌『DUIRO』の出版、LGBTコミュニティスペースFrecklesを運営しています。

ソウルのLGBTシーンはどう変化していますか?
今は目に見えて変化を感じることはないけど同世代が多くの発展を実現させていくと思います。わたしよりも若い世代はYouTubeやPodcastなどを使って力むことなく世の中にLGBTQの存在をアピールしています。彼らの行動が韓国におけるLGBTQIAのネガティブなイメージを変えてくれているんです。今まで韓国人はクィアという未知の存在を恐れていました。

韓国でLGBTQとして生きる上で一番大変なことは?
両親との関係ですね。東アジアだとグループに属さないで生きるのがとても難しい。カミングアウトは家族の仲壊しうるものです。。韓国では国の経済状況のせいで20代、ひどい場合だと30代でもなかなか独り立ちすることができないのです。そんな状況ではカミングアウトできません。両親と一緒に暮らしているわけですから。一緒に暮らしているひとにとって性的アイデンティティは大きな問題になりうるものです。

あなたの活動はどのように韓国のLGBTQコミュニティを支援しているのですか?
雑誌を作っているのは社会にLGBTクリエイターの存在を知ってもらいたいからです。質の良いコンテンツはひとの視野を広げることができる。コミュニティスペースFrecklesはワークショップや展覧会、ミーティングなどに使われています。


シーシー(30歳)

何をしているひと?
DJと大工。

ソウルのLGBTシーンは活発になってきていると思いますか?
そうだね。ひとびとのLGBTQに対する認識は格段に良くなっている。ソウルの文化をひっぱっているのはLGBTQなんじゃないかな。

韓国でLGBTQとして生きる上で一番大変なことは?
韓国のカトリック教会がLGBTQのひとたちに生きにくい環境を作ってる。

韓国のLGBTQのひとたちを支援するためにLGBTQ以外の人ができることは?
まずは多様性を理解してほしい。小学校で教えるべきだと思う。

次の文を完成させてください。「ソウルは最高。なぜなら……」
食べ物が美味しいから。

リンゼイ・ゲアリー・リクリーフ(28歳)

何をしているひと?
DJ。プロモーター。写真家。

ソウルのLGBTシーンはどう変化していますか?
5年ぐらい韓国で暮らしているけど、年々少しずつだけど変化が見られる。プライド・パレードは毎年規模が大きくなっているし、多くのひとたちが支援するようになってきていて、LGBTQのパーティやクラブがどんどん生まれている。力強いドラァグ文化も根付き始めている。若い世代はLGBTQコミュニティに対してとてもオープンで、社会的な感性も豊かだと思う。

韓国でLGBTQとして生きる上で一番大変なことは?
韓国社会はとても保守的で、古い世代はLGBTQIAコミュニティに対して閉鎖的なまま。韓国人クィアもゲイエリアにいたとしても街中で手を繋いだりキスしたりはしない。同性婚もまだ法的に認められていません。多くの韓国人は勘当を恐れて、未だセクシュアリティを家族に明かすことができずにいるんです。

あなたの活動はどのように韓国のLGBTQコミュニティを支援しているのですか?
プロモーターとして、LGBTQのひとたちが誰も白い目で見られることなく自由に自分たちを表現できる、安全なスペースを作ろうと尽力している。僕たちがオーガナイズしているパーティは新しいアンダーグラウンドの音楽シーンを生み出し、カルチャー全体にも変化をもたらしている。またヘテロセクシュアルの人と一緒になって音楽を楽しめる場所も作りたいと思ってます。

韓国のLGBTQのひとたちがより豊かになるために、LGBTQ以外の人たちができることは?
敬意を忘れず、ステレオタイプでLGBTQのひとたちを見ないこと。そしてコミュニティを支援する。LGBTQコミュニティのために立ち上がることです。

パク・チョルヒ(29歳)

何をしているひと?
グラフィックデザイナー、LGBTQ関連の本屋の経営者。

ソウルのLGBTシーンはどう変化していますか?
本屋をオープンしたときは、LGBT関連の本を仕入れるのは楽でした。新刊が出れば、それを仕入れればよかった。だけど最近はどんどんLGBT関連の本が出版されていて、その速さについていくだけでも大変です。わたしが怠け者っていうこともあるかもしれないけど。

韓国でLGBTQとして生きる上で一番大変なことは?
韓国は歴史的に見てもジェンダーに関して保守的な社会です。そんな考えがまるでDNAのように受け継がれているので自分らしく生きようとしているひとたちにとっては生きづらい環境ではあります。世の中の考えを変えるのは大変ですからね。いつかは変わると思うけど、セクシュアリティに関して何も心配しないで生きられる時代が来るのは、わたしが死んだ後になると思います。

本屋を開こうと思ったきっかけは?
ほとんどのLGBTQ関連本屋は夜にしか営業していませんでした。そこで日中も開いていてLGBTカルチャーを世の中に提供できる本屋があればいいと思ったのがSunnyBookshopを開いた理由の大きなひとつです。「日中」が大事だったので店名はSunnyBookshopにしたんですよ。ひとによってはLGBTQ関連本を買うことも、それを家の本棚に置くこともとても勇気のいる行動です。SunnyBookshopでは有名な漫画家などを招いてワークショップやイベントも開催しています。ペニスの絵のコンテストなんかも開いたり。

次の文を完成させてください。「ソウルは最高。なぜなら……」
変化が見れるから。

Credits


Photography Kanghyuk Lee
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.