ミランダ・ジュライはなぜ、高級デパートの中に多宗教チャリティ・ショップを開いたのか?

芸術団体アートエンジェルのサポートを得て、ミランダ・ジュライが2ヶ月間、セルフリッジでチャリティ・ショップを開いている。ジュライに、店のコンセプトについて聞いた。

by Charlotte Gush
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14 September 2017, 6:46am

Miranda July inside the Interfaith Charity Shop on the third floor of Selfridges, London  31 August 2017

This article was originally published by i-D UK.

先日、高級服販売史において最大のバーゲンが行なわれた。ロンドンのデパート、セルフリッジで、Valentinoのジャケットたったの32ポンドで売られていたのだ。値札の間違いではない。出所のわからない商品を叩き売りしていたわけでもない。販売していたのは、小説の執筆から映画監督までマルチに活躍しているアーティスト、ミランダ・ジュライによるチャリティ・ショップだ。ジュライは、ロンドンにある宗教ベースのチャリティ・ショップ4店(ユダヤ教徒によるNorwood Jewish Charity Shop、仏教徒によるLondon Buddhist Center Charity Shop、キリスト教徒によるSpitalfileds Crypt Trust、そしてイスラム教徒によるIslamic Relief Charity Shop)をセルフリッジに集結させた。このポップアップで働いているのも各ショップのスタッフで、商品は各ショップから集められたものだ。

「消費者が参加して初めて成り立つ "店舗"をアートとして作りたいと、ずっと考えてきました」と、ジュライはリリースのなかで説明している。「20代でロンドンに初めて来たとき、チャリティ・ショップの多さに驚きましたが、今回アートエンジェル(Art Angel)とこの店を作ってみて、はじめてチャリティ・ショップがいかに独自の経済モデルを持っているのかを理解することができました。宗教をベースにしたチャリティ・ショップとの関係性、そしてセルフリッジという場所が、この空間に独自の意味合いをもたらしています」

Miranda July, fourth from left with, from left, shop workers Yasmin Wall, Diana Ngonyama, Latifa Rahman, Natasha Hodes, and Abhayanandi in Miranda July's Interfaith Charity Shop, 31 August 2017

今朝、i-Dはジュライと話す機会を得た。「高級服の市場(マーケット)に参加するには、それに対する不信を取り除いて、一度信じてみないといけない」と、彼女は話す。「以前、ラグジュアリー・ブランドと一緒にプロジェクトを取り組んだこともある。だからブランドに対する非難ではありません。でも、この市場にはまだまだ遊べる余地があると思う。それに、ブランド自体にもその余地はある——私たちのショップの隣にはVetementsがあるわけだし。そこに明確な仕切りはなくて、お互いに浸透し合って、相互作用が生まれる。最大の違いは、私たちのショップではすべて破格で、どの商品もそれぞれの品位を保っているってこと」

彼女が話すとおり、商品はだいたい数百円だ。ジュライが監督・脚本を手がけた映画『君とボクの虹色の世界』の登場人物が着ていそうな鮮やかなパターンのニットが1000円で売られている。ほかにも、ピンクのレパード柄スカーフや、ブルーの子ども用お姫様ドレスも800円など、どれも安い。またチャリティ・ショップといえば掘り出し物だが、このショップにも高級品が埋もれている。脛にバックルが配されたChristian Diorのジーンズが1400円、Valentinoのジャケットが4600円(現在は売却済)、そして、Holland and Hollandスーツがもっとも高額な8000円となっている。

Miranda July, front, with shop workers from left Yasmin Wall, Natasha Hodes, Abhayanandi, Diana Ngonyama and Latifa Rahman inside the Interfaith Charity Shop on the third floor of Selfridges, London 31 August 2017

「異教徒が交わるということでもあるけれど、この企画の核にあったのは、キリスト教、ユダヤ教、仏教の3つが、イスラム教と連帯するということでした」と、ジュライは付け加える。「異教徒間の交流にも惹かれるけど、困難のときに宗教同士が支え合うということに興味があるんです。今は、まさにそんな困難の時なので」

アートエンジェルのディレクター、マイケル・モリス(Michael Morris)とジェイムズ・リングウッド(James Lingwood)はリリースのなかで、「アートエンジェルは、アーティストたちとの共同制作によって未開の領域を切り開いてきました。今回、ミランダ・ジュライとのコラボにより、セルフリッジに多宗教のチャリティ・ショップを開けたことを大変嬉しく思います。ショップのなかのショップは、ロンドンがそうであるように、世界に向けてオープンな存在なのです」

ミランダ・ジュライとアートエンジェルによる多宗教チャリティ・ショップは、10月22日まで、セルフリッジ3階で開催中。

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Credits


Artangel & Miranda July present Norwood Jewish Charity Shop, London Buddhist Centre Charity Shop & Spitalfields Crypt Trust Charity Shop in solidarity with Islamic Relief Charity Shop at Selfridges (2017). An Artangel commission. Photograph: Stuart C. Wilson/Stuart Wilson/Getty Images
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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