「感情の波に寄り添う音楽を」PAELLAS

9月6日にニュー・ミニ・アルバム『D.R.E.A.M.』をリリースするPAELLAS。不確かな関係性や揺らぎのあるMATTONの心情を言葉とメロディーに昇華させることに成功している今作。彼らが新たに描く世界とは?

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sep 1 2017, 6:54am

ハウスやインディロックの音像を通過し、インディR&B以降のメランコリックな空気を体現する楽曲やパフォーマンスで音楽ファンを魅了しているバンドPAELLAS。メンバーの変遷を経て新体制で挑んだ初のフルアルバム『Pressure 』から8カ月あまり、レーベルを移籍しニュー・ミニ・アルバム『D.R.E.A.M.』を9月6日にリリースする。彼らが「今までで一番開けた作品」ができたと語る通り、新しい扉を開くような意志を感じさせる今作。i-Dは2012年からコンスタントにリリースを続けるPAELLASのメンバー5人に話を訊いた。

昨年 12 月にリリースされた『 Pressure 』を経て、『 D.R.E.A.M. 』が完成して今率直にどんな実感がありますか?

bisshi(Ba.):前作『Pressure』から楽曲の基本となるデモトラックはAnanが担うという制作方法になり、今作はよりまとまった作品ができたなと思いますね。

Anan(Gt.):前作は自分のなかでもかなりポップなものを作ったつもりですけど、そこからさらに大胆なメロディーやアレンジをして、開けた楽曲をつくることや聴いてくれる人に寄り添って広げていくことを意識して作りました。それが達成できているな、と。

バンドとしてパフォーマンスやライブなど、変化をここ最近特に感じていました。

msd.(Sp.):自分自身PAELLASのメンバーになってからの2年間で常に変わり続けてきたなと思います。いつもベストな形を探しながら変化しているバンドなので、ここ最近で特に変わったということはないですね。

MATTON:ガレージに近いことをやっていた時期もあったし「ハウスとロックを混ぜるんだ」と意気込んでいた時期もあった。常に変わっていきたいという気持ちはバンドとしてあります。ライブのパフォーマンスの仕方もここ最近になって掴んだ印象ですね。また変わるかもしれないですが(笑)

制作する上で共通認識やテーマはあったのでしょうか?

MATTON:PAELLASの活動を通して「カッコいいね、オシャレだね」と雰囲気の部分を評価されることが多く、嬉しい反面どこか違和感を感じていました。前作『Pressure』を発売し、バンドとして過去最大規模のclub asiaでのライブを通じて、耳を傾けてくれる人が増えた実感がありました。けれども、本当に自分が今歌おうとしていること、表現していることが伝わっているのかな?と疑問に思う瞬間がなくはなかった。ライブを経て楽曲として気持ちいいと思ってもらえるということ以上に、1人でも多くの人の感情を揺さぶるものを作りたいという気持ちが大きくなりました。

Anan:今作では作曲する自分に期待するものや求めるもののクオリティのハードルが確実にあがっていった実感があります。またバンドとしてもリズムパターンが増えてきているし、これまでだったら「この表現はバンドとして無理だ」と感じてボツにしていたアイデアも遠慮なくメンバーに共有できるようになってきている。メンバー間の信頼は高まっていますね。

Ryosuke(dr.):僕は1年半前に加入したのですが、メンバーの個性は強くてそれぞれのポテンシャルは高いものの、正直音楽に対する知識やスキルはまだまだだなと思っていました。そこからの1年半でソングライティング力も、楽器隊の演奏スキルも、MATTONのボーカリストとしての技量も上がっていった感覚を覚えましたね。

今作1曲目の『Together』、MVになっているリードトラック『Shooting Star』は、これまで一切使用してこなかった日本語で描かれた歌詞のフレーズが散見されます。バンドの新しい幕開けを演出したいという意識があったのでしょうか?

MATTON:単に日本語で歌ってみたいと思ったからですね。心境としては、もっと自分たちの楽曲のことを理解して欲しいという気持ちが増えてきているからだと思っています。そして今の自分にとってこのメロディーを日本語の歌詞で表現することはチャレンジであるとも思っています。とはいえ、歌っている歌詞の内容自体にそこまで変化があるものだとは思っていないですね。

恋愛や自分と誰かの関係性を歌にしたものが多いですよね。

MATTON:そうですね。自分が日常で感じていることを歌詞にしたいと思っているので、歌いたいテーマに変化はあまりないですね。もちろん、ここまでの色々な経験によりその引き出し方は変わっていますが。自分の中に常にあるテーマは「死への恐れ」と「刹那的な感情」。死は絶対に逃れられないものですし、今この瞬間に抱いている友情や恋愛感情も時間が経つと変化していくじゃないですか。だからいつもどこかで終わることを意識してしまいます。

歌詞に日本語をいれたことで聴き手が自分ごととして介入する余地がかなり増えたような印象を受けます。バンドとして自分たちの新作をどのように伝えたいですか?

Anan:いまって自分も含めて聴き手が映画も音楽も全部メジャーなものからインディなものまで、垣根を越えてフラットになってきている時代じゃないですか。だから、聴いてくれる人がそれぞれどう捉えてもらってもいいなと思っています。

MATTON:そうですね。ただ、もし可能なのであればその人の人生の感情の波に、自分たちの音楽が寄り添うことができたら素敵だなと思います。

bisshi:PAELLASのイレギュラーな部分が出ている4曲目と6曲目にも自分たちのミニマルな部分やリズムの個性が出ていると思うので、そこを聴いてもらえたら嬉しいですね。

msd.:変わり続けてきたなかで、今のモードが投影された楽曲ができたと思うので、聴いてもらって、ライブでこれまでの楽曲群にどう組み込まれて行くのかを楽しんでもらえたらと。

paellasband.com