Photo by Salvatore Caputo

サルヴァトーレ・カプートが捉えたJULIUSの2019年春夏コレクション

ベルリンの倉庫街で行われたシューティングのなかから、フォトグラファーのサルヴァトーレがセレクションしたアザーストーリーを公開。

by Tatsuya Yamaguchi; photos by Salvatore Caputo
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19 July 2018, 6:25am

Photo by Salvatore Caputo

JULIUSの2019年春夏コレクションのルックブックが撮影されたベルリンは、デザイナーの堀川達郎を永遠に触発する場所だ。この街には無二の歴史があり、自由な精神を持つ人々が国境を超えて絶え間なく集う。常に“新鋭”が台頭し、それを歓迎し、アートや音楽といった文化が更新される街でもある。訊けば堀川は、2013年に復活した"音と光の実験的表現を探索する”フェスティバルであるベルリン・アトナルや、ハードコアな音楽シーンを牽引するベルグハインといった伝説的なクラブに足繁く通っているという。テクノ、ノイズ、エクスペリメンタルミュージック……。創設以来、音楽とそれに付随するあらゆるカルチャーとメンタリティーがJULIUSにとって抜きがたく重要な要素であり続けているのは、まったく不変な事実のようだ。

2009年春夏からパリ・メンズファッションウィークでランウェイショーを継続的に行ってきたJULIUSが、プレゼンテーションの方法論を大きく転換したのは2018-19年秋冬(シャルナ・オズボーンが制作を手がけたビデオが、その世界観とコンセプトを体現していた)。つづく2019年春夏は、蠅の王(悪魔)を意味する「BEELZEBUB;」と題されたコレクション——世界の秩序や理性によって排斥されかねない“少年の心のなかに潜む純粋な狂気”を一種の“パブリックエネミー(公共の敵)”として捉えたコンセプトは、私たちが認識する世界がいかに限定的かを訴えかけてくる。現代社会は「デジタルで曖昧な息の詰まる優しさに包まれたグロテスクなユートピア」であり“理性ある社会”は敵(ノイズ)を排除し続けているのではないかと。

フリーキーなシルエットとグラフィックを中軸に、特異なラバーマテリアルや酸を用いた加工テクニックといった「社会に対しての異物感」になるようなストーリーがそれぞれのアイテムに込められているのだという。その根幹には、現代社会に対するアンチとも受け取れるJULIUSの眼差しがある。そして、そのコンセプトに共感を示すコントリビューターと手を組んだ、ランウェイではない表現のアプローチが不可欠だった。ここに、ユースカルチャーにおいて特別な意味を持つベルリンでシューティングが敢行された必然性がある。

今季パリで発表したインスタレーションは、服、映像、写真、音楽、ZINEの要素で構成された——パリとベルリンを拠点に活動し、DUSTやHEROで撮影を手がけるフォトグラファー兼フィルムアーティストのサルヴァトーレ・カプート(Salvatore Caputo)によるビジュアルに加え、Abyss Xが制作した2つのオリジナルトラックはUSBメモリにも収録され、ベルリンをベースに活動するクリエイティブ・ディレクターのニコラス・サントス(Nicolas Santos)がアート・ディレクションを手がけるZINEをリリースするなど五感に関わる複合的なアプローチで表現されている。

サルヴァトーレからi-Dに届いたこのルックからの写真は、Ai Kamoshita がスタイリングを手がけたルックのアザーストーリーだ。少年たちの肖像とグリッチによって今季のテーマが雄弁に表明されているムービーも当然見逃してはいけない。ここに活写された彼らの視線と脚が向かう先にはどのような世界が広がっているのだろうか。JULIUSが放つ“ノイズ”を感じよう。

http://www.julius-garden.jp/

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